シベリア鉄道6泊7日がはじまる。6月5日
ウラジオストックから出発
シベリア鉄道出発の夕刻まで、ウラジオストックの街を散歩し買い物も済ませた。
女性は皆、モデル顔と体型、服のセンス。テニスのシャラポワ選手のような美人ばかり。
ヨーロッパ風の石造りの建物群なのに中はショッピングモールで、本屋も肉屋もドラッグストアも電気屋も、外からはイメージできないカラフルな商品で彩られていた。
果物の露天売りでサクランボ500gを買ってその場で完食。
アルセーニエフ博物館のロシア視点で描かれた日露戦争コーナーは興味深く、去年旅行で行った対馬が戦場になっていたことをはじめて知った。
スーパーで、水3ℓ、フルーツジュース1ℓ、あとクッキーとパンを買い込んで駅に戻った。
7日間を過ごす列車は、全17車両の「シベリア鉄道・ロシア号」。ホームが曲がっていて車輌の両端が見えない。
4人用コンパートメントの下段のチケットを買ってあったのだが、車両に乗り込み、車掌に案内されたのは、上段シート。言葉の通じない車掌は「最後に乗ってきたのだから仕方ないだろ」という顔つき。
僕の下は40代男性でその後寝てばかりいるから、日記に「眠り男」と書いた。
向かいの上下は30代夫婦で、モスクワまで行くらしい。3人ともに簡単に挨拶をしたが会話が続かなかった。
発車直後からwifiが途切れ途切れになり、1時間もしないうちに繋がらなくなった。同部屋の人とはコミュニケーションとれないし、ネットも見られない。この旅始まって以来の不安な気持ちになってしまった。
出発して30分ぐらい経って車掌が来て車内での注意事項らしきことを話し始めたがまったく聞き取れない。そして検札。
僕は、この機に下段シートに空きがないか交渉しようと思い、スマホの翻訳機能を使うことにした。実は、フェリーで知り合った日本人から「スマホに現地語設定をしておけば、翻訳機能を使ってチャットができる」と教えてもらって、キリル文字を設定してあった。
設定方法は案外簡単 。
翻訳アプリを立ち上げて車掌を呼び止めて、スマホに向かって日本語で「下段のチケットを持っている。どこか開いている下段のシートに移動できませんか」と話し、キリルの文章が表示された画面を車掌に見せたら、彼が僕のスマホを手に取ってキリル文字で入力してくれて、それが今度は英語で表示された。
結局、席の移動はできなかったがやむを得ないと納得した。
僕のいる2等車両には、4ベッドの部屋が9部屋とトイレが2カ所、車掌事務室と車掌仮眠室もついている。シャワーは遠くの車両ににある。
各車両にひとりいる車掌は、全駅での乗り降りの対応と、1日2回の掃除機がけとトイレ掃除、ゴミの回収、お土産販売、クレーム対応、シャワー希望客の対応。停車中は車輪まわりのチェックのようなこともしていた。
交代はない、大変な仕事だ。十数人見かけたうち男性は2人だけ。数時間おきに起きて働く子育てのようなサイクルだから女性に向いているかもしれない。
実は、ネットのブログで「シャワーには袖の下が必要」とあって心配したが、鉄道最初の晩に、150ルーブルを車掌に支払ってシャワーを浴びることができた。