Day03 瀬戸内から日本海へ02
【山口県周南市から鳥取県倉吉市へ】日常使いしている110ccのSD(ベトナムHONDA製スーパーカブ、Super Dream)号で、沖縄から北海道まで6泊7日で走りきる? 机上では大丈夫そうなので、実際に走ってみました。……3日目は日本海に抜け、鳥取県倉吉市へ。19時にはチェックインできたので、ちょっと旅の装備を点検しましょう。
3日目は19時にはJR山陰線 倉吉駅近くのホテル『ホテルアーク21』に着きました。エントランス脇にSD号を停め、チェックイン。ルームキーを受け取ったら、まずは荷物を運びます。
3日目にして、この荷物運びもだいぶスムーズになりました。まずハンドル回りに装着していたナビ用スマホやGoProを外し、ヘルメットを持ちます。そして着替えを入れた防水ダッフルパック(カヤック用。ツーリングネットでリヤシートに積載)を抱えると手が塞がるので、それらをいったん部屋に置いてきます。
次にリヤキャリアのGIVIモノロックケース(容量43ℓ)を運び荷降ろしは完了。前輪上のカゴに入れた防水トートバッグ(雨具や防寒具入り)はそのまま。ハンドル回りの各種マウントも特に外しません。今回のツーリングでは主にビジネスホテルを利用。残念ながらどこにもバイク駐輪場の用意は無かったので、大抵エントランス近くの軒下に駐めましたが、特に問題は起こりませんでした。
ヘルメットは出発前、オープンフェイスかフルフェイスかで迷いました。連日の走行距離を考えれば疲労軽減が最優先。……フルフェイスのArai Astro GXにしました。結果、優れたベンチレーションに助けられました。軽さと重量バランスの良さ、風切り音の少なさにより、長距離も快適に。SD号にフルフェイスは大げさな気もしますが、もう一度同じように走るとなったら、またArai Astro GXにするつもりです。
足元についても迷いました。ライディングシューズも考えたのですが、一日中乗りっぱなしなので通気性のいいスニーカーが良さそうです。以前、北海道ミーティングでスーパーカブで日本一周した先輩ライダーに「雨でも問題ないので長靴ばかり履いていたら、ある日皮膚かぶれから壊疽しかけていて入院治療した」と聞き、ぞっとしたこと思い出しました。
通気性が良く、足のホールドもしっかりしていて多少歩けるスニーカーを探し、出発直前にHOKKAのM BONDI Lというスニーカーにたどり着きました。そのおかげで足元もノートラブルで過ごせました。
足元は上々でしたが、問題は尻です。SD号はシートのアンコが薄く硬く、見た目より長距離に向いていません。以前四国をまわった際にそれを実感したので、今回は対策を施しました。まずゲルシートを置き、その上にメッシュのシートカバーと合皮のシートカバーを重ねました。クッション性を確保したのですが、結局それでもダメ。100km、3時間が限界です。そうなるとどこかクッションの柔らかい椅子に腰掛け休みたくなるのですが、ロードサイドの道の駅にはそんな椅子はありません。
木のベンチかプラスチックのガーデンチェアばかりです。仕方なく道の駅ではうろうろと歩き続けました。歩けば血行の具合か、多少尻の痛みが和らぎました。道の駅にネットカフェがあればなあ……、と何度思ったかわかりません。
二口のUSB電源を設け、そこから電源を取りながら走行中は常時スマホ ナビを使います、スマホは以前に使っていたiPhone7で、SIMはロケットモバイル。アプリはツーリングサポーターです。効率良く旅を進めることできましたが「効率が良ければいいのか?」とも思います。できたらナビ無しの方が、旅はより深まりそうです。
本州は日本海側のいわゆる裏日本ルートを北上したのですが、コンビニも百均もくまなくあります。1泊3千円台の部屋でも冷蔵庫と湯沸かし器完備ですから、極端に言えば着替えと雨具、スマホの充電器と現金さえ持っていればスーパーカブの日本縦断、不可能ではありません。大がかりな装備を毎日積んだり、降ろしたりしながら、いつしかそう実感していました。 (つづく)
――この沖縄 喜屋武岬から北海道 宗谷岬への6泊7日旅の全貌は本誌特集「走って走って日本縦断記」でお読みいただけます。とにかく目まぐるしく慌ただしく、時に均一化進む郊外景色に自分自身を見失うことも……。旅は2022年5月、スタートした喜屋武岬の気温は27℃、ゴールした宗谷岬は6℃台でした。
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出典:バイカー春秋 創刊4号
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