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UCL Matchday6 レバークーゼン vs インテル 〜インテルは最初から引くつもりだったのか?

レバークーゼンとインテルの試合は、終了間際のゴールでレバークーゼンに軍配が上がりました。試合自体もレバークーゼンがボールを保持して押し込み続ける展開で、支配率はレバークーゼンが62%。シュート数も10対1とレバークーゼンが圧倒しており、レバークーゼンの勝利は妥当な結果だと言えると思います。ラウタロ、ディマルコ、バレッラをベンチに置くなどターンオーバーの関係もあったと思いますが、いささかレバークーゼンにボールを保持されすぎたようにも見えました。

レバークーゼン

レバークーゼンのスタメンは、コバール、フリンポン、ムキエレ、ター、タプソバ、エンカピエ、パラシオス、ジャカ、グリマルド、ヴィルツ、テラ。5-3-2をベースに、両WBが幅を取り、3バックがインテルの2トップに対して数的優位を確保してボール保持を狙います。ムキエレとパラシオスはよくポジションを入れ替えていましたし、ヴィルツは自由を与えられていて前線から中盤を動き回り、主にライン間でボールを受けてチャンスメイクしていました。ハイプレスにも積極的で、インテルの3バックまでプレスに出ていました。インテルから早めにボールを奪って、できるだけ自分たちがボールを保持する時間を長くして試合をコントロールする狙いがあったと思います。

インテル

インテルのスタメンは、ゾマー、ダルミアン、ビセック、デフライ、バストーニ、アウグスト、フラッテージ、チャルハノール、ジエリンスキ、タレミ、テュラム。こちらも5-3-2をベースに、CBも積極的に攻撃参加をするスタイル。ただし、積極的にハイプレスに出るわけではなかったので、レバークーゼンのボール保持に制限をかけることができず、押し込まれる展開が続きました。多くの時間を守備に使い、自陣で過ごす時間が増えていました。レバークーゼンにポジションを整理する時間を与えていたのでカウンターもうまく対応されて不発に終わり、試合を通じてインテルの攻撃は封殺されていたと言っていいと思います。ラウタロ、バレッラ、ディマルコをベンチスタートにしたことが響いたことは間違いないでしょうが、それでもレバークーゼンにボールを保持されすぎた点は勝ちの目を潰してしまった原因でしょう。

ジャカとチャルハノール

この試合の大きなトピックは、インテルがハイプレスに出なかったことです。もっと具体的に言うなら、チャルハノールをジャカにぶつけなかったことです。レバークーゼンの3バックに2トップをぶつけ、パスコースを切りながらボールをどちらかのサイドに誘導すれば、中盤から後ろも連動してマークについてレバークーゼンのボール保持を阻害することはできたはずです。ここで重要なことは、3バックの前にポジションを取っているジャカにボールを出させないことです。2トップの裏でジャカにフリーでボールを持たれてしまうと、ドリブルによる前進、ロングフィードやサイドチェンジ、ライン間への縦パス……とあらゆる選択肢を与えてしまうことになります。それらをケアするためには、守備全体を下げて対応するしかありません。互いに5-3-2をベースフォーメーションとしているので、中盤でマークする相手もある程度は決まってきます。ジエリンスキとフラッテージはハーフスペースに入ってくるグリマルド、パラシオスをマークしていたので、ジャカにマークに行くならチャルハノールを上げるしかなかったと思います。しかし、インテルはチャルハノールを上げてジャカをマークさせることをしませんでした。2トップがプレスに出ても3バックとジャカを含めた2対4の数的不利を強いられたのではほとんど意味がありません。インテルはミドルブロックをベースに守備をしていました。

一方のレバークーゼンは、積極的にハイプレスに出て、3バックの前でボールを受けようとするチャルハノールに対してジャカを上げてマークにつけてきました。インテルの3バックにはテラとヴィルツがコースを限定しながら寄せていきます。近くにいるチャルハノールはジャカがマークについているので、インテルはレバークーゼンの守備が誘導する方向にボールを動かすことになり、詰まってしまってロングボールを蹴るか、プレスに引っかかるケースが多くなりました。そして、インテルはハイプレスに出ないのでレバークーゼンのボール保持は安定して、レバークーゼンが押し込み続ける展開が続きました。

試合当初のプランとしてミドルブロックを選択していたのかもしれませんし、最初から引き分けOKでゴール前で跳ね返し続けるつもりだったのかもしれません。試合後、シモーネ・インザーギ監督はインテルが試合を支配していたとコメントしていました。このコメントが強がりでなければ、インテルはゴール前を固めて失点しないことで十分と考えていたのかもしれません。確かに、シティ、アーセナルに対しても守備に重心を置いて戦っていました。シティとは引き分け、アーセナルには1-0で勝っています。レバークーゼン相手にも守備から試合に入ってカウンターかセットプレーで得点して1-0、0-0引き分けも視野に入っていたのかもしれません。

ただ、徹底して押し込まれ、枠内シュート0に抑え込まれてしまったのは、試合を支配していたと言えるでしょうか?ハイプレスに出なかったのは、インザーギ監督の戦術的な決定なのか、それともチャルハノール個人に起因するものなのか、その辺りはわかりません。しかし、チャルハノールを押し上げてハイプレスに出る時間帯を作っても良かったのではないでしょうか?

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