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たった一枚の返信葉書で伝える、心に残るお祝いの気持ち

一度や二度は受け取ったことありますよね?

いや、招待状のことです。

結婚式への招待状を受け取ったときに
封筒の中に入っている返信用の葉書。

ありますよね。

大概、葉書の上の方に次のような記載があります。

「ご出席 ・ ご欠席」
「ご氏名」
「ご住所」

皆さん、この葉書を返信するときにどうしていますか?

ご出席(欠席する場合には、ご欠席)に丸をつけて、名前と住所を書いて投函していませんか?

あれって、招待状を受け取ることに慣れていない人の場合、とても悩むんですよ。

これって、「どうすりゃいいんだ?」 「このまま、◯つけて返送すりゃいいんかな?」
ってね。

親御さんと同居されていたり、すぐに聞ける相手がいれば悩みはすぐに解決するのでしょうが、なかなかそうもいかない人もおられます。

あ、今はネットで解決できるんだっけ 笑

敬語のシーンから考えると、
出席するならば、ご欠席という文字を横線で消し、さらに「ご出席」の「ご」の文字も横線で消して「出席」とします。

「ご氏名」・「ご住所」についても同様です。

結婚式などの招待状の返信葉書では、出席・欠席の意思表示をする際に、敬称である「ご」を消すというマナーがあります。これは、返信葉書を新郎新婦に送る際に、自分自身に対して敬称を使うのは不自然であるという考え方に基づいています。

また、更に丁寧に愛情をもって表現する場合には、

おめでとうございます。
  出 席
   させて頂きます。

と、「出席」の上下に文字を手書きで書き加える方もいらっしゃいます。

私のキャリアを振り返ると、20代半ばの頃にブライダル業界で働いていた時期があります。
当時所属していたのは、結婚式場の婚礼課というセクションで、ブライダルコンシェルジュとして働いていました。職場では、豊富な経験を持つ年配の女性たちに囲まれており、彼女たちから結婚式に関する様々な作法を学ぶ機会に恵まれました。

ある日、先輩の女性スタッフが自身の知人の結婚式招待状に返信を書いているところに遭遇しました。そこで興味深い光景を目にしたのです。返信用はがきに記載されている『ご出席』『ご氏名』『ご住所』という項目から、『ご』の字を丁寧に消していく様子を、印象深く覚えています。

驚いたことに、その方法は、なんと「寿」という文字が彫られた小さなゴム印(経理や総務などでよく使われる、一文字サイズのものです)を使って『ご』の字を消していくというものでした。

ご本人に伺ったところ、そのゴム印は別注で作られたものだそうです。結婚式では、返信葉書で自分自身に敬称を使うのは失礼にあたると考えられているため、「ご」を消すのがマナーとなっています。

さらに、「寿」は結婚のお祝いにふさわしい縁起の良い言葉であるため、このゴム印で「ご」の字に重ねて押すことで、「ご」を消すと同時にお祝いの気持ちも表しているのです。

そして、「寿」のゴム印が使われたのは、繰り返しになりますが、結婚式というお祝いの場にふさわしい縁起の良い言葉であるからです。「寿」は長寿や慶びを意味し、結婚を祝う意味合いと合致しています。つまり、単に「ご」を消すだけでなく、「寿」というおめでたい言葉で上書きすることで、お祝いの気持ちを表していると言えるでしょう。

まだ20代だった私には驚愕に近い感覚でした。
日常業務として、「おめでとうございます」というお祝いの言葉はしょっちゅう発していましたが、それはあくまでも仕事として言っていたに過ぎなかったということです。

その女性社員が書いていた葉書は、本当に愛情に満ち溢れた美しいもので、きっと誰が見ても思わず微笑ましいものだったと思いますし、これを受け取った御本人は幸せな気持ちに満ち溢れていたのではないかと思います。

たった一枚の葉書を送る。それだけのことであっても、相手への尊敬の気持ちや愛情の気持ちをもってすることができるかどうかで、相手を笑顔に幸せにできるのです。

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