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本当に住んで幸せな都市とは?官能的なセンシュアスシティ
2022年4月6日、SCI-Japan ウェビナー/センシュアス・シティ ~ 都市の魅力を測る新しいものさしに参加しました。
都市の魅力とはなんだろうか。楽しく幸福に暮らせる都市とは、どのような場所だろうか。
ぼくは街を歩いていて時々考えます。
今回のこのウェビナーでは「新しいものさし」で都市を測ってみた面白い試みです。
LIFULL HOME'S総研と島原氏が発表したこの『センシュアス・シティ[官能都市]・ランキング』では、都市生活の関係性と身体性にかかわる動詞(アクティビティ)に注目することで、「住みよい街ランキング」等のこれまでの指標では測れなかった都市の魅力を明らかにしています。
調査結果の詳細はこちらのサイトにあります。
横丁が失われ、つまらなくなる
お堅い調査報告書というわけではなく、まちを情緒的にとらえた小説のようなレポートです。冒頭から武蔵小山が再開発によってつまらないまちになってしまったことを嘆いています。
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武蔵小山だけではない。大都市東京の中にいまでも残る横丁の多くが風前の灯火だ。
100年に一度の再開発が進む渋谷も例外ではありません。
渋谷駅を降りてすぐの線路沿いには、のんべい横丁として一部は残っています。
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一方、宮下公園は近代的な建物の屋上になり、「渋谷横丁」と称した飲食店舗が近代的な建物の1Fに入居しています。
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都市の魅力をはかる新しい指標
今回の調査プロジェクトの大きな目的は、都市の本当の魅力を測る物差しを模索し、提案することである。
ぼくは、見上げて空がしっかり感じられるように、電線がなくなり、そのかわり幹線道路には雨が降っても濡れない歩道があり、そこには光ファイバーが走っていてほしいと思います。かといって無機質な街ではなく、ビオトープのように人為的であれ複雑な形をして、さまざまな生き物が交流する街が面白いと思っていました。
今回の調査はぼくが思っていた「人間のビオトープ」的なものが言語化され、指標になっているのでとても興味深い調査でした。
建築家ルイス・カーンの「都市とは、小さな子どもが歩いていくと、将来一生をかけてやろうとするものを教えてくれる 何かに出会う、そんなところだ」は有名だ。詩的でありつつ 本質をつく名言だと思う。要するに彼の言いたいことは、都市とは、そこに多様な人々が生きていて、その多様性との出会いがある場所であるということだろう。
・人とおしゃべりをしたくなる場所
・座ってくつろぎたくなる場所
・恋人と手をつなぎたくなる場所
・タバコを吸いたくなる場所
・ランニングをしたくなる場所
などなど
なんらかの行為を促される空間が、確かにまちには存在します。
そんな指標をいくつかのグループにわけて、得点をつけていきました。それを元にランキングしたところ、第1位は東京都文京区となったと報告書を伝えています。
人間の行動をもとにしたこうした調査は都市に対して新しい視点を与えてくれます。