舞台裏。
彼女に似ていると言われたことがある。
彼女とは仕事を通じて知り合い、同じ感覚を持つ仲間だと、すぐに分かった。沢山の言葉は要らない。簡潔な最小限の言葉のやり取りで、理解して満たされてしまう。人生でそんな人に出逢う確率はあまりにない。
内面が似てるから外見も似ているのかも知れない。そんなことを思う。
「あのさ、意外と地味だねって、言われるんだけど…」
「あ、わかる、分かる〜」
人生なんて光より影の部分が占める割合が多い。
だから思い煩うことなかれ。
「だって、仕方ないよ。そういう仕事してると、勝手なイメージってあるじゃない?」
「そうそう、イメージはあくまでもイメージだから。でも、そう言われてしまうと、相手のイメージを壊さないようにした方が良いのかな?って思ってしまう。それが時々…」
「仕事でも演じてるのにね」
「池袋の、あのラーメン屋に行かない?」
「じゃあ、スケジュール確認して、連絡するわ」
あのラーメン屋は、閉店して無くなった。
彼女も消えた。
開いたページで微笑んでる姿のまま、時間が止まった。
わたしの時間は、流れ続ける。
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