タイの報道を読む KINGDOM

テクノロジーが呪術の高みに達することは珍しくない。その証拠にTwitterには呪いの文句が毎日書かれている。その昔、まじない師や占い師は知識人でないと務まらなかった。今は全員ある程度知識人。なので誰でも戦士を召喚しラスボスを攻撃することができる。

その呪文はハッシュタグにすると効果的。それは例えばこんな感じだ。

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このハッシュタグは3月21日のタイ語Twitterトレンド1位に輝き、最終的に100万件近くツイートされた。意味は「なんで王様がいるんだ」

最初は韓流ドラマ「KINGDOM」についてツイートしているように装われたがそんなはずもなく、長引く不況に加え3月22日から4月12日までと暫定的に施行されたバンコク及びその近県における新型コロナウイルス感染予防措置としてのデパートや娯楽施設などの閉鎖は失業者も生み出し、それに苦しむタイTwitterユーザー達が「私達はこんなにも苦しんでいるのに国王はドイツで遊んで暮らし何もしないとはどういうことだ、こんな王様は要らない!」と怒りの声を挙げたのだ。

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ハッシュタグと共に投稿された画像。KINGDOMのワンシーンから。字幕を和訳すると「国王は運良く国王の息子に生まれただけだ」

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字幕和訳「国王は何もなさらない」

このハッシュタグがトレンド入りした3月21日は前述した商業施設等閉鎖措置が告知された日と同じく土曜日。疫病感染予防の為とはいえ自宅待機が推奨され、遊びに行けないならまだしも仕事が無い、食料が無い、金も無い......しかし世界一の資産家であるラーマ10世は普段はドイツに滞在し、国民にお言葉のひとつもない。

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