ポストBATと呼ばれる中国のテックカンパニーのTMDとは何か?
こんにちはKosukeeeです。
日本のテック界隈のみなさんであれば昨今のグローバルな潮流として米国のシリコンバレーだけでなく中国のテック界隈も気になってきているかと思います。
そこで今回は中国のポストBATと呼ばれてるTMDについて触れてみたいと思います。
BATというのはすでにご存知かと思いますがバイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)の企業になりますがTMDというのはこれら中国を代表するテックカンパニーに続く企業と言われています。
自分自身は日本に住んでいるためTMDのサービスには馴染みはありませんが中国の今の流れを理解するためにも調べてみたいと思います。
まずTMDとはそもそもどこの企業/サービスかといいますとトウティアオ(Toutiao/今日頭条)、メイトゥアン・ディエンピン(Meituan Dianping/美団点評)、ディディ(Didi Chuxing/滴滴出行)の3社になります。
ディディは日本でもサービスを提供しているので馴染みはありますがそれ以外のサービスは(名前は聞いたことがあるけども)利用したことはありません。
トウティアオ(今日頭条)の概要
親会社はByteDance。
最初のローンチは2012年でその4ヶ月後には100万DAUに達しています。
サービスとしてはニュースアプリとして始まりその後QAサイトやブログなどの複合的なサービスに進化。サービスの裏側を支えているのが機械学習によるレコメンドシステムです。
自然言語処理とコンピューターヴィジョンを用いてコンテンツの各部分から特徴としてエンティティとキーワードを抽出しているそうです。そしてユーザーがアプリを使っていくにつれてモデルを微調整していきユーザーに最適化しくのだとか。
直近のMAUは272万人(2020年3月)です。
ちなみにバイトダンスといえばTikTokとして日本には馴染みがありますね。
バイトダンスは直近の未公開株取引で15兆円前後の評価額だったとも言われていますね。
メイトゥアン・ディエンピン(美団点評)の概要
メイトゥアン・ディエンピン(美団点評/Meituan Dianping)はすでに香港証券取引所に上場しており、直近の時価総額は約10.8兆円になります。
もともとMeituanとDianpingというそれぞれ別の会社が合併したことで今の美団点評になっています。
もともとはメイトゥアンはローカルのサービスやエンターテインメントのクーポンを販売してその日のお得な情報を提供するサービス。
一方でディエンピンはユーザーによるレストランのレビューとグルーポンのようなグループ購入での割引を提供していました。
この2つのサービスが合併することで現在のメイトゥアン・ディエンピンになりました。
現在のサービス内容としてはレストラン、映画館、ホテル、レジャー施設の口コミサイト+予約・購入やフードデリバリーなど。
中でもメインのビジネスはフードデリバリーとのこと。
CMB Internationという中国の商業銀行のレポートによると中国のフードデリバリーのマーケットの66%を占めているようです。
(ちなみにEle.meというのはアリババ配下のサービスです。アリババは約1兆円で買収したようです。)
またレベリューの内訳としては56%がフードデリバリーからきているそうです。
さらにこのレベニューは年平均で35%成長しているということもまだまだ成長が期待できそうです。
ディディ(滴滴出行)の概要
ディディは配車サービスの企業になります。またソフトバンクから出資を受けている企業でもあります。
現在の評価額は7.5兆円と言われています
Uberが中国に進出した際にはディディと一騎討ちの形になりお互いにキャッシュを燃やしながらユーザーの獲得に走っていたようです。その後ディディがUber Chinaを約3.5兆円 + 15%の株式を渡す形で吸収合併したことでUberという当時最も勢いのあるUSのサービスを追い出したという形になり中国国内で称えられたそうです(Uberとしても高い評価額で売却できかつ15%の株式を獲得できたので中国のマーケットは取れなかったけれども損をしたわけではなかったようです)。
ディディは現在のコロナの影響をもろに受けているので苦しいと予想されますが実はコロナ以前からすでにビジネスの趣が良くなくなってきていたようでプライベート取引で以前は1株$55だったのが$30-40まで下がってきているとのことです。
その上でのコロナの影響でさらに評価額は下がっているでしょう。
この記事によるとDidiのアクティブユーザー数は5.5億人で世界最大のサービスとのこと。
中国はスーパーアプリといって一つのアプリ内で様々なサービスを提供するのが特徴なのでなかなかサービスの全体像を掴みにくいです。
日本でもこれからスーパーアプリのようになっていくのを目指している企業も出てきているため中国のサービスを参考にすることで今後のアプリの方向性が見えてきそうです。
TMDの特徴とは?
トウティアオ、メイトゥアン、そしてディディに共通してみられるのはサービスの裏側を支えている機械学習の存在といえるでしょう。
少し前までの熱狂的なAIブームとは異なり今は機械学習の存在が当たり前となっていると言えそうです。
トウティアオはユーザーに最適化したニュースを届けるために機械学習を用いています。親会社であるバイトダンスの最大の強みが機械学習の技術ともいわれていますね。
一方でメイトゥアンにはロジスティック専門のAIチームがいるとのこと。Github上にもメイトゥアンのML関連のレポジトリがありますね。
またディディの場合は配車のためにはユーザーとドライバーのマッチングを最適化するアルゴリズムが必要になります。
ディディにはDiDi Labsというリサーチ専門のラボもあり自動運転のためのアルゴリズムの開発などを行っているそうです。
AI先進国を目指す中国
特に中国では個人情報の扱いに制限が少ない分機械学習を押し進める上でのデータが豊富だといえます。最近は中国国内のユーザーも個人情報に敏感になり始めているようですが国家単位でみたときに規制ありきの日本よりはかなり進んでいます。
今後、機械学習の活用はテックサービスだけに収まらず他の業種にも転用されることを考えるとゆくゆくはGDPなどの国力の差にも影響してきそうですね。
実際2020年度の中国のAI特許出願の数が米国を抜いたというニュースも出てきています。
実際中国政府は2030年までにAIで世界一の大国になることを掲げて国を挙げてサポートしていることからも力の入れようが違います。
今回の記事は以上になります。
個人的に最近中国のテック関連が気になり色々と本を読んでいたこともありこのような内容をまとめてみました。
今後も中国テックは目が離せませんね。
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14億人のデジタル・エコノミー 中国AIビッグバン
中国の政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)を立ち上げた後に独立された方が著者。
コマースからコンテンツ、金融、シェアリングエコノミー、またプライバシーの問題まで幅広く取り上げています。