BIM(Building Information Modeling)の社会性、展望
BIMというと通常、業務効率化、合理化の話が前面に出てきますが、ここでは活用方法について主に触れていきたいと思います。
これまでの建築設計の共通言語は、手書きにしても、CADにしても「図面」でした、図面を描く上で、体裁や線種等を使い分け、いかに図面を見る人に性格に伝える事ができるのかを意識する必要がありました。
印象的だった出来事は、初めて図面を描いた時に、線一本一本に気持ちをこめて引けと言われたことでした。今考えると伝わりやすい図面を描くための比喩的な表現だった事は理解できますが、当時の自分は気持ちを込めてもただの座標と座標のつながりでしかないという認識でしかとらえることができませんでした。
BIMの考え方では、情報を持ったオブジェクトを作成、統合し、3D形状で情報を伝達する「総合データベースシステム」となります。
近年では、デジタル技術の発展やITの進化により「情報」が重要視されるようになり、フォーマット通りの図面を描くのではなく、本当に必要な情報は何なのかを重視して考えるべき時代に移行してきていると考えます。
BIMという大きなプラットフォームの中で、その情報をどう活用するかを工夫できる柔軟な仕組み作りが大切であり、手戻りの少ない図面を描く、3D形状を作成し設計ミスを減らす、プレゼンテーションへの活用、だけではなく、情報として扱うことにより、コンピューターでの解析が可能になり、ロジスティックやインフラなどにも包括的に扱えるようになり、都市機能を効率良く運用できるよう検討する事まで出来るようになる可能性も出てくると考えられます。
BIMが将来担うと考えられる役割や機能として、
・コミュニケーションツールとしての活用、設計プロセス改革等を通じた生産性の向上。
・建築物の生産プロセス・維持管理における情報データベース。
・ライフサイクルで一貫した利活用。
・IoTやAIとの連携に向けたプラットフォーム。
といったことが挙げられます。
BIMは今後10年で急速に浸透していき、今後建築業界で避けてと通れないことが考えられます。BIM自体に未完成な部分もありますが、IT企業の参画により今後ますます洗練されたものになっていくでしょう。