電子書籍の対義語ってまだ確定してませんよね?「紙書籍」「紙の書籍」「物理書籍」
電子書籍の対義語ってみなさんはなんと言ってますか?
既存の概念が新しい概念により名前が書き換わることをレトロニムといいます.例えば,今まで「芝」と言われてたものが「人工芝」の誕生によって「天然芝」と呼ばれたり,ただの「テレビ」が「カラーテレビ」の発明で「白黒テレビ」と呼称されることを指します.
で,今2010年代にかけて電子書籍の誕生により今までの「書籍」という語のレトロニムが生まれようとしてるんですよ.ただどうもその呼び方が2018年02月27日現在,確定してない可能性が高いんですね.
確認した範囲だと「紙の書籍」「紙書籍」「物理書籍」の3種類が見つかりました.
「紙の書籍」
先日この記事がtwitterを賑わせていた「漫画の売り上げ 電子版が初めて紙を上回る」という記事では電子書籍のことを「電子版」対義存在を「紙の」って呼んでますね.記事内でも「紙のコミックスが」「初めて紙の売り上げを」っとなってます.
他にはJ-STAGEで検索すると「答えを探す読みにおける紙の書籍と電子書籍の比較」「電子書籍と紙の書籍の比較項目が購入判断に及ぼす影響 -提示する比較項目と選好の関係から-」など丁寧な場では「紙の」で書かれるケースが多いように見受けられます.
変則的な用法だと「電子書籍」と「紙の本」という言い回しもあります.「増える電子書籍!それでも書店の"紙の本"に魅力を感じる4つの理由」.対義語なのに書籍と本で対応しきってないんで少し気持ち悪い.
google検索で約 11,100,000 件 (0.56 秒)
「紙書籍」
「紙の書籍」だと間に平仮名が入って気持ち悪いから「の」を取ったようにみえる「紙書籍」派.記事なら「紙書籍販売サイト「オンライン書店boox」と「オンライン書店BOOKFAN」が楽天市場2017年度SOY・SOA受賞!」「紙書籍 vs 電子書籍」.論文ではJ-STAGEなら「電子書籍と紙書籍に関するユーザビリティ比較」「電子書籍利用者と紙書籍利用者の意識や行動の差異に関する研究」といった感じ.
流石に「紙本」は見つからなかった.
google検索で約 1,490,000 件 (0.43 秒)
「物理書籍」
多分使う層がかなり限定されてる「物理書籍」.多分発端は小説ニンジャスレイヤーの書籍発売時だと思われる.
「ニンジャスレイヤー物理書籍公式サイト」
(http://ninjaslayer.jp/)
この「物理書籍」の用法,ニュースや記事などちゃんとした場ではまず見られないんですけどtwitterの特定層で使用される傾向にあるんですよ.多分もとは「ニンジャスレイヤー物理書籍」のみを指して「物理書籍」と呼んでたんですが(この用法もちょくちょくある),気がついたら「電子書籍」の対義語として「物理書籍」を使うようになって来てるんです.
「物理書籍」って言葉の何がいいって「電子書籍」の対義語感が「紙の書籍」や「紙書籍」よりも強いんですよね.全部漢字で4文字,書籍って部分も対応しているあたりが.
J-STAGEではヒットしませんでした.
google検索で約 486,000 件 (0.46 秒)
今後どうなるか
2017年はニンジャスレイヤー界隈から生まれた「パワーワード」って言葉が「今年の新語2017」で3位を受賞してますし,少なくともネット界隈で「物理書籍」が定着するんじゃないかって気はします.座りが良いし.その上でネット用語感が薄いんで気がついたら新聞記事とかでも使われそう.
2017年02月27日より
参考url
「漫画の売り上げ 電子版が初めて紙を上回る」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180226/k10011343931000.html)
「答えを探す読みにおける紙の書籍と電子書籍の比較」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/55/3/55_274/_article/-char/ja)
「電子書籍と紙の書籍の比較項目が購入判断に及ぼす影響 -提示する比較項目と選好の関係から-」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsik/27/2/27_2017_019/_article/-char/ja)
「増える電子書籍!それでも書店の"紙の本"に魅力を感じる4つの理由」(https://matome.naver.jp/odai/2139402345095918301)
「紙書籍販売サイト「オンライン書店boox」と「オンライン書店BOOKFAN」が楽天市場2017年度SOY・SOA受賞!」
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000684.000001485.html)
「紙書籍 vs 電子書籍」(http://www.neowing.co.jp/feature/ebook_paper_comparison)
「電子書籍と紙書籍に関するユーザビリティ比較」
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/53/Supplement1/53_S208/_article/-char/ja)
「電子書籍利用者と紙書籍利用者の意識や行動の差異に関する研究」
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/nig/52/1/52_061/_article/-char/ja)
「今年の新語2017」
(http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/shingo2017/index.html)で