近況(6.26)
頭が重たくてぼーっとする日々が続いていた。
本を読んでも頭の中が張っていて全然文字が入らないし、映画を見ていても世界に入り込めない。アフターサンを観ているときに気分が悪くなり、10分程寝てしまった。(気分が悪くなる描写など無かったはずだが)目の前の仕事を淡々とこなそうとするも早い鼓動を抑えることもままならなくなり、呆然とした状態で地下鉄を乗り継いで帰宅、しかし気力が湧かず、現実への関心はどんどん希薄になっていった。
このままじゃ間違いなくダメだ━━━
原因は梅雨だからではなく、今までの生活と180度違う世界で生きていくことを選択したせいだと薄々察していた。
仕事のため、将来のため、今まで自分が積み重ねてきたこととは違うものをゼロから積み上げていくことがどれほど辛く苦しいことか分かっていなかったらしい。
美術大学に入学してから今日までの間に、自分で納得できる絵をたくさん描けていた訳ではない(=自分の絵描きとしての実力に疑問を抱いている)。節目節目で絵を辞めていく人を見てきたので、いつか自分が絵を描かなくなってしまっても納得できるものと考えていた。
欺瞞だった。
多少興味がなくても割り切って仕事できると思っていたが、全く絵に関係ない仕事をしていて心の中にぽっかり穴が開いてしまった。
例えば、ずっと隣にいた大切な人への気持ちが少しづつ離れていって、ふと隣を見たらいつの間にかその人がいなくなってしまっていた…そんな感じかならきっと諦めもつくんだろうけど、自ら大切な人を殺めてしまったようでどうしようもなく悲しかった。自分では”絵を描かなければいけない”という思いは自身で掛けてしまった呪いだと思っていたけど、案外その直感は間違っていなかったらしい。
新しい職場の人にこう言われた。
「美大出身ってことは絵描けるの!?それなら今度何かをサラサラって描いてみてよ!」
何を描けって?
同じ畑の人しかいない世界に長いこといたから忘れてたけど、絵が描けることを芸の一種みたいに扱われるたびに心に影が落ちていたことを思い出した。一流画家でも無いんだし、いちいち気にすることでもないのだが。
そんなこんなで、また人生迷子になった。
真っ直ぐ正しく普通の人として生きるのはもう難しいんだろうか。
とりあえず、世の中一般の正しさとか真面目さを追求すると息が詰まるから、まぁほどほどに適当に生きようと思った。
ジンジンする頭を少し休めたら、マイナビバイトでも眺めてみよう。
お絵描きフリーターおじさんの方が性に合ってるんだったらそれでもいいよね。