霞ヶ関の課題〈人員不足〉
はじめに
我が国が世界をリードしていくためには、更なる発展が望まれている。一方で、我が国は数多くの課題を抱えている。
日本が課題を克服し、成長していくためには、行政や企業、市民など、すべてのセクターの協力が必要である。
その中でも、霞ヶ関の各省庁で働く国家公務員は、国家的な課題を解決し、日本に明るい未来をもたらすために最重要な存在である。
しかし、その国家公務員という仕事には、”過酷な労働環境”という、負の側面が存在することは周知の事実である。
この負の側面がなぜ未だに残っているのか、
どうしたら克服できるのか、
について論じていきたい。
霞ヶ関が抱える問題
霞ヶ関が抱える最大の課題は、やはり過酷な労働環境である。
残業が当たり前。
いわゆる過労死ラインと呼ばれる、
残業時間 80時間/月
を余裕で超える職員も多いのではないだろうか。
なぜここまで残業が多いのか。
その一つの原因が「人員不足」である。
技術系の採用区分が存在する省庁に限られるが、
霞ヶ関で働く職員の多くを占める総合職採用者は2種類に大別されている。
“技官”と“事務官”である。
技官 :所属省庁に関わる専門的な知識・技術を
有する職員
事務官:法律に関わる業務を主に行う職員
このように区分されているが、実際は、職員の圧倒的多数を技官が占めているため、事務作業も技官が行うことが多い。
このため、本来の分担システムが機能しておらず、慣れない作業も含めて、全てこなさなければならない。
マルチタスクかつハードタスクである。
必要なこと
私が考える現状打開策は、2つ。
①新技術を活用した作業効率化
②事務作業専門員の創設
①新技術を活用した作業効率化
オンラインによる手続きの簡素化や、
AIを活用した作業量の削減など、
新技術による作業効率化は大変期待されているものである。
一方で、システムの改良・新設にかかる作業は、職員にとって二の次の仕事である。
システム作成に割く時間・体力的な余裕があれば、本来業務に割こうとするのは当然と言える。
だからこそ、デジタル庁が発足したのである。
省庁横断的にシステムの改良・新設を専門で行うため、他省庁職員は本来業務に集中することができる。
AIを含め、新技術による業務効率化は今後必ず職員の負担を減らすだろう。
②事務作業専門員の創設
霞ヶ関の職員が、自身の能力を最大限に生かすためには、時間や労力が取られる雑務的作業を手放す必要がある。
その手放した業務を専門的に行うのが事務作業専門員(仮称)である。
特別な知識・技術が必要ではないため、現状の国家公務員試験での専門試験は必要ない。
業務を効率的にこなす能力が求められるため、教養試験に絞った試験区分が適切だ。
作業効率システムが確立するまでは、相当数の事務作業専門員を雇うべきだと考える。
例えば技官の1/2の職員数。
新たな採用区分の設置により、現職種の職員は自身の能力を発揮できる仕事に集中することができるのである。
最後に
現在、どの業界においても、人員不足は顕著である。
また、人員不足を解消すれば、その分新たな仕事ができるようになり、再び人員不足を生じることもある。
つまり、人員不足は終わりのない課題かもしれない。
しかし、まずは現状の人員不足を解消することが不可欠である。
新技術を用いた仕事の効率化や適材適所の分業制を導入することによって、霞ヶ関の潜在能力を十二分に発揮させることは可能だと考えている。
人事院やデジタル庁をはじめ、各省庁幹部が積極的に仕組みを作り、より働きやすく、より力を発揮できる霞ヶ関としていきましょう。