今日六本木で見た奇人2選!
土曜日、英会話をし、少し仕事をしたら夜になった。
21時をすぎても開いている東京の本屋は少ないから、私は六本木ヒルズの蔦屋書店を訪れた。
8月も半分を過ぎた。落ち着き出したとはいえ、じめっとした暑さが印象的な夜だった。そんな夜の散歩中に出くわした奇人を紹介したい。
ドラえもんに執着をする若年男性
テレ朝夏祭りというものが、夏の六本木の恒例だ。
そこで展示されるドラえもんの等身大像は、インスタグラムの人気者で、多くの人がドラえもんと一緒に写真を撮って楽しんでいる。
ただ、夜になるとドラえもんの周りには白いバリケードが張られる。
一人目の奇人は、そのバリケードからおもむろに身を乗りだす!
自分の顔とドラえもんの顔の距離を近づけるのがそんなに楽しいのかと心配になったが、彼はバリケードに体重をかけ、ドラえもんをガン見していた。
香ばしい感じの奇人がいるな、とその時僕は思った。通り過ぎた後、彼に見えていた世界がどんなだったかが、ふと気になった。
そこには彼にしか見えていなかった、国民的キャラクターのほほえみややさしさがあったのだろうか。
そんな彼を横目に私は蔦屋書店へ向かった。
六本木駅のホームでえずく中年女性
めぼしい本を5冊ほどありつけた僕は、帰途についた。
第二の奇人とは、駅のホームで出会った。
ピンクの服、サイズはパツパツ。アウトドア用のリュックサック。自身を客観視したことのないファッション。
六本木の煌びやかなイメージの対偶を取ったかのような、飾り気のなさだ。
日比谷線のホームの煤ぼけた壁には、少し窪んだ場所がある。その角っこに彼女はうずくまっていた。酒をたらふく飲んで、人事不省になっているのだろう。
何度も、何度も、腹の底から、胃の奥から、声かなきごえか区別のつかない「音」を出していた。
きっと、彼女があの時見ていた風景は、人間が限界まで酔ったときにだけ感じることのできる世界のグラグラだ。すべてのものに焦点が合わなくなり、おぼろげに自分の意識の残り香を感じるあの感覚だ。
ホームの隅っこは、彼女をいい居心地にさせていたのだろうか。そんなことが気になった。
なぜ彼女が六本木で酔っていたのか、直前の思い出は楽しかったのか、出身は、社会的身分は?そんな暇つぶしにぴったりな出会いだった。
(まとめ)奇人がいるからこそだよ。
みんながきれいにまとまっている世界もそりゃあ美しいと思うけど、ノイズがなければそのありがたみも分からんじゃん?
本能により近いところで生きている奇人。彼ら彼女らが見ている世界は、馬鹿にできないと俺は思う。
ドラえもんにどこまでも近づかないと出会えない表情もある。駅の側溝に顔を思いっきり近づけて見える汚い世界も切り取り方によっては詩的かもしれん。
ただ、今日の散歩で結局一番素敵だなと私が思ったのは、
こんなに暑いのに、彼氏にぴったり優しくくっつきたい顔をしている彼女さんの笑顔
でしたが。