台湾その2/バンレイシと格闘
台湾食べまくり旅行その2、謎の果物編。
台湾はフルーツもおいしいと言われる。「夏ならマンゴー、冬ならホニャララ」という記述も読んだ。しかし、そのホニャララをよく覚えていない。聞き慣れない果物だった。
急に台湾のフルーツを食べたいと思ったのは、現地ガイドさんが「ホテルのすぐそばに、おいしい果物屋さんがあります。ぜひ食べてみてください」と教えてくれたからだ。
現地ガイドといっても、私は全日程フリーのツアーで行ったので、空港からホテルまで送迎してくれただけの人なんだけど、そういうオススメは大事にしたい。だから、すぐその果物屋さんに行ってみた。
おお、なんだかよくわからないフルーツがたくさん並んでいる! いかにも南国系の謎の果物揃いだ。しかも名前が漢字で書かれているから、さっぱりわからない。
特に気になったのが上の写真の2つで、とりあえず勢いで1個ずつ買ってみることにした。
しかし、買ってはみたものの、食べ方がわからない。名前がわからないから、調べようもない。どうしたものか。
そうだ、こんなときはツイッターに投げてみるのが早い。画像をアップして質問してみた。
すると、10分もしないうちに教えてくれる人がいた。さすがはツイッター。Xジャパン。
それによると、左の果物はバンレイシ。お釈迦様の頭みたいだから、日本では釈迦頭(シャカトウ)と呼ばれているという。日本でも石垣島あたりではポピュラーな果物らしい。
バンレイシと聞いて思い出した。上に書いた「冬ならホニャララ」のホニャララは、確かこれだった気がする! そうだ、バンレイシだ!
名前さえわかれば、こっちのもんだ。ホテルに戻って検索。食べ方などを調べた。
「ねっとりして甘酸っぱい果物。熟して食べ頃になれば、手でむいて食べられる」
「ただし、店に売られている時点では実が固く、熟してから食べる」
「熟した後はたちまち、いたみやすい。だから輸出されず、日本にはほとんど出回らない」
「食べるタイミングによって、実がシャキシャキだったり、とろりとしていたり、味が変わる」
そんなことが書かれていた。
ところが、目の前のバンレイシは皮をむこうとしても、固くて指が入らない。ダメだ、これは明らかに熟す前の段階だ。強引にほじって、ちょっと食べてみたが、ぱさぱさして味がない。どう見ても、ねっとりはしていない。
さて、これは困った。熟すまで待つしかないのか。
しかし、今回の旅行はたったの2泊3日。2日後には日本へ帰る。この珍しい果物を日本に持ち込めるわけがないし、どうにかして台湾滞在中に食べなくてはならない。うむ。あと2日で熟すだろうか。
強硬策に出ることにした。少しでも早く熟させるため、最善を尽くそう。バンレイシに割り箸を差して何ヶ所か穴をあけ、温かいバスルームに放置してみよう。何もせず部屋に置いておくより、早く熟す可能性は上がるはずだ。これで間に合わなければ、あきらめるしかない。
そして、待つこと2日。台湾を出発する日の朝。
おそるおそる確かめてみたら、ああ、いい匂いがするぞ! 甘い香りだ。やったぜ、これは熟したっぽい。1日前はこんな匂いはしなかった。ぎりぎり出発前に間に合った。強硬手段が成功したんだ! 風呂に何度も入って、がんがんバスルームを温めた甲斐があった。
食べましたよ、バンレイシ。
あまーい。甘酸っぱくはない。甘い。そして、なめらかでクリーミー。日本のヨーグルトみたいな味だ。食感は、あけびとか、あんな感じ。果肉ひとつひとつにタネが入っている。
間に合って良かった。おいしくて良かった。オススメに乗っかった価値があった。もう、バンレイシのことなら任せてくれ。お釈迦様の頭を食べたのだから、だいぶ賢くなった。
きっと私と同じように、台湾や南国の旅先でこの謎の果物を見つけて買ってしまい、どうやって食べていいかわからず、途方に暮れる人が他にもいるに違いない。そんな人のために、もしかしたらこの記事が役に立つかも知れない。そう思って書いている。
熟させるための秘策は、あたためたバスルームに放置することだ。割り箸で穴をあけたのが正解だったかどうかはわからない。これは安全面で問題があるかも知れないから、うかつには勧めない。
では、楽しい旅を!