忘年会をセッティングした下っ端社員が、気がつけば黄ニラ大使になっていた話
こんにちは!
『美観堂』の久保です。
先日、姉妹店『有鄰庵(ゆうりんあん)』にて、『黄ニラ大使』の植田輝義(うえだてるよし)さんを招いたイベントが行われました!
私も参加したのですが、あっという間の2時間半。
植田さんと「黄ニラ」の運命的な出会いの一部始終を垣間見て、終わった頃には「これ映画化できるのでは...!」なんて思ってしまったほど。
今日はそのレポートと言ったら少し大げさですが。
イベントの模様も織り交ぜながら、『黄ニラ大使』植田さんについてご紹介させていただこうと思います。
1.そもそも、『黄ニラ大使』とは?
『黄ニラ大使』とは、岡山の特産品「黄ニラ」を県内外に宣伝する、広報大使のような存在。
公式ではなく、岡山県で農家を営む、植田輝義(うえだてるよし)さんが、自ら名乗って活動されています。
主な活動内容は、「黄ニラ」の新メニュー開発や、飲食店へのPR、メディア出演など。
また、「黄ニラ」のイメージを纏うため、トレードマークの黄色いつなぎを着て活動されているんですよ。
ところでみなさん、お話を進めてしまっていますが、「黄ニラ」という野菜はご存知でしょうか?
(恥ずかしながら私は、昨年岡山に引っ越してきて初めて知りました…)
せっかくなので、このお野菜についても先に触れさせてもらいますね。
(ご存知の方は、スキップしちゃってください〜!)
2.「黄ニラ」とは?
岡山県を代表する特産物・「黄ニラ」。
青ニラに比べて青くささがなく、シャキシャキとした歯ごたえと上品な甘みが特徴の野菜です。
その歴史は古く、岡山県にて栽培が始まったのは明治5年のこと。
その後、生産量が激減した時期もありましたが、昭和55年に露地での栽培方法が確立されると、飛躍的に発展。
現在では岡山県が、全国一位・約7割の生産量を誇っています!
特徴的なのは、名前の通り美しい黄色を纏っていること。
この色の秘密は、光合成に焦点を当てることで解明します。
実は、(これ私もほんとうにビックリしたんですが)「青ニラ」と「黄ニラ」はもともと同じ品種なんだそう...!
「青ニラ」は光合成をさせることで、緑色に。
「黄ニラ」は光合成をさせないことで、黄色になるんです。
なんでも、日光を完全ににシャットダウンさせることで、緑色の色素が増えるのを防ぎ(=青ニラになるのを防ぐ)、「黄ニラ」ができるというメカニズムなんだとか。
そのため、黒いシートを何重にも重ねて栽培されているんですよ。
さて、イベント当日は、弊社代表の犬養(わんさん)と『黄ニラ大使』植田さんとのクロストークが行われました。
お話は、「黄ニラ農家になられたのは奥様がきっかけだったんですよね?」という質問からスタート!
3.「黄ニラ」の神様が導いてくれた奥様との出会い
1974年、兵庫県生まれの植田さん。
実は、最初から「黄ニラ農家」を目指されていた訳ではなく、今に至ったきっかけは奥様との出会いでした。
始まりは、前職・鉄鋼会社での忘年会に遡ります。
(このお話、少し長くなりますが、最後鳥肌が立つほど、うわああああっと驚きが待ってるので、読みやめないでください。笑)
前職の鉄鋼会社があったのは、兵庫県・姫路市。
下っ端だった植田さんは、毎年幹事を任されていたそうです。
近隣の飲み屋やスナックが恒例の忘年会。
しかしある年、「忘年会は岡山でやれ」という人がいたため、その声に従って、はるばる岡山の会場を抑えました。
当時らしく、コンパニオンさんもお呼びしたそうですが、その方の素敵さに惹きこまれ、参加した全員が電話番号を聞く展開に...!
そしてここに、奥さまに繋がるきっかけがありました。
忘年会から帰る車内にて、早速コンパニオンさんに電話をかける先輩たち。
しかし、ことごとく、撃沈。
どうやらウソの番号を伝えられていたようで(これぞモテ女のテクニック!)「現在使われておりません…」という音声だけが虚しく響きました。
そして最後に、下っ端・植田さんの番。
恐る恐るボタンを押すと、なんと植田さんだけ繋がったそう!(歓喜)
事前に忘年会の打ち合わせを重ねていたからこその信頼もあったのかもしれませんが、先輩方のヤジが飛ぶ中、「今度みんなでお食事しましょう」と約束。
そして後日、岡山で開催された食事会にて、今の奥さまと出会われました。
驚くことに、当日は一言もお喋りをしなかったそうですが、「でもそれが逆に気になった(植田さん談)」そう。
そしてここからが、さらに驚くところ(お待たせしました)!
なんと、後で確認をとると「忘年会を岡山でやれ」と言った人はいなかったんだそう...!
植田さんが岡山で企画したから付いて行ったんだと言われ、全くもってサプライズな事案となったのでした。
(イベントでは、ここで会場がざわめきました...!!!)
その時の様子を振り返りながら、「黄ニラの神様が導いてくれたのかな」としみじみと話す植田さん。
その姿が、私はとても印象的でした。
4.植田さんはなぜ、「黄ニラ農家」を継ごうと思ったのか
実は植田さん、奥様と出会った当初は「黄ニラ」のことは知らなかったそう。
それもそのはず、奥様は中々お家に行かせてくれなかったようで...!
デートの帰り道、「送るよ」と言っても、いつも山の手前で降りて帰り、「俺はどんな人と付き合っているんだろう…?」と、不安に思ったこともあったといいます。
お付き合いされて1年半がたった頃。
奥様のご自宅に、お邪魔する機会がやってきました。
山の中に入って、お墓を抜けると、築100年ほどの家と薄汚れた軽トラックがポツンと2台。
植田さん曰く、奥様はご自分が「黄ニラ農家」の娘だということを、知られたくなかったそうです。
しかし、そこで植田さんは、人生を変える景色と味に出会います。
「黄ニラのお野菜が天日干しされていて、山と山の間から差し込む光が黄ニラを照らしていました。その景色にとても感動しました(植田さん談)」(植田さん談)」
当時21歳だった植田さん。
都会暮らしだったこともあり、山や鳥の鳴き声・太陽の光を、とても新鮮に感じたと言います。
そしてもう一つ、植田さんの心を動かしたのが「黄ニラのお味噌汁」。
お義母さんが「食べて行かれえ」と作ってくれた「黄ニラ」の味噌汁が、あまりにも美味しかった...!
景色と味。
この2つがきっかけで、農業の道に進むことを決意されました。
5.トレードマークの「黄色いつなぎ」に隠された秘密
その後、植田さんが「黄ニラ農家」になられて20年。
道のりは、決して平坦なものではなかったといいます。
先ほども少し触れましたが、「黄ニラ」は明治5年には確認されていた古い歴史をもつ野菜。
そのような歴史ある野菜を、他県からきた髪の明るい(!)青年が扱うことに、村の人たちは少なからず抵抗感を抱いていたのでは、と振り返っていらっしゃいました。
そこで植田さんが出した奇策が、赤いつなぎを着ること。
『ガンダム』のシャアが好きだったこと(著作権の問題で画像を載せられないので、検索してみてくださいね)、そして負けない気持ちを込めて、赤色を選ばれました。
その甲斐あって、地域のおばちゃんたちから「あんたあそこの赤い人だね!」と色で覚えてもらえるように。
その後、あるおじさまとの出会いが、植田さんのトレードマークを生むことになります。
きっかけは、この一言でした。
「お前、よう赤のつなぎ着とるな。うちに黄色のが2着あるからあげるわ。俺は着んから!」
突然の出来事ながらも、袖を通してみた植田さん...。
「着た瞬間、ビリビリっときました!!!」
その日の夜、赤いつなぎはゴミ箱に捨てて、「黄色のつなぎ以外は絶対に着ない、俺は黄ニラになろう!」と決めたそうです。
7.これから植田さんが目指すところ
これからの目標は、" 黄色いつなぎの人を100人まで増やす " こと。
高齢化に伴い、耕されない農地が増えてしまっている中、「その農地を買い取っていきたい」と、植田さんは話します。
「農業を始める若者、ウェルカムです!」
作る作物をしっかりと見極めること、そして倒れても起き上がる信念があれば、大丈夫とおっしゃっていました。
黄色いつなぎの方が100人集まったら、ものすごいパワーになりそう。
これからどんな風に仲間が増えていくのか、とても楽しみです!!
8.『黄ニラ大使』も鳥肌が立った!イベント定食
お話のあと、参加者みんなでいただいたのが、こちらの定食。
植田さんにいただいた「黄ニラ」と、栽培されているもう一つのお野菜。「岡山マイルドパクチー(通称:岡パク)」を使って、『有鄰庵』のシェフが腕を振るいました!
左上から時計回りに、
・お豆腐と岡山パクのサラダ
・豚パク焼き(豚の生姜焼き風)
・黄ニラのお味噌汁
・黄ニラのおひたし
そしてデザートには、バニラアイス。
(アイスの上には、お砂糖とナッツ、そして岡パクが乗っています)
この定食を見た瞬間、「うわあ〜鳥肌が立った〜〜!」と植田さん。
参加者のみなさんも嬉しそうに召し上がっていただき、「美味しい!」の声があちこちで生まれました。
え?どれほど美味しかったのか、ですって?
それは、植田さんの表情を見れば、わかるはず。
「うわ〜、ちょっと僕、鳥肌が立ちました...!」
こうしてイベントは、ぽんぽこりんになったお腹と、たくさんの笑顔で幕を閉じました。
9.「黄ニラ」を手軽に味わいたい方へ
「黄ニラ」まみれでお届けした今回の『note』。
最後にダメ押し、『美観堂』のNo.1商品がこちらです。
出汁と「黄ニラ」の香りが食欲をそそる一本。
TKGをすれば、朝から最高の気分になりますよ!
気づけば4000字近く書いてしまいましたね。
最後まで読んでくださったみなさま、ありがとうございました!
寒さ強まる季節、ぽかぽかにしてお過ごしください。