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築100年の古民家がレストランになるまで:2年間の軌跡

築100年の古民家。
もともと私の実家だったこの家を、
夫婦でレストランにすることにしました。
でも、DIYでちょこっと改装…
なんてレベルじゃなく、
床を剥がしたり、壁を塗ったり、
大工仕事が山ほど。

正直、途中で何度も
『これ、終わるのか?』って思いました。

でも
気づけば地元の人が次々と手伝いに来てくれて、
最終的には100人以上の仲間が加わる
大プロジェクトになりました。
その2年間の奮闘の記録をまとめました。

Beforeの写真

田の字作りの和室
残地物がたくさん。レストランになるとは想像できない。

リノベーション日記① 
【築100年の古民家のセルフリノベーションを始めます】

2016年から築100年を超えた古民家のリノベーションを始める事になりました。完成の目的は”レストラン”にする事。今まで関西を中心に首都圏で夫婦で料理人として働いていましたが、開業するなら田舎でしたくて思い切って地方に移住してきました。

古民家のリノベーションは物件の間取りや状態により施行方法も異なるので、今から始める方の参考になれば嬉しいです!
この物件は6年間ほど空き家になっており、ホコリっぽくて残置物も残っている状態からのスタートでした。

DIYは初心者なので
『どこから手をつけたら良いの???』
『予算はどれくらいかかるの???』
など、わからない事が多すぎで不安でいっぱいです。
本当にここでレストランができるのか心配・・・
木造住宅で1番心配なことはシロアリが発生していないかどうか。
空き家になると湿度が高くなり、シロアリが発生しやすい環境になってしまいます。
木造の建物の1番大事な梁や柱などの基礎の部分がシロアリに侵食されてしまっていたら、素人では工事が難しいでしょう。プロの業者に任せると費用がさらに掛かるのでこれだけは避けたいところです。
購入前には必ずシロアリが発生してないか確かめた方がいいですね。

この物件は私が幼少期に過ごした父の所有物で、自由に使って良いそうので思い切って天井を抜いてみました。
すると、天井裏には立派な梁が隠れていました。
全体を見渡しましたが、シロアリの発生はしていないようで一安心しました。
これから夫婦でレストラン完成まで少しづつ進めていきます。
2018.11.30 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
天井裏をじっくり観察するために思い切って開口
全ての天井を落とすと立派な梁が出てきました。綺麗に拭いて掃除します。

リノベーション日記② 
【古民家をレストランに。漆喰塗り編】

残地物を片付けて、壁を落とすまでに5ヶ月経過…(汗)
ようやく工事に進めます。
壁にする場所を決め、足場を作り、枠を作り、漆喰を塗ります。
漆喰を練っては塗って、、冬休み中の子供も参加して、家族総出動で漆喰塗りをしました。
素人なので、、、よく見ると凸凹していますが、気にせずひたすら
漆喰を練っては、塗ってを繰り返します。
塗っていくうちに、コツも覚えて綺麗に出来るようになって来ましたが、広い古民家でなかなか終わらない。
すっかり冬休みも終わった頃、漆喰を塗り終えました。

※漆喰は硬めにしっかり練って、一晩以上寝かすと、滑らかな漆喰になります。すっかり漆喰マスターになりました(笑)
2018.11.30 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
足場を作る(脚立に板を置くだけ)
漆喰を塗る時は高い場所から始めます。
息子と必死に塗ってみるが,,,うまく塗れない(泣)
「漆喰は混ぜてから一晩おくと塗りやすくなる」という事を知った。
習うより慣れろという事ですね。
天井裏の最上部分は3階くらいの高さ。怖いので流石にしっかり足場を組みました。

リノベーション日記③
 【古民家をレストランに。基礎工事編】

天井も落として、使わない壁も壊してすっかり骨組みになった古民家は骨組みだけの状態に。 今回は、床下の工事です。地盤をならしてコンクリートを流します。

レストランの広さで200平米以上あります。
今回コンクリートを流すのは10畳程度ですが
少人数ではこれだけの広さに流すのは途方に暮れそうです。

以前から、リノベーションを『お手伝いしたーい!』と、言ってくれていた方がいたので、お言葉に甘えてイベントをする事にしました。

さっそく、生コン車を呼んで
地元のおじ様方が中心となり、みんなでコンクリートを流しました。
な地元のおじ様方はマイ道具を持っていて手慣れた手つきです。
昔の人は何でも知っている。さすが、手慣れた手つきであっという間に流し終わりました。

その後は、石窯ピザParty!!
おじ様方の酒盛りが始まって、みんな楽しそう〜。
私はピザを作っているうちに基礎工事が終了していました。
 2018.12.01 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
床下を剥がずと土が出てきました。こんな感じに家は作られるんですね。
骨組みだけになった古民家
コンクリートを流す前に地ならしをします。
床の高さを上げたい部分には石や砕石を入れて調整します。
初めてコンクリートミキサー車をオーダーしました。個人でも呼べるようです。
2トンのコンクリートを地道に一輪車で運ぶ作戦。
手慣れたおじ様が何度も何度も慣らしてくれて表面はツヤツヤに。
汗を流した後はみんなでピザパーティーをします
もしかしたらここからがメインイベントかもしれない
お酒を飲んではしゃぐおじ様たち。楽しそう♪
夫婦で始めたリノベーションでしたが、たくさんの人に支えていただきました。感謝。
薪で焼いたピザは最高。

リノベーション日記④
 【古民家をレストランに。壁作り編】

次は、客席、キッチン、トイレなど配置を考えます。
今頃になって図面を書きました。
最初に、水道、電気工事の前に全て配置を考えておかないといけないみたいです。知りませんでした。

夫が書いた図面では工事会社に伝わる訳もなく、現場で手ぶり身ぶり伝えて、各業者さんにきちんと書き直してもらいました。

厨房にはいろんなルールがあるので
保健所に聞きながら壁や、窓、扉をつけました。
しかし、壁も広くて、いつ終わるのか、、、
リノベーションは広すぎると途方に暮れますね。

そんな事を言っていたら、
またまた『リノベーションしてみたーい!』と、
たくさんの方が言ってくれるので、
今度はペンキ塗りのイベント開催しました。

その後は、やっぱり石窯ピザ。すっかり恒例になっている♪
2018.12.02 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
夫が書いた図面。ソフトも無いので、この時代に手書きです(笑)
厨房に壁や、窓、扉をつけていきます。厨房の壁は耐水ボードを使用
こちらはトイレ。水が当たりそうな部分は耐水にしました。
厨房の天井はプラスターボードを貼ります。
客席は吹き抜けですが厨房は害虫が入らないように、塞ぐ必要があります。
床板を再利用し壁を製作。無垢の木材は古民家によく馴染みます。
ずっと前から、どうしても作りたかったアーチの入り口。
壁にペンキを塗る作業もお手伝いがたくさんきてくれました
憧れのコバルトブルーの壁にしたのですが鮮やかすぎてイメージと違いました。どうしよう!!
ピザがあればリノベーションが進む(笑)
子供たちの端材工作↑
ジャパニーズ古民家になぜかUSAの看板。ミンナアリガトウ。

リノベーション日記⑤
 【古民家をレストランに。床張り編】

実は楽しみにしていた床板を張る作業♪仕上げは楽しいはず。
数多くある床板から選ぶのは迷いましたが足場板を使うことにしました。
新しい工具「フィニッシュネイル」も入ったので、どんどん打っていきます。どんどん完成に近づく感じがして、やっぱり楽しい!!

キッチンは木材では保健所の許可が下りないため、長尺シートを使います。
専用の接着剤を塗り、シートを押さえつけて貼ります。
そして、接着剤が完全に乾く前に、床とシートの間の空気を抜きます。
木の棒にタオルを巻いて、押さえつけながら何回も往復するのですが
雑巾掛けのようでした。

mitsuwa 旧ホームページより
床板は古民家に似合うように天然素材に。
個室も完成!
厨房は土足でもOKの丈夫な長尺シートにしました
ボンドも多めに塗っておきます
空気をしっかり抜くのがポイント
本当は厨房も自然派な素材にしたいけど許可が降りるのが一番です。

リノベーション日記⑥ 
【古民家をレストランに。縁側と玄関編】

今回はレストランの顔となる外周り。
リノベーションを始めて1年半が過ぎて
作業にもずいぶん手慣れてきました。
縁側をはめ殺しの窓にするために
サッシの枠をささっと作って、注文しておいたガラス板をはめます。
大きなガラスをみんなで抱えて慎重にはめていきます。

古民家の冬は冷え込むので、縁側の壁にはしっかり断熱材を入れました。
断熱材はご近所さんからの頂き物。倉庫に残っていたそう。

助っ人に泊まり込みリノベーションの合宿に来てくれた元左官さんがいたのであっという間に縁側が仕上がりました。

その間に玄関も進めます。レトロな玄関サッシを取り払いますが、何だかいい雰囲気のガラスブロックはそのまま使用することにしました。
良いと思うものはなるべく残しておきたい。
玄関は一面はモルタルにしました。
壁面にモルタルを塗るのは苦労しました。ラスを張って少しづつ進めます。

玄関のドアも自作。
床板の残りで作ることにしました。
玄関ドアは店の顔なのでいい感じに仕上げたい。
残念なドアにならないよう、内装でドアを数回作ってみて研究を重ねましたが、細かいところ失敗もあり、60点くらいかな。
2018.12.12 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
縁側はオーダーガラスに変更
古民家には断熱が必須
仕上げは焼杉板を貼ります
レトロなガラスブロックは再利用
玄関の下地は木枠にボードを貼りラスカットをタッカーで貼り付けました
押さえつけるようにモルタルを塗る
玄関扉は足場板を利用。雨を防ぐために腐食剤を多めに塗る。
玄関周りが完成

リノベーション日記⑦
 【古民家をレストランに。トイレと洗面のタイル編】

リノベーションも終盤です。タイルが大好きで、実は基礎工事の頃からタイルをどれにしようか選んでいました。数多くあるタイルから選んだのが、名古屋タイルさん。カタログ見るのが楽しすぎる。
https://www.nagoya-mosaic.co.jp/catalogue2018.html

タイルは、壁用、床用、他にも種類が多いし可愛いのが多くて悩みます。さらに、接着剤や目地剤も種類でが多くて、取扱業者の方にどれに合うのかを詳しく聞きながら、注文しました。

注文していたタイルが届いたら、一部屋分くらいありました。広さで約20㎡分くらいあり、価格は15万円分くらい。タイルを選ぶのは楽しすぎてとっても楽しい買い物でした。

早速、タイルを下工事が終わった順に貼っていきます。
まずはトイレの床のイタリアンタイルから。(200mm角で並べるだけなので、難易度の低いものから始めます)
タイルを並べて、置く場所に合わせて、水道の栓がある場所は形に合わせてサンダーでカットしていきます。この作業が面倒なんですが、最後の完成度を左右するので、きっちり採寸します。
並べる場所が決まれば、タイルセメントを塗って、タイルを貼っていきます。間隔が難しくて狭すぎた感じもしますが、最初その失敗は次の施工に活かします。最初から完璧を求めても無理ですね。

完全にセメントが乾いたらタイルの隙間に目地を入れていきます。
そして、半乾きになったら、はみ出した部分を雑巾で拭き取ります。
乾いたら完成〜。

次は、洗面台に貼っていきます。こちらは小さなモザイクタイル。120m角のタイルがシート状になっています。手順は上記の床同様です。

一番簡単なのは壁に貼るレンガタイルです。憧れのコバルトブルーを壁にしたら、思っていたより鮮やかだったので急遽レンガをつけることにしました。タイルレンガは専用の目地もあるのですが、きっちり並べて目地が入らないように貼ったので簡単に完成。

タイル貼りはやっぱり楽しかった〜。
2019.01.02 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
15万円分のタイルを大人買い
トイレのシンク周りはモザイクタイル
トイレの床はイタリアンタイル200mm角
タイルセメントを塗って貼る。水道周りはタイルをサンダーでカットします
始めは大判のタイルから練習するのがおすすめ。特に四角は並べやすい。
トイレ完成

リノベーション日記⑧ 
【古民家をレストランに。キッチンのモルタルテーブル編】

レストランでは料理が創られていく様子を、お客様にショーの様に楽しんで頂きたいと思っています。
なので店の中心にキッチンを作りました。これから作るテーブルは、料理過程の最後の盛り付けが見れるように、客席から見える場所に配置しました。

今まで飲食での経験を活かして、使い勝手も最高で、おしゃれなショーテーブルをつくります。
1、土台作り
テーブルの下は冷蔵庫にすると効率アップしますが、台下冷蔵庫って少し低くて作業がしにくい。なので、自分の身長に合わせて作ります。
2、天板作り
モルタル天板を作るので、モルタルを流す枠を作り、中に入れる芯の金網を用意します。砂を振るいにかけて、セメントと水を入れて、キメの細かいモルタルを作り、モルタル+金網+モルタルを流します。

これで、乾けば完成のようですが、ここからが重要。

3、平にする
乾燥の過程で何回も何回も平す事によって最後の仕上がりが格段に違うんです。平らになるように、30分おきに平し続けます。
早く枠を取ってみたいけど我慢。7日間、乾燥させます。

4、表面を仕上げる
枠を外し、サンダーで角を取り土台に設置します。モルタルで作った天板はかなりの重量とかなりの存在感です。そして、表面に5回くらいニスを塗りました。

5、タイル貼り
コラベルというタイルは、好きな色をオーダーできてシートに仕上げてくれます。基本のカラーもあるのでそれもおすすめ。前回のタイル貼りの手順でタイルを貼りました。

自分の背丈にあって、収納力も抜群で、照明の当たり具合も完璧で納得できる仕上がりになりました。きっといい仕事をしてくれると思います。

2019.01.03 ミツワヤスコ

mitsuwa 旧ホームページより
客先真ん中のショーテーブル。下には冷蔵庫と隙間に収納
ホームセンターの材料で天板作り。枠を作ります
きめ細かい天板にするために砂をふるいにかける
3cm厚にモルタルを流す。分厚くなりすぎると重くて持ち上げられません
崩れないように金網は必須
表面の細かさが仕上がりを決める
2日後
7日後。ようやく乾燥しました
天板が重い!大人4人がかりで持ち上がりました。
表面はタイル仕上げ
枠を作る
目立つ場所なので慎重に丁寧に
ドキドキしながらシートを剥がす
隙間を目地で埋める
完成

2年間でかかった予算と期間

予算
電気工事:150万(エアコン3台含む)
水道工事:100万(トイレ設備と飲食店グリストラップ含む)
ガス工事:無料(ガス契約したら無料になりました)
材料費:480万
厨房機器:250万
期間
2年間

まとめ

DIYは暮らしを豊かにするためには最高のスキルです。
衣食住には欠かせない「住む」の自由度をアップしてくれました。
素人のリノベーションでも飲食店の許可はとれるし
レストランを作ることもできます。
その後も、自宅もサウナも自分で作ることができました。
自分の暮らしを自分で「つくる」ことで
「買う」以外の方法を選択できます。
まずはやってみるDIY精神で
緩やかにサスティナブルに暮らしましょう。
🔽レストランはこちら

私たちは飲食店開業の時にDIYをフル活用することで
初期投資を抑えられて、月々の返済が抑えられました。
そうすることで持続可能にお店が経営できるようになります。

地方でイキイキと仕事をしながら、のんびりと暮らしたい
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