2021年5月17日-day1-
午前1時過ぎ、中途半端に目が覚める。
つけっ放しのテレビには小汚いジジイが映っていた。
「嗚呼、ガキ使でアインシュタイン稲田が七変化をしてた途中で寝てしまったんだっけ…」
テレビの画面に視線を戻すと高齢者のギャンブル依存症患者の特集をしていた。
NNNドキュメントはサザエさん症候群で寝付けない人のためにある番組だと常々感じている。
本当は早く寝ないと翌朝がきついのに、「硬派な社会派ドキュメンタリーだし見る意味あるよな、それなりに…」と、無理やり夜ふかしの言い訳を自分に押し付けて正当化してしまう、そんな番組。
番組ではさっきのオッサンが年金支給日にサラ金に返済し、それを元にまた借りるというまさしく今の俺と同じような生活をしていた。
俺の場合はバンドルカードに置き換わっただけだ。
そんなジジイと今の自分を重ね合わせて笑えない俺が…否、普通に笑っていた。
笑ってしまうイカれたメンタルだから未だにギャンブルやってるわけで、
それ見て自分を戒め反省してるくらいならとっくにギャンブルは辞めている。
「ギャンブルは生きがいですね」と、ジジイは言う。
俺の場合、その生きがいと15歳で出会ってしまった。
競馬、麻雀…
年上の女神のような存在だったギャンブルは、俺を甘美な世界に引き込むのにそう時間を要することは無かった。
百戦錬磨の美女が中3の童貞を落とすことなんて容易いことだ。
以来、就職⇒結婚⇒子供が生まれる⇒離婚⇒借金返済の日々を経てもまだ25年以上その女神を愛し続けている。
何度離れようとしても離れることはできず、またそいつの元に戻ってしまう。彼氏からDVを受けた彼女が、謝罪を受けて、またその彼氏に戻ってしまう、そんな構図だろうか。
ギャンブルの場合はその謝罪がたまに当たる万馬券や万車券ってところか(笑)。
銀行口座にふとログインしてみた。
「残高9円」
これが今の俺の価値だ…
なんとなく何かを始めなきゃいけない気がしてきた。
今までやったことのない、何かを。
他の女を見つけることができれば25年来の彼女からも少しは距離を置くことができるだろう。それが一時しのぎだとわかっていても。
「そういやnoteって、やったこと無かったな…」
そんな思いで今、これを書き殴っている。
何かを変えようとする思いがあればまだ、遅くない。
あの70歳過ぎのジジイも結局家族の勧めで依存症を治す施設に入っていったっけ。
皆もがいてる。俺だけじゃない。
「まだ、人生の9回裏じゃねえ」
…って、これも大麻の依存症患者の名言だっけ(笑)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?