【沖縄→北海道】Day5富山から山形へ
【富山県富山市から山形県鶴岡市へ】日常使いしている110ccのSD(ベトナムHONDA製スーパーカブ、Super Dream)号で、沖縄から北海道まで6泊7日で走りきる? 机上では大丈夫そうなので、実際に走ってみました。……5日目も快晴、初夏の爽やかな暑さのなか日本海を左手に約400km北上します。
5日目の快晴。朝から初夏の日差しがジリジリ攻めてきます。昨晩は気づきませんでしたが、宿泊した『いなり鉱泉』はJR富山駅から徒歩圏内。結構な街中でした。今日は新潟市まで国道8号、新潟市からは国道7号と、日本海を左手にひたすら北上します。SD号に跨がれば尻の痛みも無く、生まれ変わったような気分。そう、ツーリングを始めてから毎朝生まれ変わっている気がします。
しばらく行くと、道は親不知へ。交通の難所として知られていますが、以前よりだいぶ道幅も広くなり……と思っていたらすぐに崖沿い、タイトコーナーの連続に。雪崩や落石、土砂崩れから道路をまもる半ばトンネルのような覆道の中で、大型トレーラーとすれ違うのはちょっとしたスペクタクル。牽引されたトレーラーのセンター、車軸間の真ん中あたりが明らかに車線を割っており、迫って来ます。覆道のコンクリート壁面を避けているのは分かるのですが、それほど車速を落とすことなくグイグイ来るので驚きます。
親不知を抜けしばらく行くと上越市。そこにバイカー御用達の『ニューハルピン』があると聞き、ラーメンをいただくのを楽しみにしていました。JR直江津駅に向け市街に入り『ニューハルピン』を見つけましたが、昼時にもかかわらず静かです。……その日は火曜で残念ながら定休日でした。連日走り続け、もはや曜日が分からなくなっており、事前に定休日を調べるような繊細さも失せていることに気づかされました。
さて昼をどうしよう? と『ニューハルピン』前で思案。20分ほど前に国道8号沿いに『徳市』という食堂があったことを思い出しました。海沿いの好ロケーションで、なんだか美味しそうでした。……ちょっとだけ戻ることにしました。
『徳市』でいただいたのは魚フライ定食です。カウンターにはガラスのショーケースがあり、刺身や煮付け、玉子焼、モツ煮なんかが並んでいます。ツーリング中は腹が減るので、これがたまりません。店内は小上がりまで満席でした。魚の煮付けのいい匂いとともに昭和の残り香も漂う名店でした。
『徳市』で腹がふくれ、国道8号を走り出したらなんだか眠気が。これはマズイと、すぐにあった『道の駅 うみてらす名立(なだち)』にSD号を停めました。休憩スペースにプラスチックのガーデンチェアがあったので、そこで休憩。目を閉じ、しばし熟睡。
目覚めて驚きました。壁面高くや梁に魚の群れが泳いでいます。ここは竜宮城でしょうか? 自分が乗っていたのが亀なのか、SD号なのか、わからなくなりました。 (つづく)
――この沖縄 喜屋武岬から北海道 宗谷岬への6泊7日旅の全貌は本誌特集「走って走って日本縦断記」でお読みいただけます。とにかく目まぐるしく慌ただしく、時に均一化進む郊外景色に自分自身を見失うことも……。旅は2022年5月、スタートした喜屋武岬の気温は27℃、ゴールした宗谷岬は6℃台でした。
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出典:バイカー春秋 創刊4号