見出し画像

『そして5分後』のレシピ 〜 トリケラトプスとの運命の出会いを添えて 【新潟劇王 上演作品】🍳

こんにちは。新潟県を中心に活動する学生劇団、演劇調理集団 ビストロカプリチョの中川律です。
私は東京都在住です。数ヶ月前までケーキ屋でバイトをしておりました。

2024年5月4日〜2024年5月6日。GW真っ只中に、新潟市のりゅーとぴあ・劇場で行われた「第4回 新潟劇王」に、ビストロカプリチョとして参加させていただきました。
当日、もしくは動画などでご観劇いただいた皆様、本当にありがとうございました。

結果としては、決勝戦には進出できませんでしたが多くのみなさまからうれしいご意見・ご感想をいただきました。ご感想やご意見をくださったみなさま、本当にありがとうございました!

さて、今回のnoteでは、どのようにして拙作「そして5分後」が生まれたのか、脚本・演出・出演を行なった中川が説明してまいります。

美味しい「そして5分後」を一緒につくっていきましょう🍳


下準備

高校時代に脚本を書き、3年程寝かせます。常温にもどしておくと、なおのこと良いです。
予め劇団は作っておきましょう。

材料

・岡部彩花のナイスな発案 : 1つまみ
・審査員さん達からのスパイス : 少々
・トリケラトプス : 1匹
・初々しさ : 少々
・卵 : 600パック

1 . 劇団員とご飯にいく

それはしゃぶしゃぶでした。

美味しいしゃぶしゃぶ。

久しぶりに新潟に帰った私は、劇団員の岡部彩花と夕ご飯に行くことになったのです。魔法使いのあの子です。

この子です。

美味しいしゃぶしゃぶを食べながら、当然会話にも花が咲きます。次第に話題はカプリチョへ。

北は北海道、宮城、山形。東京に神奈川、南は大阪。劇団員9人中6人が新潟県外に住む私たちは、大学の長期休みを利用して稽古をします。なかなかそこ以外での公演は難しい。

どうしたものかと話していたところに、「劇王なら短編一本で出れるじゃん!」と。ここで岡部彩花のナイスな発案を1つまみ入れます。今思えば安直すぎる。

それぞれの世界を、地底人、OL、勇者、オカ研にするのもこの時に決めました。完全にその場のノリで。

5分なら何をやっても大丈夫な台本なので、やってみたかったワンシーンをぎゅーっと詰め込んだのです。

2 . 脚本を書いてみる。

2の作業が一番難しいです。気合いを入れて料理していきましょう。

とはいえ、私にはやりたい台本がありました。「そして3分後」です。
世界5分前仮説を、世界3分前仮説に置き換えて作った超短編です。私が高校演劇時代に書いた脚本になります。最後のオカルト研究会のところだけの台本でした。高校時代に上映の機会を失ってしまったのです。

コロナ禍の影響で上演できなかった高校時代の作品「そして3分後」。

世界五分前仮説は、ずっと前から大好きなオカルトのひとつでした。どうにか好きな物を作品と合体させられないかと、書き上げたのがこの戯曲です。

リベンジ〜!!

3年ぶりの台本執筆と初めての演出…胃が痛かった…書類通らないんじゃないかって…

でもなんか筆が乗って五日で出来上がりました。

3 . リモート料理

リモートの稽古だとなかなか具材に火が通らないのが注意点です。

大変だったリモート料理。

通話特有の「ラグ」におどらされ、間の調整がとても困難でした。ここでしっかりと、ビストロカプリチョ特有の弱点である「距離」を感じます。味わいます。

日程調整のため、時間割、バイトのシフト等、細かく刻んで共有しておきましょう。連絡も早めに心がけます。

☆Tips
テンポ感とセリフの言い方、場転のやり方は共有しておきます。この段階で台詞は役者に覚えてもらいます。

また、それぞれの世界観の共有も重要です。

世界を救う勇者パーティーには情けない感じになって欲しかったし、OLさんにはお客さんを置いてきぼりにして女子トークしてて欲しかった。

「このキャラをこうしよう!」よりも、世界観を作ったら勝手にキャラがこうなったっていう感覚です。なので、前もって世界観をうまく共有することで、役者の解釈によるキャラ付けをしなければいけませんでした。

4 . 対面料理

対面料理とかいう単語。

ななことののこのシーンは殆どアドリブなので、対面でないとキツい部分があります。加えて、ここで体調不良によるキャスト変更が起こりました。急遽中川律が演出脚本出演代表になります。

稽古中のアドリブから生まれた台詞もありました。突然口頭で言う通知音なんかがそれです。個人的に1番ナイスな演出だったと思っています。

この時点で、トリケラトプスのトプ子はいらっしゃいませんでした。彼女と出会ったのは、本番3日前とかになります。

革命でした。

卵から何が産まれるか決めてなかったんです。無難にヒヨコかな?ヒヨコおもんないね。ドラゴンにするか!って思ってドラゴンを探しに新潟駅に行きました。

ドラゴンはいませんでした。

トプ子が私たちを待っていたのです。前述の通りほぼアドリブのシーンだったので割とすんなり変更出来ました。
こうして、私たちは、りゅーとぴあの劇場でトリケラトプスを歩かせることにしました。

ちなみに本名は、トリケラ・D・トプ子さんです。
Dはダイナソーです。

5 . 本番直前

幸か不幸か、予選ブロックのトリになってしまいました。トリケラトプスだけに!なんちゃって!

なんちゃって!

他の団体さんの上演中にも練習してたので、私たちが参戦した予選Aブロックはすべて見れなかったんですよね。悲しい。もっと観たかった。

ちなみに、この段階になってくると、稽古での一番の課題は私たちが演技中に笑わないことでした。冷静にセリフ一つ一つを考えると、訳がわからない脚本です。

躍動感

だって面白くなっちゃうんだもん…。

6 . 予選Aブロ本番

本番楽しかったです!

私はあんまり緊張しない性格なのですが、残り2人は割としてたっぽいです。してたっぽいのに面白いなあと思って演技してました。

コメディやる時って「笑ってくれるかな」って心配が頭の中に絶対あります。ありますよねえ。でもお客様みーんな優しくて、笑ってくれて拍手もしてくれて、ララバイも嬉しかったです。きっと魔王を倒せたことでしょう。

7 . 仕上げ

仕上げは審査員さん達からのスパイスと、見て下さった方からの感想です。

正直なところ、酷評覚悟でした。だって意味分かんないじゃないですか最初の触覚の地底人とか。

でも逆に最後の真面目だったところがダメ出しされてびっくりでしたね。もっと面白く説明できたよ!って言われました。地底人はやっぱり訳分かんなかったらしいですが。

えー!お客様からも他団体さんからも本当に嬉しい言葉しかいただいていなくて、本当に!!嬉しかった!というかあんなすごい人達と話して良いんですかって感じ。芸能人と話してる感じまじで。私が全部の団体に100億票いれてます心の中で。

全部の食材と出会いと、我儘聞いてくれた劇団員たちに感謝をして!

「そして5分後」
完成でーす!!!!


ということで、こうして「そして5分後」は完成しました。

冷静に考えてみればみるほどに、よくもまあこんなに訳のわからない脚本を「新潟劇王」(しかもりゅーとぴあの劇場!)でやらせてもらえたものです。本当に感謝してもしきれません。

結果は惜敗となりましたが、もっと面白い作品を調理しまして、また帰ってくることを誓います!
「演劇調理集団 ビストロカプリチョ」をたくさん応援してくださって、本当にありがとうございました!
(P.S. たくさん劇中に拍手をくださった皆さん、一緒に作品を作ってくださりありがとうございました😉)

ありがとうございました!!


【脚本公開中】

「そして5分後」の脚本を現在配布中です!詳しくはこちらから!
みなさんもぜひトリケラトプスを歩かせてあげてくださいね〜!

また劇場でお会いしましょう!
演劇調理集団ビストロカプリチョの中川律でした!🍳

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?