シベリア鉄道6日目。ふとした優しさに目頭が熱くなる。6月10日
会話の全くない室内
眠り男が下車してからも夫婦とはあまり話せず、さりとて夫婦どうしも会話がないので、部屋はいつも静かだった。
6日目。明日モスクワに着くその夜。夫婦は下段のシートに向かい合わせてタブレットの画面で連続ドラマを見続けていた。
上段のベッドで本を読んでいた僕が、足元に脱いだままの靴下を下段に落とし、男性の頭に乗っかってしまった。
やばいっ。と思った次の瞬間、夫婦揃って大爆笑。何かツボにハマったらしい。
しばらくして、もう寝ようとしたら、夫婦が鳥の燻製肉をプレゼントしてくれた。
最初拒否反応が大きかった分、その対応が嬉しくてなぜか目頭が熱くなってしまった。