Around Day70

病院の中にグランドピアノがよくあるのはなぜなのか、と言う話をよくしていた。1つ目の病院にもあったし、3つめの病院にもあって、誰も弾いてなかった。

リハビリ病院入院中には、作業療法士の人と今後やりたいことを話し合う(というか、パネルに出てくる項目の質問に答えて優先順位をつけていく)機会があって、「ピアノを弾きたい」と言ったら、リハビリの一環としてリハビリの時間に弾かせてくれることになった。ピアノがあるフロアにはひとりでの移動の許可がおりてないからだ。

お見舞いに来てくれると言う友人に、ダウンロードしていた坂本龍一の楽譜をわたして、製本してほしいとお願いして、お見舞いとして届けてもらった。作業療法のリハビリの一環で台紙に張り付ける作業もした。

リハビリの時間中に、その製本した楽譜を理学療法士の人に持ってもらって、戦メリを少し弾かせてもらった。福岡から実習に来て一緒に立ち会いしていた19歳の男の子は「なんかジブリみたいですね」と言ったので、わたしと同じ世代の理学療法士さんは「いやいや、久石譲じゃないから。有名だよ?知らないの?この曲。映画にもなってるよ」と全力で説明したが、十代には、戦場のメリークリスマスも、ラストエンペラーも、彼が長い闘病の末に亡くなったことも関係ない地平で生きていることなのだった。

坂本龍一が亡くなった後に放送されたNHKの番組をベッドで見た。
どこかの小さなコンサート会場での映像が印象的でずっと心にのこっていたのだったが、ニューヨークのアーモリーで発表されたもので、曲は、AYNCというアルバムの中の「fullmoon」で、声の主は「シェリタリング・スカイ」原作者であるポール・ボウルズの肉声ということだった。

Because we don't know when we will die
We get to think of life as an inexhaustible well
Yet everything happens only a certain number of times
And a very small number, really
How many more times will you remember a certain afternoon of your childhood
Some afternoon that is so deeply a part of your being that you can't even conceive your life without it?
Perhaps four or five times more
Perhaps not even that
How many more times will you watch the full moon rise?
Perhaps twenty, and yet it all seems limitless

Ryuichi Sakamoto - "fullmoon" (from "async")

彼が亡くなったあとに出た書籍が満月のタイトルがついていて、彼が病とともにある時間に作っていた曲と満月について、アルバムタイトル「ASYNC」(非同期を意味するプログラミング用語)という言葉についてよく考えていた。

July 2023
東京

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値上がりするかも、しないかも。

ほぼ初めての入院生活の経験を記していこうと思います。 タイムラグのある日記を公開していきます。 I would like to descr…

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