タイの報道を読む 格差拡大

東京に居ながらにして何が分かるのかと自問自答しながら書いているこのシリーズだが、プラユット首相が「3月26日に非常事態宣言を施行する」と発言した3月24日について少し書いておきたい。その丁度1年前、すなわち2019年3月24日に行われた総選挙は不正に満ちていた。新型コロナウイルスが世界を混乱させているのは選挙の厳正さを軽んじたタイ軍事政権のせいだと言えば飛躍になるが因縁を感じる。しかし謎の疫病が経済を混乱させ多くの人々が失業し、普段ドイツに滞在されている方も「愚かな国王が私達を死に追いやる」と露骨に非難されるように。国民が苦しんでいるときにも我関せずなので当然なのだが、貧富の格差世界一のタイの貧困層の苦しみは普通の日本人にも想像が及ばない。

私は失業が増えると自動的に犯罪も増えると以前書いた。確かに増えたが予測したような強盗や麻薬密売はそれほどでもなく、 もっと悲惨な犯罪が目についた。

上記の記事はバンコク隣県、スワンナプーム国際空港のあるサムットプラカーン県で起きた嬰児死体遺棄についてのもの。廃品回収業の女性51歳が出物はないかとごみ捨て場にあるタンクを漁っていたら紐のようなものが目についた。彼女はそれを最初魚の内蔵だと思ったがビニール袋からはみ出していたへその緒だった。その袋の中にはタオルに包まれた9カ月目と判断された嬰児の死体。男の子。警察は出産した母親が自らへその緒を切り死体を棄てて行ったと判断して母親の行方を追っている。3月24日の報道だがいまだに母親逮捕の続報はない。

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