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カミーノ巡礼スタート。ピレネー超え。美しすぎる景色。6月20日。
美しい朝靄の中を歩く
6月20日出発の朝、鳥のさえずりで目覚めた。
朝食も、夕食を一緒にしたフランス人たちと一緒。
席に着くや「Would you sleep well?(よく眠れた)」と声をかけてくれた別の男性は、ストックホルムで航空関連の仕事に就いているという。
7時30分、スポーツ用スパッツと剱岳で履いた靴下を装備して出発。今日進む「ナポレオンルート」は、ナポレオンが遠征の時に通ったとされる歴史のある山越えの旧道で、冬は閉鎖される。映画「星の旅人たち」で、息子が亡くなったとされるルート。
美しい朝靄の中、勾配の厳しい坂道を登り続けた。
さらに急坂になると近くに巡礼者たちが増え、互いに挨拶し合う。
元気よく声をかけてくれたのはアメリカ人のフェリーぺ。西海岸サンタモニカから来た。すぐ写真を撮ってくれて僕にメールを送ってくれた。
しばらく二人で話しながら坂道を登った。
休憩場所で、ブラジル人、台湾人、韓国人、中国人(香港人)、スウェーデン人みんなから、僕を韓国人と勘違いされた。自分には韓国人っぽい見た目が何かあるのだろうか。
フェリーぺと追いつけ追い越せを繰り返す。そのたびに勝手に写真を撮り合った。
話していると思ったら休んだり、いつのまにか距離が離れたりと、歩く人たちの距離感が心地よい。
昼寝する馬を間近に
気が付くと、牛や馬、羊が自分たちと同じ道を歩いている。昼寝をする馬を間近で見たのははじめて。
素晴らしい景色に、小学生の時に見た映画「サウンド・オブ・ミュージック」を思い出し、あれってどこだっけとスマホを操作したら、しっかり電波が届いていた。映画はオーストリアのザルツブルグだった。
昼寝が気持ちよさそうな草原が広がっているが、寝転がったら動物たちの糞を背中に付けてしまいそうでやめた。
いつのまにか国境を超えていることをGPSで確認。その後一機に下り道へと変わった。途中道を間違えたが、戻ることができた。今日の目的地ロンセスバージェスまでもうすぐのところで、フェリーぺと再会。
「君はだいぶ先を歩いていたのにどうしたの?」
「途中で道を間違えたんだ」
そこからは、最後まで一緒に歩いた。
巡礼宿アルベルゲ
ロンセスバージェスのアルベルゲでは、今日71番目の受付。
アルベルゲは巡礼者用の宿で、クレデンシャル(巡礼者手帳)を持っていないと宿泊できない。価格相場は5から13ユーロで、金額は決まっていなくて寄付だけのアルベルゲもある。
スタッフから「どこから来たの?」と聞かれて日本と答えたら「シッコク、シッコクー」と急にテンションが上がるから、一瞬わからなかったら、シッコクは四国のこと。友人がお遍路巡りをしている最中らしい。
夕飯は、併設されたホテルの宿泊者も一緒で8人の円卓。僕はフェリーぺと並んで座った。
その他にアイルランド人夫婦2組とイングランド人夫婦。全員が名前を言って挨拶してくれたけど、よく聞き取れない。
なぜか夫婦3組とも全員元教師。フェリーぺも2週間前に教職を辞めてきたばかり。昨日も元教師に会った。
みんなよくしゃべる。1時間が過ぎた。
さすがにみんなの英語にちゃんとは付いていけないけど、会話の中にPensihonが多くなって来たところで、イギリス人の夫が「もうその話をやめろ」と言ったら、お開きになったのがわかった。
Pension(ペンション)という単語が、年金という意味だとはそれまで知らなかった。