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【沖縄→北海道】Day02 九州を駆け抜ける

【鹿児島から大分、スオーナダフェリーへ】日常使いしている110ccのSD(ベトナムHONDA製スーパーカブ、Super Dream)号で、沖縄から北海道まで6泊7日で走りきる? 机上では大丈夫そうなので、実際に走ってみました。……90分遅れで鹿児島に上陸。雨のなか霧島を抜け、SD号は阿蘇へ。19時竹田津港発のスオーナダフェリーに乗りたくて、走りに走った2日目でした。

鹿児島新港を後にして錦江湾を右手に北上。雨は本降りではなかったので、レインウエア代わりのジャケットで走り出しました。すると間もなく雲が割れ、みるみる気温が上がっていきます。

スマホのナビに忠実に淡々走ります。鹿児島から熊本に入る県境手前の伊佐市にさしかかったところでシンプルに「ラーメン」とある看板を見つけ、SD号を停めました。昨日までいた沖縄では、麺といえばすば(沖縄そばですね)。久しぶりにラーメンが食べたくなりました。

店の名は『㐂一(きいち)』。カウンターは満席なので、窓際の小さなテーブル席でラーメンを注文。スマホでこれからのルートを確め、メールや着信を見ていたらテーブルに丼が。それを見て激しく動揺しました。スープが白濁しています!

鹿児島県伊佐市『㐂一』でいただいたラーメン。美味

考えて見れば九州にいるのだから当たり前です。でもまったく思ってもいませんでした。……例えば羽田から福岡空港なり鹿児島空港なりに飛んで来れば、機内誌の記事や空港着後の広告看板、ご当地ポスター、土産物等を眺め、ああ豚骨ラーメン圏に入ったのだな、と情報更新できます。しかし那覇からフェリーで鹿児島にやってきて、上陸してすぐに走り出すと、そういった情報更新が全くできていません。静岡生まれ神奈川在住の自分は「ラーメン」のシンプルな看板に、醤油ラーメンをつい連想してしまい、運ばれてきたラーメンを見て一瞬バグってしまったのです。

ラーメンを美味しくいただき、腹の底から九州を実感。さて今日は真面目に走らないと……と早々SD号に戻り、スマホをホルダーにセット。スオーナダフェリーが出る竹田津港を目的地に設定すると……、まだ300kmほどあり、着予定時刻は20時を過ぎています! これはマズい。

そこからはナビの下僕(げぼく)となり、さして休みもせずに走り続けました。淡々距離を詰め、到着予定時間を19時にすることに集中。だから阿蘇の絶景はおろか、どの道を走っているのかもよくわかりません。

道の左が被災したくま川鉄道線。右が球磨川

ただ一箇所、先頃の球磨川豪雨で被災したくま川鉄道の惨状を見たときには目の覚める思いでした。曲がりくねり起伏した線路には球磨川が暴れた際の激しさ、恐ろしさが如実にあり、景色は悪夢のようでした。

失敗したのは給油です。熊本県八代市で給油後150kmを超えたところで、そろそろ給油をと思ったのですが、ガソリンスタンドがありません。こうなれば行けるところまで行って、予備タンクの3ℓを入れるのみと腹をくくりました。エンジンが咳き込みはじめたのは給油後170㎞強を走った頃。ちょうど宇佐市(大分県)香下郵便局前だったので、その駐車場を借り、給油。

再び走り始めて確認すれば竹田津港までの距離は41km。到着予定時刻は18:55です。そこから脇目もふらずSD号を走らせ、なんとか19時発のスオーナダフェリーに乗船。がんばった褒美のように美しい夕日が沈んでいきます。フェリーはガラガラです。眠るつもりでしたが、タイムトライアルの興奮冷めやらずうまく眠りにつけません。

19:00竹田津港発のフェリーにバイクは1台のみ
竹田津港を離岸し徳山に向かうスオーナダフェリー E
出港離岸に合わせ突堤で釣人が手を振ってくれた 
周防灘に沈む見事な夕日。おつかれさまでした

スオーナダフェリーは定刻通り徳山港に到着。今日の宿『ホテルクラウンヒルズ徳山』は港から5分でした。部屋に入るなりベッドに倒れしばし爆睡。……実にながい1日でした。

徳山港着。宿まで5分走れば今日の旅は終わり

――この沖縄 喜屋武岬から北海道 宗谷岬への6泊7日旅の全貌は本誌特集「走って走って日本縦断記」でお読みいただけます。とにかく目まぐるしく慌ただしく、時に均一化進む郊外景色に自分自身を見失うことも……。旅は2022年5月、スタートした喜屋武岬の気温は27℃、ゴールした宗谷岬は6℃台でした。

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出典:バイカー春秋 創刊4号

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