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スベっる心理学(中編)

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やることなすこと“スベる”男を心理学で救えるか?
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記事一覧

スベっる心理学29〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

詩織との待ち合わせの時刻は午前十一時。 その七時間前の午前四時、外が目を覚ますよりも先に…

須賀正俊
4年前
2

スベっる心理学30〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

元気はバナナを食べ終えると身支度を整えて、一通りの準備を終えた。 テーブルの上に置いてあ…

須賀正俊
3年前
4

スベっる心理学31〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「――はい?」 効果てきめん、詩織は元気の動くメガネに目を凝らしていたため、発言の内容が…

須賀正俊
3年前
8

スベっる心理学32〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

受付に行くと、手漕ぎボートとスワンボートの二種類から選べるとの説明を受けた。 元気は、即…

須賀正俊
3年前
3

スベっる心理学33〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「弟さんとは、歳は近いんですか?」 「弟はボクとは三つ歳が離れていて、弟は今年で二十五歳…

須賀正俊
3年前
2

スベっる心理学34〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

詩織は、オールから元気の手を外そうと頑張り続けている。 しかし、元気とオールは完全に一体…

須賀正俊
3年前
7

スベっる心理学35〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「でも――ここは男であるボクが漕ぎますのでお任せ下さい」 「結構です。何をしでかすか分かりませんから、怖くて任せられないです」 「――桜井さんに何かあったら大変です。さぁ、交代しましょう」 「結構です。ボートの上で悪ふざけなんかして、転覆でもしたらどうするんですか」 どうやら、手漕ぎボートに乗っての水の上での悪ふざけは、詩織の“プンプンスイッチ”を押してしまったみたいである。 (まずい、怒ってるって。悪ふざけって、自分だって『イエス、アイアム・ボートレーサー』って言

スベっる心理学36〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

元気の案内で、二人は一度公園の敷地内から出た。 それから三分近く歩くと、一軒の建物の前で…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学37〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「すみません、唐突すぎですよね。では、結婚して頂けませんか?」 「はい?――どうしたんで…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学38〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「美味しそうですね。いただきます」 詩織は、元気の振る舞いに応えるかのように、同じように…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学39〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

察せない男子は、最後のため息をつくところまで、見事と言っても差し支えないほどにやってのけ…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学40〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「ここに付いているのが何だか分かりますか?」 「――“ツチ”、ですよね」 「そうです。こ…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学41〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「……やっぱりイカは裏切らないって。ごちそうさん」 「おぉ、いい食べっぷりですねぇ。大将…

須賀正俊
3年前
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スベっる心理学42〜システムの穴の穴編〜(長編小説)

「それでは、宇宙をイメージしてくださ~い」 「宇宙ですか、分かりました。……はい、宇宙のイメージが出来ましたよ」 「そうか。では、地球に降りて来てくださ~い」 元気は、催眠術師気取りである。 「……はい、いま大気圏に突入しましたよ」 「そのまま地上に向かってくださ~い」 「……はい、陸地が見えて来ましたよ」 「そのまま降りて来て~、降りて来て~。一番初めに何が見えますか~」 「えっと……“河川敷”が見えて来ました」 「ビンゴ!」 元気が宇宙に向けてかのよう