自治体ワークスペース勉強会vol.3 宇陀市 SOUDAが取り組む多くの人に使ってもらう工夫
こんにちは!BIRTHコミュニティディレクターの青木です。
BIRTHを運営する髙木ビルは現在、4つの自治体と包括連携協定を締結してます。ワークスペース運営のサポートやBIRTH LABを活用した自治体PRイベントの協業といった取り組みを行っています。
本日は、自治体さまからBIRTHにいただいた相談から生まれた、自治体ワークスペース勉強会vol.3をご紹介します。
こちらの勉強会は自治体の皆様から、"テレワーク拠点、移住促進、企業誘致の拠点としてワークスペースを作ったのはいいのだけれど、うまく運営するのに悩んでいるんです、、”という声から誕生しました。
もちろん我々からアイディアをお話しすることもありますが、全国の同じチャレンジに取り組む仲間を作ることでもっと勇気をもって、楽しく頑張れるのではないか。そんな気持ちから開催される勉強会です。
事例紹介 ~奈良県宇陀市さま~
今回の舞台は奈良県宇陀市です。宇陀市は奈良盆地と三重県を繋ぐ街道の途中に位置し、人口は約3万人です。古くは日本書紀において、薬狩りとして鹿の角や薬草を摘んだ記述があります。また、宇陀市はロート製薬、ツムラ、アステラス製薬などの製薬企業の創設者を輩出した地でもあります。
BIRTHとは、2022年12月に包括連携協定を締結し、これまでサテライトオフィスうだの開業準備をサポートしてきました。このサポートには、運営コンセプトの策定、什器選定のポイント、ロゴやチラシなどのクリエイティブ作業が含まれます。
サテライトオフィスうだ(通称:SOUDA)は、大和信金の旧榛原支店を大和信金から無償で借り受け、2023年9月に開業しました。施設内は温かみのある木材を活用した柔らかい雰囲気がありつつ、ビジネスの緊張感も兼ね備えています。フロアごとにコワーキングスペース、交流スペース、様々なサイズの個室オフィスが用意されているのが特徴です。
無人運営から一転。予算がないなら汗をかく。
本施設のユニークな点は、「予算がないなら汗をかく」という市職員の方々の姿勢です。当初、BIRTHには「サテライトオフィスの運営について相談したい」という依頼がありました。代表の髙木と私で意見交換を行った結果、ワークスペースにおけるコミュニティ作りに方針転換することになりました。
しかし、当初の計画ではサテライトオフィスの開業、つまりコミュニティ機能に着目しておらず、無人運営を前提に議会の予算承認を受けていました。人件費が計上されていない状況でコミュニティを作らなければならないという課題に直面しました。そこで立ち上がったのが宇陀市職員の皆さんでした。
コンセプトの練り直し。"サテライトオフィスうだ"から"SOUDA"へ。
まずは名称の再検討が行われました。当初の「サテライトオフィスうだ」という機能を説明するような名称が適切かどうかが問われました。そのディスカッションの中で、「集まった人がやりたいことを語り、それに対して『そうだそうだ!』と同調する人が現れる」という情景がチーム内で共有されました。しかもSatellite Office UDAと書けば当初計画の名前の通りです。最終的には宇陀の未来を〈想像/創造〉し、育てていく場所心通ずる「あたたかい」コミュニティが生まれることを願って創る
共創サテライトオフィスとしてコンセプトが出来上がりました。
地道で泥臭い利用者増加への取り組み
ウェビナー中にも触れられましたが、外部の方との打ち合わせは市役所ではなくSOUDAで行うようにしました。市役所からSOUDAまでは歩いて10分かかりますが、この変更を実施しました。また、同僚の御子息に「勉強もできるので使ってください」と広めるなど、泥臭く利用者を増やしていきました。その結果、集まった方々は多様な顔ぶれとなり、中高生から大人までが立ち寄るスペースになりました。
コツコツとSOUDAに想いをかけて積み上げた実績
そういった努力が功を奏し、SOUDAには開業から9ヶ月あまりでのべ500名以上の利用者がありました。また、SOUDAの開業以来リピート率も向上傾向にあります。オフィスも24年中には3区画全てが満室となり、ブーススペースは全体の1/3、コワーキングスペースは1/5が契約されています。これらを市職員の皆様を中心とした尽力によって実現しているところは極めて特筆すべき点でしょう。今後もさらなる利用者増が見込めます。
ディスカッションテーマ:施設認知度向上への取り組み
利用者増加に取り組んできた宇陀市の皆様の関心は、やはり施設の認知度向上にあります。今回のイベントでは、参加者がブレイクアウトルームに分かれ、アイデアや具体的な取り組みをシェアしました。特に今回は、民間でコワーキングスペースを運営している方々が参加していたため、普段自治体職員だけでは得られない意見を聞くことができました。
公共の施設では公平性が重要とされますが、コミュニティづくりにおいては特定の利用者を中心に居心地の良い環境を作ることで、利用者が友人を連れてきてくれるようになります。また、SNSを活用して施設の認知度向上を図るといった意見もシェアされました。
次回予告:10月3日(木) 13:00~
事例:鹿児島県鹿児島市(mark MEIZAN)
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