半導体チップの限界をこえる「光電融合技術」でニッポン半導体の復権⁉

コンピュータで演算を行うチップは従来、使い勝手の良い電子技術が活用されてきましたが、近年の高集積化でチップ内の配線が熱を帯び、性能が制限されつつあります。
チップ内の配線部分を電子でなく、光通信技術を導入し低消費電力化を行う、さらには光技術ならではの高速演算技術を組み込んだ、新しい光と電子が融合した光電融合技術をつかったチップが開発されつつあります。

NTTは2019年から20年にかけて、光電融合を実用化するための「光トランジスタ」「全光スイッチ」「光論理ゲート」などの技術開発に成功したと発表しました。
「光トランジスタ」は、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換し、入力した光信号を別の光に変換・増幅する素子。
「全光スイッチ」は、光信号のオン/オフや光の行き先を切り替える。
「光論理ゲート」は超高速の演算処理を担う。
NTTは、これらの光電融合のデバイスを搭載した機器を配置した「オールフォトニクス・ネットワーク」を構築し、ICTインフラの性能を格段に向上させることを狙っています。

 光電融合の名の通り、IOWNが実用化に入っても、しばらくは光とともに電気・電子によるデータ処理が続く。(NTTの技術部門トップ常務執行役員の)川添氏は、「電子データを集積して処理するための(CPUなどの)デバイスは、TSMC(台湾積体電路製造)の半導体工場などが担い、それらの部品を載せてネットワークに設置する機器のインターフェースは光の処理に置き換わっていく。ここを担う新しい生産体制は、ぜひ、日本で取りたい。ファウンドリー(半導体受託製造会社)など生産拠点の一部を日本が担うことが必要だ」と力を込めた。
 そうした生産体制構築も視野に入れて、NTTは今年(2021年)4月、富士通の半導体設計子会社を買収すると発表している。
 NTTは前身の電信電話公社時代から電話交換機(コンピューターの一種)用の需要が、NEC、富士通、日立製作所などの「ファミリー企業」の半導体事業を支えた。ただ、当時の存在感は需要家の域を超えていた。77年に旧電電公社は世界に先駆けて64キロビットの超LSIメモリーの試作に成功するなど、「家長」として半導体の研究開発で主導的な役割を果たした。「NTTこそが日本の半導体開発の元締めだ」との指摘もある。

ニッポン半導体の復権なるか?NTTの「光電融合」技術

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