#3 Section1/若年性脳梗塞
頭からではなく足から水を被ったような…
時は201X年。
北斗◯拳のような出だしで恐縮ですが、ここから、Section1に入ります。多発性硬化症と数々の、私が罹患してきた難病奇病の体験&克服プロセスのうち、西洋医学的アプローチが主軸になる内容です。
大学卒業して大真面目に就職活動をし、無事に就職できたはいいものの、勤務中に著しく体調を崩してものの4ヶ月で退職。その後、実家に戻って休養をしていた日のこと。家のお風呂に浸かった時に、身体の異変に気がつきました。
いつもと同じように掛け湯をして、足から湯船に入った瞬間。
『水風呂ッッ⁉︎』
飛び上がりました。お湯じゃなくて水じゃないかと。どういうことだ?と手でお風呂の水を触りました。そこで気づきました。お風呂に張られている水は、きちんといつも通りの熱いお湯だったことに。それなのに、足はその熱さを感じない。要するに、下半身の温度感覚がおかしくなっていたのです。
もうその時は夜でしたので、身体の異常を母に告げ、就寝しました。
朝起きると、下半身の今度は、温度感覚がおかしいのに加え、皮膚感覚もほとんどなくなっていました。引っ張ってもつねっても、痛くない、なんともない。そこで私は、母にまず、整形外科に連れて行ってもらうよう頼みました。下半身の感覚異常は、腰から来てるんじゃないかと思ったからです。
整形外科医のバトンパス
母に連れられ受診した整形外科にて、先生の診断。私の腰回りや足のレントゲンを見ながら一言。
「MeDooさん、これは腰からじゃない。脳からだと思う。ここから近所に脳神経外科があるから、そこの受診をお勧めします。」
そう告げられ、素直に私はその後、真っ直ぐ母に連れられて脳神経外科に向かいました。
そこでMRIで脳のレントゲン。診療室に呼ばれた先の、担当医に告げられた一言。
「脳梗塞を起こしています。それも、複数箇所。即入院です。」
今度こそ、「足から」ではなく「頭から」水を被ったようなびっくりです。が、確かに、MRIの私の脳写真には、素人目でも分かるくらい小さな白点がぽつりぽつりうりと。写っていました。納得はせざるを得なかったです。これが、就職した先で私が悩んでいた強烈なめまいの原因だったのかと。
その後、直ちに病室を開けて看護師さんが車椅子を持ってこられました。その時に告げられた病名は、『若年性脳梗塞』でした。
初めてだらけの入院生活
あれよあれよと入院する運びになりました。
脳梗塞痕をふやかすための点滴、そして機能不全になった諸感覚を復活させるためのリハビリ。日常生活に戻ることを目的にした入院生活でした。高校卒業以来、地元にじっとする事自体久しぶりのことで、休養中に明らかにおかしな感覚異常の診断が降りて即入院、それも脳梗塞で。脳の何箇所も。これ全て1日で起きた出来事でした。今考えても目まぐるしい展開ですが、私はその状況を、なんとはなし冷静に、受け入れていたことを覚えています。
そしてそんな入院生活で、人生初、看護師さんの他に理学療法士(PT)さんと作業療法士(OT)さん、そして介護士さんにお世話になるのでした。今思い出しても、その時お世話になった方々へは感謝の気持ちでいっぱいです。ご本人たちはお仕事だったとはいえ、いいお話相手になってくださって、心が和らいだ思い出です。ではそこで、笑ってはいけないお話なのですが、印象に残っている記憶の一つとして、入浴介助を介護士さんにしていただいた時の話をひとつ。脳梗塞で下半身の感覚がおかしくなっていたため、入浴一つでも何かがあると命の危険に関わるということで、介助がついたのです。私が、人生初介助つきの入浴をするに際して、口酸っぱく介護士さんに注意された事は、
「足を滑らしてコケないよう注意してください。血を流れやすくする点滴を打っているので、怪我の一つが命取りになりますから。厳重注意ですよ。絶対です。」
そして初めて、介護士さんと入浴場に入ります。どうなったか。秒でコケました。
足に力が入らなくなっていたので、わざとではないんですが、二十代前半にしてお風呂場で見事にすってんころりん。全裸で。あれだけ注意されたのに。本当にごめんなさい。大声で、笑ってしまいました。当然、直後にしこたま怒られました。それはそうですよね。介護士さんからすると、何かあったらとんだ責任問題です。ちょっとアザは出来ましたが、大事には至らなかったのでよかったです。あの時お世話になった介護士の方、改めましてすみません、そして、ありがとうございました。おかげさまで私は、介助なしでシャワーもお風呂にも入れています。
退院できるかと思いきや
入院生活は基本、ご飯、リハビリ、母と弟(父は当時仕事で日本にいませんでした)、数年ぶりに連絡の取れた幼馴染のお見舞い、入浴介助付きの入浴…このルーティーンで過ごす日々が続きました。そして無事、下半身の感覚も復活してきたので、そろそろ退院かな…となった日のことです。
「右耳が聴こえないぞ…?」
また身体の感覚異常に気づきました。完全に、右耳が音を拾わなくなっていたのです。突然のことでした。その旨を、担当看護師さんに告げます。そのまま、MRI検査することになりました。そして分かった事実。今度は違う箇所、左脳の聴覚野の部分が梗塞を起こしていました。そこで入院が延長することになるわけですが、ここまでくると、検査入院の体をなしてきます。ここで、地元の脳神経外科入院生活をまとめますと、正味3ヶ月ほど続くことになります。そして、ひとつずつ発生した症状と梗塞箇所についての詳細は割愛しますが、この3ヶ月の間に、立て続けに複数箇所の脳梗塞を起こすことになるのでした。そこで、私の頭に過った疑念。
「ただの脳梗塞ではなくね…?」
と。診療で告げられた病名は「若年性脳梗塞」でしたが、普通はそう何度も脳は詰まらないですよね。普通の人は症状として発露するような梗塞は、まず一度も起こすことないと思うのですが、いかがでしょうか。そして、次のフェーズに入って行きます。
では今日はここまで。
次も皆さまたち、何卒よろしゅう。
ありがとうございました。
MeDoo 拝