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徳島不思議百物語 第11回 怪火「大火」とUFOの類似点

第11回 怪火「大火」とUFOの類似点

 不思議談として「怪火を見た」という体験話はよく聞く。怪火とは、正体不明の移動する火の玉であり、亡霊の怨念による「鬼火」、死者の魂が飛び出た「人魂」、狐が操ると言われた「狐火」や「狐の嫁入り」、鳥と一緒に飛ぶ「ふらり火」、二つの火が大きさを競い合う「くらべ火」、川天狗が操る「川天狗の火」、じゃんじゃんという不思議な音を立てて飛行する「じゃんじゃん火」など全国で数々の種類が伝承されている。

 しかも、昭和時代まで多くの目撃者がいるのが大きな特徴である。徳島各地でフィールドワークをやっていると、70代の方々は、科学的教育を受けている世代なので、ごく真面目な顔をして

「妖怪談は、明治生まれの古い人の体験やなぁ、妖怪とか知らんわ」

「おいおい、妖怪なんぞ、おるわけないだろ」

 と答えてくる。そのわりには怪火と狸談は別で

「子供の頃、近所のおっさんがひとだまを見たことがあってな」

「昔な、狸に親戚の兄ちゃんが化かされて大変だったわ」

 と生き生きとした表情で答えてくる。

 つまり、怪火とは昔話上の怪異ではなくて、昭和の頃までリアルな体験談として語られてきた“生きている怪異”なのだ。

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