天の子
昔、ある村に美しい娘がいた。娘は毎朝早く起きると、天から降ってくる朝露を毎朝飲んでいた。ある日、子供を身ごもり男の子を産んだ。その子が生まれたとき、天から不思議なものが落ちてきた。それは太陽の半分と月の半分がくっついたものだった。娘はそれを大切に持っていた。
月日がたち、男の子は学校へ行くようになった。さすが天の子だけあって何をさせても一番になった。ほかの子供たちは、それを妬んで意地悪を言うようになった。「お前は、とーちゃんも兄弟も姉妹もいない。一人っ子!」
泣きながら帰ると男の子は母親に「僕のとーちゃんはだれ?教えて!」と尋ねると、黙っていた母親が答えた。「実はあなたは天の神の子よ。印があります見せましょう。」
それは大切にしている太陽の半分と月の半分がくっついた丸い形をしたものだった。男の子はそれを手に取ると、急に身体が軽くなり空を飛べつようになった。そこで男の子は「お父さんに会いに天に行ってきます!」と言うと男の子は天の子の印を持って、天に昇っていった。
天の御門には怖い顔の門番が立っていた。「お前は何者か」と聞くと男の子は「私は天の神の子だよ、この印を見てごらん」と言って門番に印をみせると宮殿に入るのを許してくれた。宮殿には、天の神とその妻がいて、男の子がていねにお辞儀をすると、天の神とその妻は驚いた。男の子は「天の神様、私はあなたの子供です。あなたに会いにきました。」と伝えると、天の神もその妻も大変おどろいた。「それなら証拠を見せないさい!」とその妻は言った。男の子は太陽と月の丸い印を出して見せた。
なんとまぁ宮殿にあるのとそっくりではありませんか。宮殿に飾ってある満月の半分、太陽の半分を合わせると、ぴったり合って二つはまんまるくなった。
その妻はあることを思いついた。「おまえが天の神の子なら、天の子の力をみせなさい。ちょうど私の7人の子供でも退治できない鬼の城がある。その城を落とすことができるのなら、あなたを天の神の子としてみとめてあげましょう。」と男の子に言った。男の子はすぐに鬼の城に向かった。
城にすむ鬼たちは毎日悪いことをして人間たちを困らせていた。「天の印」を持っていた男の子はそんな鬼たちをあっという間に退治することができた。「天の印」はとても不思議な力があったのだ。
宮殿に戻ってきた男の子は「鬼の城を落としてきました。」と報告した。その妻は、「おまえが天の子だと言うことは認めよう。しかし、天には7人の息子たちがいる。おまえをここに置いておくわけにはいかなから、おまえはもう一度人間界の世界にもどって、琉球国の按司(領主)になりなさい。人間界にはおまえの妹を送ってやるから、その妹は、神を祀る祝女(ノロ)にしなさい」と言った。
そのあと、男の子は人間界にもどって、琉球国の按司になり、妹は祝女になった。これが琉球国の按司と祝女のはじまりだという。
おしまい。
また、沖縄の民話をご紹介したいと思います。
それではまた。
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