【写真】hit and run,with #slowlight and you.
騙されたと思ったことはあるかい?
ジョニー・ロットンはそう言った、らしい。
ねえ、教えてよ、ナナ先生っ!
麗しの家庭教師に憧れた中学生男子は、勉強だけではない、人生やその真理まで(主に性とその秘密について)、すべてを21歳の家庭教師の大学生に知りたがったのでした。
だけど、肝心のナナ先生は、なんたることや未経験。彼のあれやこれなんて、そんなこと考えもしていなかった。
いまや、「君は放課後インソムニア」が代表作のオジロマコトさん。以前はそんな物語を描かれていました。「カテキン」。大好きだったな。手放してから読みたくなる本がある。
中学生の男の子に限らず、いつだって、誰かに教えを乞いたいのが人。僕も、ナナ先生がいたらいいのに、とよく思う。
学生のころ、西村良太という友達がいた。
あるクラスで、実習が早く終わり、先生ふくめ、クラス全員での雑談になった。若かりしころ、世界中を旅して回ったことがあるという、先生。
「みんなは、どこか行きたい国とかある?」
その質問に、アメリカ、フランス、中国……それぞれにそれぞれの理由を添えて。僕は「砂漠と海があればとこでも。出来れば、世界中を旅してみたい」と答えました。そして、誰もが待つ良太の解答は。
「山口かな」
全員の「え?」が聞こえる。ヤマグチ? そんな国あったっけ。それ、山口県やろ。なんなら、良太の地元やんけ。
「おま、それ、里帰りやん」
誰かの的確なツッコミ。
「あ、そうか。じゃあ、ニューヨークにする」
と良太。
「……なんでニューヨーク?」
誰もがそれを知りたかった。
「なんでって。外国はニューヨークしか名前知らんから」
当たり前のように良太は言った。ニューヨークをひとつの国家として認識しているのだろう。しかし、それ以上は言うまい。
本当に良太はとんでもない奴だった。
それでは、明日は、好評連載中の、超音速スーパーバトル小説(#荒唐無稽)、「超獣ギガ(仮)」の第13話です。
初戦を終えた人々。そして、回復する日常。昭和99年の年末を生きる、花岡しゅりや、鳥谷りな、彼らの過去に触れつつ、物語パートの開始です。お待ちくださいませ。
それでは、また。ビリーでした。
photograph and words by billy.