見出し画像

『アルハンブラを買って死にたい』 Van Cleef & Arpelsにどハマりした話

2024年夏、わたしは悩んでいた。
ある100万円程度する指輪を気に入り、試着もし、家族の許可も取り付けていた。

けれど、わたしはその指輪を買わなかった。
別のジュエリーを買うことにしたから。

それが「アルハンブラ」。
言わずと知れたVan Cleef & Arpels のアイコニックなジュエリー。良くも悪くも注目される「バカみたいに高価」で「ため息が出るほど素敵」なジュエリー。


アルハンブラ?花みたいな形の?

素敵!という声と同じかそれ以上に「あんなもの」扱いをされがちなアルハンブラだけれど、実はわたしも、アルハンブラの良さを知らなかった1人だ。

シンプルすぎる、よくいえば伝統的で、悪くいえばどこにでもありそうな形。
なぜ熱狂的に扱われるのか理解できていなかった。
アルハンブラがクローバーであることすら、2024年まで知らなかったくらいだ。

わたしの運命を変えたのは、友人が身につけた「実物を見た」…ただそれだけのこと。

夜景が綺麗な薄暗い照明のレストランで、オニキスを取り囲むミルはキラキラと輝き、一目で手の込んだ良い物だとわかった。
何より人の肌の上にあると、こうも印象が違うのかと、わたしはすっかり魅了されてしまった。

「アルハンブラって、そんなに素敵なんだね。とてもよく似合ってる。」

アルハンブラを買いたいと思います!

それでもまだ、わたしは自分がアルハンブラを買うとは思っていなかったし、むしろ積極的に遠ざけようとしていた。
だって「アルハンブラ」だから。アイコニックすぎて、わたしには「望むことすら遠い」ジュエリーだと思い込んでいた。

そんなとき、別のジュエリーに出会い「100万円のジュエリー」を買うか、買わないかということを人生で初めて検討するようになった。
何度もTwitterで相談して、沢山の人からお勧めを教えてもらった。当時のわたしのアカウントにしてはびっくりするほどのリプライをもらい、その中でわたしは気づいてしまった。

100万円あれば、わたしはアルハンブラを手にすることができるのでは?

わたしは思い切って、Twitterで呼びかけた。

このときリプライをくれた方に、わたしはとても感謝している。
誰も「そんな買い物をするなんて」とわたしを笑う人はいなかったし、快く作品を見せてくれた。

「アルハンブラの話題で、こんなに治安がいいなんて」という引用もあったけど、振り返ってわたしもそう思う。このとき笑われなかったから、わたしは自分に素直になることができた。

そこになければないですね…かくも遠いアルハンブラ

そこですぐアルハンブラを買ったかというと……そうはいかない。

何度Webを見ても来店予約ができる様子は全くなく、今となっては親しみのあるルデスクにも相談したけれど「開店すぐであれば当日の枠がいくつかご用意できる場合もあります」という回答で、電話の後はベッドにひっくり返って唸るしかできなかった。

ああ…Van Cleef & Arpels 。
庶民にとってかくも遠い。実物を見て検討することすら許されないのか。

結局、友人の手を借りて、同伴する形で初めての来店予約を取り付けた。
わたしの初めてのアルハンブラは、ヴィンテージアルハンブラオニキス。

こうしてわたしは「アルハンブラを身につける人生」を始めた。

アルハンブラは愚かな買い物なのか

高価であるからか、そのアイコニックさからか、アルハンブラは時折「愚かな買い物」の象徴のように扱われることがある。

だけど、仮に身につけなくなる日がきたとしても、アルハンブラのある人生はわたしにとって愚かなものではない。

家に花を飾るように…誰の目にも触れず、わたしの心を慰めるだけだとしても、わたしは「アルハンブラを纏う」人生を送りたかった。
一度きりの人生ならば「アルハンブラを買って死にたい」と心から思い、そして手を伸ばした。

さあ、今日も耳を飾ろう。小さな日々の彩りのために。

いいなと思ったら応援しよう!

ビッキ
読んで頂くだけでも十分嬉しいです^^ いただいたチップは活動費に使わせていただきます!