バンコクの殺人事件現場に行ってみた
まえがき
この記事は、1.ルンピニー署警官仏人観光客射殺事件 2.日本女性監禁事件とその容疑者黄健一(ファン・ゴニル)のルンピニー署内変死事件について書かれています。いずれも事件発生を日本で知ってからバンコクの事件発生現場を検証したもの。スクンビット通りは空気が悪く、アソークからナナにかけてはまだ明るいうちでも殺伐とした雰囲気があったのを記憶しています。タイはフィリピンなどに比べてまだ安全とされているものの、場所や時間帯によってはそうとも言えません。貧富の格差がインドを抜いて世界一となり、「ラーマ9世ロス」が人々の倫理観を揺らがせている現在のタイ。あなたの観光や生活にこの記事が少しでも貢献すればと思います。
以下本文。
トップ画像はスクンビットのエムクオーティエ前にひっそりと貼られていたもの。バンコク在住Aさんが「ほらここに」と教えてくれなかったら誰にも知られることなく歴史の陰に埋もれていたことだろう。2019年2月撮影のこのシール、明らかに日本人が貼ったものだが一体どんな人がどんな心境で貼ったのか。意識高い系とは一味違うキレ味の反骨精神。そして、今年2月に私がバンコクを訪れた目的は、刑事事件発生現場を検証すること。タイ語のニュースなら日本にいても読める。しかしそれだけではやはり不十分。今日はチェンマイ明日はブリラムは無理だが、せめてバンコクで起きた事件の現場を見ておきたい。そこでとりあえず、「警官がフランス人観光客を射殺した現場」について。まずは当時のタイ語報道の拙訳から。
2018年12月12日の明け方、ルンピニー署制圧部のガンタポン警察准尉(49)ともう1人(銃を手配したのはバーテンダーと言われている)が口径不明の拳銃でフランス観光客マーリク・ジャメルさん(35)の頭部をスクンビットソイ13にあるトレンディ―ビルディング内のダンキンドーナツカウンター前で狙撃し死亡させた。
犯人は逮捕され即刻警察を解雇、起訴案件は計画殺人。保釈金は容疑者親族の誰も払わず裁判所の拘置所に収監された。
被害者の女友達、ジャワンジラーさん(仮名)の証言。
――私と被害者はスクンビットソイ11にある店、ラッキーショットで酒を飲みながら食事をしていました。犯人の警官も同じ店内で私服で飲んでいたのですが酔いが回ったところで私達のところに来て「同じ店で同じ女を口説きやがって」と絡んできたのです。そして2人は殴り合いの喧嘩になったのですが警官は負け、店外に走り出しました。また被害者も急いでソイ13にあるホテル、トレンディービルディング8階(被害者宿泊先らしい)に走って戻ったのですが、ダンキンドーナツの前で銃を持ってきた犯人に追いつかれ、被害者は頭を一発撃たれ、犯人は逃走したのです。
ここまでが翻訳。以下は2018年12月、つまり訪タイ前に東京で私が解説として書いた文章を加筆校正したもの。
記事作成の為、資料収集や取材を行っています。ご理解頂けると幸いです。