タイの報道を読む クルーズ船の行方
新型コロナウイルスの流行が世界各地の産業に打撃を与えている。観光業は廃業も予想されるが、その中でも今後存続が危ぶまれるのはクルーズ船だ。横浜港で検疫を受けていたダイヤモンドプリンセス号の感染者数はしばしば日本の感染者数に合算され、日本政府の対応に不充分があったとしても「イギリス船籍なのにイギリスはだんまり」などという不満もネットに流れた。もう日本は当分豪華クルーズ船を受け入れることはないだろう。
その日本での騒ぎを世界も見ていた。新型コロナウイルス感染予防についてはどこの国も手一杯なのに外国人感染者を受け入れる余裕などない。たとえ乗客や乗務員を上陸させなくても停泊させるだけで国際的なイメージが悪化するのだ。そこでミャンマーがクルーズ船入港を拒否した。
以下、上記記事抄訳。
2020年3月3日、ミャンマーの労働観光省副次官は同月4日に寄港予定のモナコ船籍クルーズ船、シルバースピリット号入港の禁止措置を告知。理由は「たとえ新型コロナウイルス感染者の存在が無くとも検疫が困難」というもの。また同号はプーケットを含む国外の幾つもの寄港地を経ており、感染者が多数いる国に立ち寄っていることも入港禁止の理由として挙げられた。その後同号がどこに向かうかはミャンマー当局もまだ分からないという。
ミャンマーは東北部を中国と国境を接しているが新型コロナウイルス感染者数の報告はまだ無い。だがヤンゴンの病院には入院患者が多数いると伝えられている。
抄訳ここまで。
......それに引き続き3月6日、タイのプーケットはイタリア船籍クルーズ船、コスタ・フォーチュナ号の同月7日に予定されていた寄港を不許可。乗客と乗務員約2500名がこれからどこに向かうのかも明らかではない。この船は東南アジアを回遊しているらしく、2月21~22日にもプーケット、27日にサムイ島に寄港。また前回の寄港地は感染者が多数報告されているシンガポール。母港がどこなのかは不明だが、多国籍の乗客と乗務員の絶望感がしのばれる。コスタ・フォーチュナ号から新型コロナウイルス感染者が確認されたという報告は無い。だが運営会社は開店休業状態に追い込まれ倒産もありうるだろう。この手のクルーズ船が世界中でウイルスを拡散しているとも取れるような英語報道もあり、新規の顧客開拓も困難を極める。
感染者はアジアだけでなくイタリアを始めとする欧米でも多数報告されている。楽観的に見て収束は年内。もし東京オリンピックが中止となりロンドンでの開催が決定したとしても選手団や観光客が英国に入国出来るかどうか。またロンドンでは先日シンガポールからの留学生が地元の青年達に「コロナウイルス!」と罵倒され袋叩きに遭い重傷を負った。アジア人に対する差別もあるが、現市長サディク・カーン就任以降殺人発生件数がニューヨークを越えたという報道が昨年あった。私はイギリスは嫌いではないが、地下鉄駅周辺に麻薬中毒のホームレスが多いのにはうんざりした。彼等は日本のホームレスと違い若者が多く、麻薬の処理に使うのか護身用なのか刃物を持っている。要するに治安が悪いのだ。ロンドンはオリンピック開催地に相応しい場所ではない。では東京はどうかというと元から色々と問題を抱えている。
記事作成の為、資料収集や取材を行っています。ご理解頂けると幸いです。