文スト神奈川近代文学館コラボ講演会メモ(前半)
はじめに。
グッズ販売停止のお知らせにやきもきしたりはしましたが(いえ、あんまり買ったりしないんですけど、売り切れると途端に気になったりとかね、しますよね)、講演会に当たっていたので初日は外していってきました。
展示では釣り好き文豪の開高健の釣り師匠が井伏鱒二だという事実を知りまして、井伏鱒二と太宰治のグラビア写真のシチュエーションが予定では釣りの様子だったのをその予定を知りながら太宰治が羽織袴で現れたため森でのツーショットに変更した…というエピソードを思い起こし、文豪ご自身を知る楽しみとはこういうことだよ…と味わったりしました。会期中にもう一回行きたいな…
講演会のレポは以下に。Xを使いこなせない自分のためのメモなので、なるべく意訳なくそのままに記録したいのですけど、速記が特技でもないのでそれなりです。
冒頭から最後まで一度もボールペンを止めず、でも折角の生講演が勿体ないので目線は登壇者から外さずに、小さなミミズ文字を書き続けていたのは私…かもしれないです…。メモしてる人多かったから目立っていないと信じてるんですが、会場そんなに広くないので、ちょいちょい先生と目が合ってたいへん恥ずかしかったです。私が仮面を被りたい。
オープニング
間違えて流れたOP曲と、きょろつく先生でほぐれる客席
自己紹介に合わせてbgm
前半は加藤さんがMCで進行(以下、●加藤さん、○先生)
想い出話など
●久しぶりに神奈川に来ましたね
○35先生との初顔合わせは中華街でした。感慨深いです
一番最初に文豪がバトルをする話と決めて連載を始めてから、御本人は亡くなられていますから本人許可を取っていないので、名前をお借りしていることに気負いがあり文学に関わる方はどう思われているかと心配していました。神奈川文学館の方からコラボをしたいと角川に電話をいただきましたが、「電話がきた」と聞いたときは、ついに怒られる!と。コラボしたいというお話で安心しました、思い出深いですね
●今日は元町を通ってきました。中原中也の異能が決まったのも元町にある二階のレストランです。
○中也については太宰と仲が悪いこと、強いこと、2人が組んだとき強くなることを条件に、長く議論しました。加藤さんの酔拳のアイデアは2秒考えてやめましょうと、やめてよかった。横浜の街を歩いて取材しながらバトルのイメージを考えました、ここで上から銃で撃たれる、とか
●35さんは当時横浜に住んでいたこともあり、舞台はここしかないなと
○文学館に来る途中にある館跡、風車がある場所はマフィアとの密会はここしかないなと。場所からストーリーが浮かびます。紅葉さんと敦が戦う山下公園も、ここであんなバトルをしたら大騒動だとか話しながらたくさん歩きました
●まだ始まる前だったので時間も会って、あちこち歩きましたね。下の展示はご覧になりましたか。
○何度も見させてもらってるものもありますが、直筆の文字から人柄が想像できますね。坂口安吾がすごく綺麗な文字だったり。太宰の4mは実際は行間が広くて1行の文字も少なくて、本当は短くも書けるけどオラァって広げるために長さが大事だったんだろうなとか。どう見られるかを強く意識している人で、見られることを意識して生きてきたと書きながら、その文章自体もこう書けばある種の人たちに刺さるだろうと考えて書いている。こういう気持ちにしてやろうと考えて書いているのが見える、技術力の高い人。お話を作る力は、現代で彼らに勝てる人はいないんじゃないかなとか思ったりしますね
●澁澤さんは?
○ちょっとエロティックな感じで…自慢ですけど、写真の展示されているお家に伺いました。奥様にお会いして、調度品を素敵ですねと伝えたら「三島さんからいただいたの」とか。髑髏は本物ですかとお聞きしたら「本物よ〜」おっしゃられてえぇっとなったら「うそよー♡」と、とてもチャーミングな方。
●球体関節人形をワンちゃんがかじっても気にされなくて…ハラハラしましたね
文豪について、太宰も掘り下げたいと思います。逸話や作品から、どんな人と捉えられていますか
○大変計算高い、技術力の高い人。対談について、純文学の大家に噛みついているが…。常に「こんな感情を与えないといけない」と意識して作品を作っていて、現代ならプロデューサーとしても通用する人だと思います
蜷川実花さんの映画ではめちゃくちゃ周りの人に流されます。あの太宰像はよくわかります、断れなくて心中しちゃう。映画にはルパン的なバーも出てきますが、安吾と二人で話すところはすごくいいですね
●ルパン行ったことある人? 多い!
○改装するというお話を聞いたりしまして、今の雰囲気がいつまで感じられるかというのもありますから、今のうちにぜひ
小説にルパンを出した時はお伝えしてなくて、アニメ化の時にすみません…と話して許していただきました。怒られると思うので、いつも後からです
●文豪ストレイドッグスの本とか置いてくれてて、やさしいおじさんたちがいます。ちょっと入口が小さくて入りにくいと思うかもしれませんが、ぜひ行ってみるといいですよね
あと、太宰といえば三鷹の陸橋…行けなかったんですけどね
○コートを着て超カッコつけてる写真の場所。お墓も三鷹にあって、緑と空気が素晴らしいです
●折角の文学館という場と機会なので、小説家としてのお話を。朝霧さんが小説を書かれたりするきっかけなどは?
○もともとお話を作ることに興味があって、ゲームが好きでドラクエの次の話をつくるならこんな話がいいなとか。それから物語を読むことに目覚めて小説を読み漁り、サラリーマンに一度はなってげろげろになって無職になり…色んなとこで話していますが色々と発信するうちに角川にから連絡があって今に至ります。今に至るまでは何がどうしたのか…?
作品づくりについて
●朝霧さんの頃からは、一昔前とは違って、1作品書き上げて投稿するだけが入口ではない時代ですね。ネットに上げて声をかけられて、ということが増えました。最初は脚本家から、スピンオフで小説家デビューでしたね
○文庫化のときに「誰が書いたらいいか?」と聞かれて、俺じゃない?と。まだ話もたくさんはできてませんでしたし。書けるんじゃないかな、と。脚本家と同じ人が書くのはあまりないですかね
●そうかもしれません。脚本と小説の違いは?
○当たり前ですが、1人で完結するかしないか。そこから派生して、漫画は1にリズム感、2番にキャラクター。リズムがない、つまりスムーズな音楽、メロディになっていないと読むことができません。漫画は35先生が演奏してくれると考えています
文章は漢字と平仮名の量・状況説明と感情表現をどう配置するかを、読み手に与えたい感情を念頭に決めていきます。気持ちを整えないとかけないし、実際に音楽を聴いたり、感情を自由に動かせるスペースを用意しないとかけない、とても難しい。情報のリズム、文字を追うスピードと内容を解するスピードが一致するよう気をつけている
●樋口一葉なんかは読んだときとても気持ちいいですね
○色もきれいだし…。もっと長く書いていてほしかったと思いますね
●キャラ作りについてもお話いただきましょう
○2通りの説明がありますが、特別に両方話しましょう。読者の方向けには…全体がパッと浮かぶことが多いです。小説が掘り起こしや設計作業であることとは違って、関係性も含めてパッと浮かんだ全体からキャッチフレーズができて、そこから派生させていきます。同業者向けは、どうやったら缶バッチが売れるかな〜って、売れててよかったな〜って思ったりしてますね
●キャラクターの立て方を聞かれることも多いですね
○言葉はよく聞きますね、キャラ立て。キャラが立つかどうかで、同じストーリーでも面白さがぜんぜん違う。演者さんがキャラを立たせることで作品全体がぐっと素晴らしいものになることも何度も経験しました。キャラが立っているとは、属性がしっかりわかりやすいといったことではない、区別しやすい外見でもない、語尾でもない。一番は、「このお話は作者の都合ではない」と強く信じられるかです。このキャラクターがここにいるからこう話が進むんだなと思える、この世界のルールでお話が進んでいると信じられる、セリフを発するキャラが輝いている、それがキャラが立つことの本質です
●これは打ち合わせでよくお話いただくのですが、俺だけで聞くのはもったいないなと思っていました
原作は12年、アニメは8年になります。出会いや影響を受けたことは?
○最近改めて、アニメはすごく原作を大事にしてくださっているなと思いました。なぜ最近改めてかは聞かないでほしいですが…。作品を変えられたらそれは落ち込むなと痛感しました。文ストアニメは力のあるクリエイターさんが揃っているので、もっと違う展開にして派手に露出して、アニメこそ本物というふうに持っていくこともできるはず。それをしないでいてくれる
5期はアニメサイドが原作を大事にしてくれたからあのような形になりました。原作から変えて、きれいに終わらせることもできました。でもそうせずに、セリフも僕が入って作らせてもらいました
漫画とアニメとメディアが違ってできないことがありますから、変えないことにはすごく技術力がいりますよね
●皆さんからの信頼で、前例のあまりないことができました
○アニメの本読みには毎回参加していましたし、おまかせして大丈夫という信頼がありました
●その信頼がある中でも、こんなことしちゃっていいの?と監督も心配されていました
○1年くらい前に僕からネームを渡してそこから作り始めたからできた追い越しでした
●原作ではじわじわとアニメで見ていないシーンが出てくるので楽しんでいただければ
○今後も文学館さんとのコラボもしたいですし、原作にも文学作品にも親しんでくださいね。文学に親しんでということは、今後も言い続けたいとおもっています
ここで前半はおしまい。
アニメプロデューサーの方の仕切りでQAコーナーになるのですが、ジイドの話とか気になるエピソード満載で長すぎるので一旦終わります。。
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