人ごみ(仮)
爆音が鳴る。時間が経つのを待っている。
時間を浪費することへの恐怖が薄れるほどにはこの場に滞在した。酒も充分に飲んだ。
今は、アルコールが切れるのが怖い。
まるで、自分以外の全員が楽しんでいるように見える。だから、同じ人間だとは思えない。
何が楽しいのだろうか。
私がこのように文章を綴るのもやつらからしたおもしろくなく謎めいているのかもしれない。
そうあって欲しいと、願う。
いや、私は恐怖している。
みな手を上げてクラップし、知り合いに会えば挨拶、頭を下げ握手し、これが趣味なのか。
どうして、楽しいの。タバコが吸いたい。
感性は今までの人生経験がなすだろうが、だから人それぞれなのだろうが、同じ人間という生き物ならほんの少しの共感くらいは残して欲しかった。でも、気持ちはわからずとも少しは理解できるから、見下すふりをして自分を形成するしかない。
楽しくないのは、自分がいけないのだ。
笑顔。笑顔。笑顔。
全部、怖いピエロ映画のように見え始めたのは照明のせいではないと思う。
わあ。また混んできた。みんな楽しそう。
自分が、すべていけないのだ。