7人パーティとなる。スイス在住インド人。デンマーク在住イタリア人・ドイツ人・韓国人2人・ルーマニア人・日本人。7月11日
ガリシア州へ
標高600メートルから1300メートルまで登って、また600メートルまで下る区間。頂上部分が州境で、終着サンティアゴ・デ・コンポステーラが州都のガリシア州に入る。
「ガリシアは天気が安定しない」と聞いていたが、頂上を越えたら雲のような霧に覆われた。
聞き覚えのある声に振り返ると、霧の中から現れたのはオーストリア女性ハイディだった。
約2週間ぶりの再会。前に会ったときは「荷物を軽くするためにメイク道具とシェーバーまで捨ててきちゃった」なんて言っていた。
「だいぶ痩せたね」と言うと、後ろを向いてガッツポーズ。
彼女は僕を上から下まで見て「あなたは、よく焼けたね」。
頂上の教会を見に行くというハイディと別れ、しばらくして霧が晴れると3人組に「一緒に歩こうよ」と声をかけられ、続いて前に歩いていた3人も合流して「7人衆」でしばらく歩き続けた。
ニートゥは、スイス在住のインド人女性(20代)。イタリアに永く住んでいたらしい。
カルロスは、デンマーク大学のイタリア人男性(20代)。ニートゥのイタリア時代の友人。
コンスタンティンは、ドイツ人男性(30代)。足を痛め1日15キロずつ進んでいる。
コンスタンティンが「日本人の発音はひとつの音がハッキリしている。だってメッダーナルをマ・ク・ド・ナ・ル・ドって言うんだから」と言ったら、あとの2人が大爆笑。
カメラ好きのニートゥに「日本では一眼レフとかイチガンって言う」と教えたら「イチガンね、覚えた」と喜んでいた。
カルロスとコンスタンティンと僕が並んだら、カルロスが「僕たちの国って…」と言ったので、僕が「戦争で同盟を組んで負けた国だ」と答えて3人で顔を見合わせた。
あとから合流した3人は…。
韓国人のヒョンスとチヘは、海外沿いのルート「北の道」から合流。
再会のアニは、アルベルゲで足をケアしていたルーマニア人。「足の調子は? 9個の肉刺は治った?」と聞いたら「あの時の肉刺は全部治ったけど、また新しいのがたくさん出来た」。
カルロスとヒョンスと僕が並んでいるとカルロスが、「韓国人から見た北朝鮮ってどうなの?」とか「日本人と韓国人の関係性を一般論と個人論で教えて?」とか聞いてきた。
その都度ヒョンスは、あえて僕にも理解できるような簡単な英語で明快に意見を言った。
僕がヒョンスに「君の英語の表現はとても良いね。どこで勉強したの」と聞いたら「グローバル企業だから会社が英語習得をサポートしていて、習得に応じて昇給する」とのこと。
実は今日のルートは途中で二手に分かれる。僕だけがアーバサを目指す。
別れは名残惜しかったが、サンティアゴまで200キロを切り、到着までのルートとペースを決めたばかりだ。
アルベルゲはシャワーもオーガニック石鹸しか使えないベジタリアンの宿だった。
たっぷりの根菜と玄米でお腹いっぱい。久しぶりのお米が嬉しい。
さらに良かったのは、宿泊者も宿のスタッフも全員がNetflixの「ブラック・ミラーシリーズ」が好き。フランス人、ドイツ人、イタリア人、スペイン人、日本人、国は違っても同じ作品にハマっていたことが嬉しい。自国でこの作品の魅力を言ってもあまり共感してもらえないことも共通していた。
科学技術が引き起こす悲喜劇を描いた近未来の短編ドラマ集で社会風刺の側面が強い作品だ。ベジタリアンの人の思想に近いのかな?わからない。
その後話は下ネタになったのだが、下ネタの言葉には付いていけず、ほとんど理解不能だった。