納豆には醤油という固定観念がわたしを苦しめた朝
ある朝、朝食の準備をしていてふと気付いた
醤油がない・・
この日の朝食メニューは
ご飯・納豆・お味噌汁。 以上
なにしろ時間がないのだ
しかも、これらのものを食卓の上にズラリと並べて
『では、いただきます』という時点で納豆にかける醤油がないことに気がついた
キッチンのボトルにも一滴も残っていない
さあ、どうする
途端にこの食事が成り立たないことに
時間がない、醤油がない
朝からなぜこんなに苦しみ悩まなければいけないのだろうか
一見、立派に自立して生活できているように見えてはいたが、
実は醤油ひとつないだけでこんなに足元がふらつく人生だったことに愕然とする
醤油におんぶにだっこの人生だったことをつくづく感じる
さあ、どうする
覚悟を決めて醤油なしでこの食事をスタートするのか
醤油なしの納豆をニチャニチャかき回し、これをご飯の上に乗せて食べる・・
天下の美味、納豆が一変して気持ちの悪い物体へと成り下がってしまうのだ
ああ、気持ちが悪い
しかも、この納豆にはタレがついていないのだ
普段、タレを使わないわたしはタレを使う人と使わない人がいるのに
必ずついているタレの存在を好ましく見ていなかった
その罰だろうか。
そこでふとスマホの存在に気がついたわたし
『醤油やタレ以外で納豆に使う調味料』で検索
・『塩か味噌が基本ですね!』
・『納豆にはマヨネーズ一択です!』
・『焼肉のタレ以外に何を入れるんですか?』
・『一度(いしる)を入れてみてください!』
・『キムチと食べるのにハマっています!』
納豆にマヨネーズ、焼き肉のタレ・・だと?
ああ、気持ちが悪い
しかし自分の食への興味がいかに貧相な常識に囚われていたか
一見、立派に自立して生活できているように見えてはいたが、
実は納豆の食べ方ひとつでいかに狭い世界で生きていたのかと知り愕然とする
ああ、情けない