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UCL matchday1 ユベントス vs PSV

24-25シーズンのチャンピオンズリーグが開幕しました。新しいフォーマットで参加クラブも大幅に増加し、早速シティvsインテルという一昨季の決勝カードが実現するなど大きな変化が見られます。そして、我らがユベントスは、移籍市場で活発な動きを見せ、モッタ新監督の下で新たな船出を迎えました。新生ユベントスのUCLデビュー戦を振り返っておきます。

ハイプレス×ボール保持

ユベントスのスタメンは、ディグレゴリオ、カルル、ガッティ、ブレーメル、カンビアーゾ、ロカテッリ、マッケニー、ニコ・ゴンザレス、コープマイナース、ユルディズ、ブラホビッチ。ベースフォーメーションは1-4-2-3-1と表記して問題ないと思いますが、中盤はマッケニーは上下動を繰り返しており、ロカテッリは守備時にディフェンスラインまで下がるため、4-3-3の並びだったり、5-2-3の並びになったりしていました。攻撃時にはマッケニーが上がってPSVの4バックに対して数的優位を作ることを狙っていました。守備時にはロカテッリを下げて5バック化し、SBとCBの間のスペースを埋めて数的不利に陥らないように設計されていたように思います。4バックに対して5人が前線に並んで数的優位と位置的優位を得るという4バック対策の基本に忠実な設計をしてきたということでしょう。

そして、4-3-3をベースに、4-4-2へと変化してハイプレスを仕掛けてくるPSVに対抗してロカテッリを最後尾まで下げて3バック化して数的優位を作りつつ、カンビアーゾがアンカーポジションまで入ってくる流動的なポジショニングでビルドアップを展開。ゴールキックや自陣深くからのスローインなどでPSVがマンマーク気味にハイプレスを嵌めて来た時にも動きながら少ないタッチ数でショートパスを繋いで前進を試みていました。困難な状況でもボールを繋ぐという姿勢を見せ続けていたことにモッタのこだわりを見た気がします。

非保持局面では、PSVの中盤にはユベントスの中盤がマンマークでつき、ブラホビッチが2CB間に立ってパス交換を阻害。ボールをサイドに追い込んでSBにはウイングが、ウイングにはSBがついてパスコースを遮断してブラホビッチがボールを持つCBを追い込むという形でハイプレスを仕掛けていました。CBからのパスコースは全てマンマークで消しているので、PSVはロングボールを蹴るしかなく、ガッティとブレーメルが競り勝ってマイボールにしていました。特に前半はこの形で何度もPSVを追い込んでボールを回収していました。ハイプレスを仕掛けてボールを回収し、低い位置でハイプレスを受けてもボールを繋いでボールを保持する。マイボールの時間を多くすることを志向していることが読み取れました。

No.10 ユルディズ

この試合で傑出していたのはユルディズでした。先制ゴールは素晴らしいの一言で、ユベントスの10番を背負うに相応しい選手であるということを改めて証明するプレーになったのではないでしょうか。それに加えてPSVのハイプレスを受けても全く動じることなく体をぶつけてボールをキープし、プレスを外してボールを運んでしまうフィジカルと技術とメンタル。PSVとしてはハイプレスを嵌め込んでユルディズにアタックしていると思います。それでもボールを奪われず、逆にプレスを剥がしてしまうあたり、並の選手ではありません。さらにアッレグリが高く評価していた守備での貢献も大きく、マッケニー、ロカテッリと3センター気味に守る場面も度々ありました。中を閉めてボールを外へ誘導して、ウイングにはカンビアーゾとダブルチームでついて押さえ込む。守備フェーズでもチームへの貢献度は高く、攻守において不可欠な選手でしょう。

今後の展望

ボール保持×ハイプレス。現代サッカーの主流のスタイルを導入し、モダンなサッカーを展開しようとするユベントスのフロントとモッタ監督の強い意志を感じる試合でした。

ただし、このスタイルは現在、多くのチームが目指すスタイルであり、当然ヨーロッパの上位チームが採用しているスタイルでもあります。同じスタイルのチームがぶつかった場合、プレースタイルや戦術で差が生まれにくいのであれば戦力によって勝敗が決まるでしょう。セリエAでは戦力的にも多くのチームを上回っているユベントスがモダンなスタイルを取り入れれば鬼に金棒。おそらく、自然と上位に入ってくるでしょう。CL圏内はマストの目標です。問題はセリエA上位のチームとの対戦、CLでのビッグクラブとの対戦です。まともにぶつかれば、勝てるかどうかわかりません。いや、戦力的には相手が上ならば負ける可能性の方が高いかもしれません。

では、どうするか。一つは完成度を極限まで高めることです。昨季のレバークーゼンのように。モッタ監督の目指すスタイルを徹底して磨き上げ、プレースタイルの完成度で上回ることができれば、戦力が上の相手でさえも貫けるかもしれません。そのために今夏、コープマイナースをはじめとした戦術理解に長けた選手を獲得してチームを作り替えてきたはずです。もう一つは、選手のコンディションに細心の注意を払うことです。ビッグクラブとの対戦の前にユルディズやコープマイナースをケガで欠いてしまうとさらに難しい試合になってしまいます。大胆なターンオーバーも視野に入れる必要があるかもしれません。少なくとも、中盤から前には昨季と比較してより厚い選手層を持つことができています。怪我による離脱をできるだけ避けることがとても重要になるでしょう。

日々のトレーニングでモッタ監督の考えるフットボールを徹底して磨き上げ、その上で選手のコンディション調整に細心の注意を払う。これが今季のユベントスの勝ち筋のような気がしています。

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