サビトルマンの裏切り(超短編小説)
子供たちのヒーローであるサビトルマンは、日夜、巨大怪獣と戦い地球の治安を維持していた。
そんなある日の夜、日本のとある地域に一体の巨大怪獣が出没した。
巨大怪獣は、辺りを破壊する気満々といった様子である。
そんな日本の危機に、いつものようにサビトルマンがサビトル星から飛んでやって来た。
子供たちが見守る中、サビトルマンは尋常ではない強さで敵を圧倒し、フィニッシュは必殺技のサビトルチョップで、見事に怪獣をやっつけた。
「サビトルマン、かっこよすぎます! いつもみんなを守ってくれてありがとうございます!」
子供たちは目をキラキラさせながら、ヒーローに向かって皆、懸命に手を振った。
サビトルマンはそれに応えるかのように、子供たちに向かって拳を握りしめて、ガッツポーズをして見せた。
そして、サビトルマンは子供たちに背を向けると、バンザイするように両手を上げて空に向かって飛び立った。
「サビトルマン、ありがとうございました! あなたは最高のヒーローです! サビトル星に帰ってゆっくり休んでください! ……あれ? サビトル星の方角じゃないぞ。どこに行こうとしているんだろう?」
サビトルマンが向かったのはサビトル星ではなく、様々な誘惑の待つ、夜の街なのであった。
「こんちくしょう! ふざけるな! 期待させやがって!」
サビトルマンは、子供たちの気持ちなど知ってか知らでか、ぐんぐんと加速して行くのであった。