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ちいさなたねがおおきくなったら

開園以来ともに歩んできた「たねの木」

「保育終わったら、理事長とお茶しよ」
10年前、私の上司だった園長(元びーのびーの理事)からの誘いに、二つ返事で駆け込んだお店には、二人が少し硬い表情で並んで座っていました。
理事長が来年度から創設される小規模事業保育にびーのも手を挙げようと思っていると話をされているのを、ただ「へー!へー。。。」と世間話のように聞いていました。

「安江ちゃんやってみない?」
「はー?!?!」
思いっきり園長の顔をみました。いつもと違う真剣な顔でした。
二人とも本気で言っている。。。
でもびーのは保育園はやらないと聞いていた。なんで?なんで私?
「少し考えさせてください」
それしかことばが出ませんでした。

私は管理者ではなく、一保育士としてこどもと毎日をおもしろがりたい。こどもがおもしろがっていることを伝えたい。それなのに。。。
毎日充実していた環境が変わることと、園長という重圧がただただ「怖い」という気持ちでした。

翌日園長から「どうする?」と聞かれ、
「お二人に言われたら、断れない。。。」
「じゃ、理事長に早く返事して!」
保育園の隣の駐車場で、なぜだか涙を流しながら電話をしたのが昨日の様です。

天職だと思った保育士に導いてくれた方々のお話しを断れない。
助けてくれるに違いない。(思い違いでした。うそ、助けてくれました。)
そのような、根拠のない覚悟をし、自分を後に引けないようにしてしまいました。

ありすぎる、というほどいろいろなドラマがありました。そして、びーのの保育園として、今までの信頼をなくしたくない、縁があって入園してくれた家庭を裏切るような保育はしたくない、という一心で、毎日保育中であろうと、夜中であろうと理事長や事務局長に電話をして話を聞いてもらい、あまりに相談するので、事務局長から「初任者園長研修とか行ったら!」と喝を入れられたほどでした。

その後5年後に認可保育園に移行する時もドタバタし、コロナ禍の保育に翻弄され、やっと一昨年初の卒園児を小学校に送り出しました。
保育はドラマだからやめられない。
ドラマには喜怒哀楽があり、話に山あり谷ありだからおもしろい。
そしてドラマには主人公がいて、それぞれ自分自身だから幾重にも交差し、その複雑さがなおさらおもしろい。

そのドラマの舞台「ちいさなたね保育園」も子育てには必要だと、びーのという大舞台の1幕にしてくれたことに感謝と、これからもドラマが繰り広げられていくことをワクワクしながら見ていたいと思います。

今、ここに10年を振り返ることのできる保育ができたのは、開園前から寄り添ってくださった方々、保育を応援してくださった諸先生方、地域の方々、一緒にちいさなたねの保育を作ってくれた職員、そして保護者の皆様と子どもたち、すべての皆様のおかげです。
こどもを囲んで笑い合えるそんな保育園でありたい。
今日の気持ちです。

9月14日、開園10周年を記念したイベントを実施しました。大盛況でした!

ちいさなたね保育園園長 安江 文子

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