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ミャンマー特殊詐欺拠点の後始末
昔、木村カエラさんがJ-WAVEの番組で唐突に「萌え萌え萌え萌えうっせえんだよぉ!あースッキリした」と言い出してビックリしたと同時に相変わらずキレッキレだなと感心したことがある。さすがはサディスティックミカバンドの3代目ボーカルだ。
そして私も今「中居正広中居正広中居正広うっせえんだよぉ!」と言いたい気分だ。今声に出して言ってみたらちょっとスッキリした。私も木村カエラさんの高みに達したのだろうか?いやいやまさかそんなことはないだろうと前振りをして本題に入る。
中国人俳優の王星(Wang Xing)さんがタイ芸能プロダクション最大手のGMM GRAMMY担当者になりすましたWhatsappアカウントからの誘いに騙されバンコクに着いたら中国特殊詐欺温床のミャワディに連れて行かれ、一時期行方不明状態になったが中国ネチズン間でこの件が炎上し、ミャワディ特殊詐欺拠点警備担当とされている軍閥カレンBGF(KNA)に中国当局から「王星を解放せよ」と連絡が入ったのだろうが、ともかく王星さんは奇跡的に解放された。
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https://www.aboluowang.com/amp/2025/0109/2157668.html
タイ語報道によればカレンBGF副司令官のモン・ウィン少佐がミャワディからタイ側ターク県メーソート署の署長に通訳を介して電話を入れ、「拉致ではなく彼は国境を越えてシュエコッコの親族を訪問したのだと自供している」と語り、1月7日12時(タイ現地時間)に王星さんはメーソート署に引き渡された。つまり、中国マフィアによる拉致監禁が不法入国した王星さんをカレンBGFが保護したという奇妙な話にすり替わったのだが、この話は当然それで一件落着とはならなかった。
中国報道によれば王星さんはミャワディの阿波罗园区(あぽろえんく)という特殊詐欺拠点に拉致されていたという。そして中国に帰国した彼はインタビューにおいて、「多くの国籍の人がいた」と証言し、タイ現地NGOは「彼等の身の安全を考慮すると詳細は語れないが日本人6人が拉致されている」と語った。
その後、ミャワディ特殊詐欺拠点に拘束されている日本人の数は20数人と増えた。21カ国から来たおよそ6000人のうち日本人が20数人とのことで、日本政府側は1月21日現在でもなお「事実を確認中」状態。
これは私もじれったく感じるが、特殊詐欺拠点に拉致されるケースにはお決まりのパターンがあって、バンコクのスワンナプーム空港かドンムアン空港に着いたらそのまま車に乗せられ、ターク県メーソート郡からモエイ川を越えてミャンマーカレン州ミャワディに連れて行かれるというのが定番。自主的に車に乗ってしまうとたとえ目撃者が居ても犯罪とは認識しにくい。
また、別に犯罪に巻き込まれた訳でなくともバンコクで消息不明になる人間など国籍を問わず昔からいくらでもいる。
私も昔の話だがバンコクに家出のつもりで行ってしまったことがある。家族に連絡することもなくただぶらぶらして、土産も買わずに帰国したが文句も言われなかった。
私事になってしまったが、その手の日本人が本格的に行方不明になり、家族がヤワラートの旅舎に尋ね人のポスターをはって回っていたこともあった。
そんな状態なのでバンコク駐在日本大使館もミャンマー側に拉致された被害者20数人を特定するのは難しい。ヤンゴン駐在日本大使館と協力すると言っても、拉致被害者救出のみに人員を集中させるわけにもいかない。身代金要求などがあればまた別だが、緊急性が乏しいと判断されても仕方ない面もある。
日本報道では当初「ミャンマー北部に特殊詐欺拠点があり云々」などの、明らかにミャンマーのことを知らない記者が書いたらしき記事が出回っていたが、そのうち「ミャンマー東部タイ国境に特殊詐欺拠点がある」と事実に沿った内容に改まっていった。カレン州ミャワディはミャンマー東部にある。
「ミャンマー民主派云々」を語る日本人が決してミャワディ特殊詐欺拠点に言及しなかったから無駄に情報が錯綜することになるのだ。
中国マフィアが関与していることが報道されただけでも大きな進歩だが、「ミャンマー民主派支援派閥」の中には中国語が出来るものも少なからず居る。彼等は親中派なのでやはり親中派のアウンサン・スーチー政権を民主政権と称して世論を煽ることに腐心していた。
しかし彼等はカレン州ミャワディを中国語で「克伦邦妙瓦底」と表記することすら触れずに現在に至る。本当に知らなかったとすれば勉強不足だし、知りながら黙っていたのなら不誠実。
日本のミャンマー民主派支援派閥は特殊詐欺拠点の収益が資金洗浄され、その一部がミャンマー民主派活動資金になっていたことに触れていない。
私の他にもミャンマー民主派に愛想を尽かしている人はいるが、彼等にチャンスを与えないのも個人的にはすっきりしない。
そこでちょっと思いついたのだが、ミャワディ特殊詐欺拠点資金洗浄担当者のトゥン・ミン・ラットという武器商人がいる。
お巡りさんこいつです的にIRRAWADDYから借用した画像をはっておく。2022年にタイ当局が逮捕したものの、担当した捜査官全員が謎の力で左遷されたという、ラスボスではないが四天王のひとり的な上級国民。
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彼は現在タイで麻薬密売及び資金洗浄容疑で起訴されバンコクの拘置所内にいるという凶悪犯なのだが、クーデター政権首班ミン・アウン・フライン上級大将とは家族ぐるみの付き合い。
このトゥン・ミン・ラット被告はタイ上級国民との付き合いがあるのでなかなか有罪にならない。
そこでミャンマー民主派及び日本のミャンマー民主派支援派閥が、#武器商人に鉄槌を というハッシュタグを使い、それに関する内容の投稿をするなら見直すことにする。
麻薬密売及び資金洗浄は世界中どこでも死刑か終身刑。タイでは死刑判決をいったん出してから「捜査に協力的だった」という理由で終身刑にする慣例がある。
主にネットで戦っている彼等に特殊詐欺拠点から日本人20数人を救出せよと命じても不可能だろうし、各国の拉致被害者の迷惑になる。そもそも私にそんな権限はない。
だが、起訴された容疑者にネット上だけでも有罪を要求することは出来るだろう。法律には問えなくとも倫理には問える。
出来ないなら「武器商人から資金援助を受けていました」と白状したことになる。
彼等にも立場があるから「そんなこと言われても…」という話なのは承知している。ただ、これ以上立場を失いたくないならそれくらいするべきだろう。
現在「タイで拘束されたウイグル難民の中国強制送還中止を!」という2014年以来の件が今更のように引っ張り出されているが、中国の民族浄化政策が難民を生み出した、という原因に言及していない時点でおかしい。日本で難民申請させたいのはお約束。
大体、2014年5月22日に起きたタイクーデター政権下で起きたことを何故現政権のせいにするのか。文句があるならプラユット首相が現役の時にサクッと言えばよかったのだ。
非難がタイに向いているのはタクシン元首相が中国が一帯一路政策の一環でやっている特殊詐欺及び麻薬密売撲滅を公言しているから。元々タイは保守派も革新派も親日的なので中国から疎まれていた。
ちなみにトゥン・ミン・ラットは特殊詐欺拠点絡みで逮捕されたのではなく、UWSA(ワ州連合軍)の麻薬密売及び資金洗浄容疑で逮捕されている。中居正広の性加害云々も三面記事的で興味深いが重犯罪ではない。
だが武器商人というだけでもダメなのに麻薬密売及び資金洗浄は重犯罪、トゥン・ミン・ラットは塀の中に落とすしかない。
タイの司法が彼を無罪にしてミャンマーに帰国させる理由も既に乏しい。「日本のミャンマー民主派支援派閥」もクーデター政権首班の親友となれば許せないはず。ミャンマーラスボス麻薬王ウェイ・シューカンとトゥン・ミン・ラットのつながりについては拙マガジン「金三角Gangsta列伝」に詳しい。
東南アジアの特殊詐欺を含む裏事情についてはこのマガジンに詳しいので手前味噌ながらオススメ。
長々書いて結局宣伝なんか〜いと思われたらコメント欄にその思いをぶつけてね。
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