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人魚を食べるならお早めに

少し前から人魚伝説を調べているのですが、日本人は出会うと必ず食べようとするんですよ。

人魚を。

人魚伝説は世界中にあって世界の他の地域ではあまり人魚を食べたという記録は残っていないのに、日本人はとにかく浜に上がった人魚を食べようとした(食べた)記録がとても多いのに疑問を持ちました。

人魚の肉を食べて800歳まで生きた娘

昔、若狭国小浜(現在の福井県小浜市)に高橋権太夫という長者が住んでいた。ある日、舟を出していると嵐が起こり、見知らぬ島に流されてしまった男は思わぬもてなしを受けることになる。

目の前には見たこともない山海の珍味がずらりとならんでいる。しかし、一つだけ奇妙な形をした肉があった。男はその肉をひと切れ手にすると、そっと着物の袖に隠し、家路へ着いた。「あの夢のようなひと時はいったい何だったのだろうか」としばらくは考えていたが、やがて肉のことはすっかり忘れてしまった。

ところで権太夫には娘がいた。
月日が経ち、権太夫の娘が脱いであった着物をしまおうと袖に手をやると、妙なものがでてきた。なんだろう、と奇妙に思いながらも一口食べてみるとこれがとても美味しい。とうとう、みんな食べてしまった。それが何の肉かも知らずに。

不老不死というテーマは世界各地の伝承や物語に登場することからも、人類共通の夢であり人々を魅了する何かがあるのだと思います。

その中で日本では上の説明で始まる【八百比丘尼(はっぴゃくびくに)】として知られる物語があり八百比丘尼はその名前の通り、17歳の娘が人魚の肉を食べた後、歳を取ることのないまま800年生きたとされています。

その物語が広く人々に知られ、それにあやかろうと人々は人魚が現れたと聞いては集まり人魚を食べようとしたと考えられます。

だが、ここで皆様にお尋ねしたい。
あなたは人魚を食べたいと思いますか?

脂がのってピカピカに光るサンマを見て、
『美味しそう!』
と、いう人はいくらでもいると思います。

しかし、上半身が人間と同じ人魚を見て
『美味しそう!』
と、食欲をそそられる人はあまりいないのではないでしょうか。

日本人はとかく食に関して執念を持ちすぎる傾向にありウニやナマコを最初に食べた人は尊敬しますし、フグにいたっては毒まで持ってるのに毒を避けてまで食べようとする執念はなんなんでしょうか。

これを食べようとは思わない

なぜ日本人は躊躇なく食べようとしたのか。
私なりの推察は、

現代人が思う人魚と昔の日本人の思う人魚が違うから

上のイラストのような人魚は今では当たり前ですが、このイメージは西洋から渡ってきたもので、古来日本で語り継がれてきている人魚はその容姿もまた人魚というよりも人面魚に近いものがあります。

人魚というより人面魚

超グロテスクだけど、頭を落とせば普通の魚っぽいし何とかいける!?

人間に姿が似ている度合い?

気持ち悪いですよね、人面魚。食べたくないですよね、人面魚
でも、西洋の上半身人間の人魚よりははるかに【すごい不気味な魚】のような見た目でナマコやタコを食べる日本人なら何とかいけるのではないかと。
しかも、普段の魚も頭は食べませんよね。

日本風の人魚は頭さえ落とせばなんとか魚として食べられるような気がします。
ジャンルとしては『不気味で不思議な、でも食べると不老不死の妙薬であるらしい変な珍魚』だから、食べるという発想になります。

しかも不老不死の効果があるとすればなおさらですよね。

それに引きかえ西洋風の人魚は胴体の部分をぶった切るのはかなりの勇気がいるので私は嫌です。

人魚を食べるならお早めに

ここまで読んでいただいて少しは人魚食べてもいいかな。不老不死に興味もあるし。と思われている皆様にアドバイスを送りたいと思います。

それは、文献によると当時、浜に人魚が打ち上げられた、もしくは漁師の網に人魚が獲れたと聞くと女性達が男を押しのけて真っ先に食べたそうです。

そのおかげで日本の女性は世界一の長生きになれたとか。

それはともかく、人々が見落としがちな点は人魚の肉は不老不死の効果はあっても【若返り】という効果がない点です。

あくまで食べた時点での年齢を何百年もキープしている。

ここかなり重要な点だと思うんですよ。

70代や80代で人魚の肉を食べてその状態で何百年も生きるとしたら・・
それは一体何の地獄・・

そんなことを考えていたら九州の博多で面白いエピソードを見つけました。

福岡市博多区冷泉町

博多駅からも近く地下鉄祇園駅を降りてすぐなので九州の方であれば町名を知っている人も多いのではないでしょうか。

この冷泉町という町名はどうやって名付けられたかご存知ですか?
この冷泉というのは実は人の名前です。

西暦1222年、実に800年前の博多の漁師の網に人魚がかかったとの知らせがあり、当然博多の町は大騒ぎに。

博多は今も昔も食に興味がある人が多かったらしく、しかも人魚の肉を食べると不老不死になると知っていた博多の人達は当然われ先に食べようとしたようです。

場所は、現在の川端商店街から中洲に行く博多橋の近くでこのあたりとされています。

その時、捕獲された人魚のイラストがこちら

これはかなり後になって描かれた絵なので西洋的な人魚の姿をしていますね。
一重で切長のちょいといい女風に描かれています。

この人魚を食べようとした博多の人たち・・

しかしそのサイズ、なんと驚愕の150メートル(八十一間)

150センチの間違いではありません。
150メートルです。

シン・ゴジラでさえ、118.5メートルなのでその巨大さがわかっていただけると思います。

このサイズでも118.5メートル


いったい何を見た博多の人たち。
今から800年前にゴジラを超える巨大生物の上陸を許していたとは。

しかも、それが漁師の網に偶然かかったってどういうことだ。

今の地図に当てはめてみるとサイズ感はこんな感じ

地元の人だけわかる尺度、およそ冷泉公園と同じサイズ

その巨大ぶりに驚いた博多の人たちは、『一応朝廷の人にも伝えておくか』ということで朝廷から派遣されてきたのがここの地名の由来となった冷泉中納言と占術の阿部大富。

しばらくこの地に滞在し、この巨大人魚の調査に入ります。

その結果、人魚と断定し、しかも占いの結果この人魚は国家長久の吉兆であるため、食べることはまかりならん!手厚く葬るべし!とのお達しが出て手厚く葬られたとのこと。

今でも博多の地下には巨大人魚が埋められている。

この巨大人魚の正体は何か。

即座に思いつくのはクジラですが、福岡は捕鯨も盛んだったことからクジラがうち上げられて、人魚だ!とはならないと思います。
しかしそれはロマンであり、想像をかき立てられるので追跡調査をしたいと思います。

高橋留美子先生の人魚シリーズに「人魚の肉なんて食べるもんじゃないね。〝不老不死〟になっても結局は地獄だね」というセリフがありますが、あなたは今、目の前に人魚の肉を出されたら食べますか?食べませんか?

食べるのなら、お若いうちにお早めに

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