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【日本一周】43県目/群馬県

群馬をはじめ、北関東は関西出身からするとなかなか馴染みのない県。だからこそ、うろうろし甲斐があると言える。
その中でも草津温泉はある意味で忘れられない思い出になった。

焼きまんじゅう

私が群馬グルメを探してたどり着いたのが、「焼きまんじゅう」だった。甘味噌が塗られている。

お店に入るといい香り。
その場で焼いているのが見える。

お金を払って焼きまんじゅうのパックを受け取ると、お、と違和感。
思ってるよりだいぶ軽い。

お店を出て一口かじると理解した。見た目に反して、まんじゅうの中はフカフカなのだ。だから軽い。

食べ進めても具が入っている気配はなく、例えるなら、やわらかい丸パンに味噌を塗って焼いた感じの食感。不思議な郷土料理だった。

草津温泉

涼しげな水辺のように見えるのに、ここは熱々の温泉なのだ。あたりには硫黄のにおいが漂う。

草津温泉は酸性泉で、pHは2.1なのだという。

それにしても透明感がすごい。
白っぽいのは全て湯の花。その湯の花がはっきり見えるほど透明な温泉が湧いている。

お昼だが、せっかく温泉地に来たので共同浴場に行ってみることにした。
この「白旗の湯」は入浴料無料。ただし、鍵付きロッカーやシャワーなどはない。

熱々のお湯に少しだけ浸かってきた。
というか、熱くて長居はできなかったという方が正しいかもしれない。
それでもお湯に入れただけで気持ちがほっこりした。

温泉街を散策していると足湯を発見。
ちょっとゆっくりしていこうと思って腰掛けることにした。これから悲劇が待っているとも知らずに。

原因は分かっている。ぼんやり座っていたからだ。
スマホを眺めた後、そのまま抱えたバッグとお腹との間にスマホを置いた。また見るし、と思って。

そしてしばらく足湯で温まり、すっかりスマホのことを忘れて立ち上がった。
するとどうなるかもうお分かりだろう、スマホはそのまま足湯の中へダイブ。ちゃぽん、と沈んだ。
あっ!と思った時にはもう遅かった。
血の気がサーっと引いた。

慌てて拾い上げたiPhone5をタオルで拭く。残念ながら、この世代のiPhoneには防水機能はないのだ。
電源はつかない。
どんどん熱くなるスマホ。
そして画面が真っ赤に。何のボタンを押しても画面は元に戻らない。ホラーのようだった。

思い出してみよう。草津温泉はpH2.1、ということは強酸性だ。
やっと発熱が止まり、画面が黒くなって動かなくなったスマホが助かることはなかった。温泉という自然の力の前では、文明の利器などただの四角い板に成り下がることを身をもって感じたのであった。

今はひとり旅であり、知らない土地におり、スマホに頼れない。
しかし連絡先は全てスマホの中にある。
詰んだ、と思った。

ただ、唯一覚えていたのが実家の電話番号。久しぶりに公衆電話を使い、母へ電話をかけて現状を報告することにした。

北軽井沢

傷心状態ではあったが、ひとまずこの日は事前に予約しておいた「北軽井沢ブルーベリーユースゲストハウス」に泊まることに。
森の中に佇む青い建物が今日の宿。

北軽井沢という名前だが、長野県の軽井沢ではなく、群馬県嬬恋村という場所にあるのだ。

ユースホステルにはいろんな動物の置き物が飾られていた。眺めていると、ドンマイ、と慰めてくれているような気がしてきた。

久しぶりのスマホのない生活。
ちょっと調べようと思っても、そうだ今スマホないんだった、とか、メモしようと思っても、そうかスマホないからな、とか。スマホがないことになかなか慣れない。

スマホは便利だけど、頼りすぎもよくない。
自分の目で見て、自分の頭で考える時間をしっかりつくれ、ということだなと感じた日になった。

(2013年7月15日)

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イタガキアスカ
読んでいただきありがとうございます。いつもとは違う空の元、旅先で飲むコーヒーっておいしいですよね。

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