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観光地として栄える前から美観地区を見つめる、信州蕎麦屋『あずみ』

こんばんは。
美観堂』の犬養です。

美観地区のお店さんを支援するクラウドファンディングも、いよいよ残り3日。
これまでご紹介してきたたくさんのお店、このマガジンにまとめています。ぜひご覧ください。

このクラウドファンディングで僕がご紹介するお店も、今回が最後。
最後に個人的なつながりが最も深いお店を担当することになって、ちょっとした縁も感じています。

信州手打ち蕎麦屋『あずみ』さんです。

大原家に請われて、一家で倉敷に移り住む

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この『あずみ』さんは、美観地区のまさに中心にあるお蕎麦屋さん。
上の写真の『大原美術館』から、数軒お隣にあります。

なぜ信州蕎麦のお店が、倉敷の美観地区に?
そう思う方も多いでしょう。

それは、倉敷紡績(クラボウ)やクラレの社長を務め、大原美術館も発展させた故・大原總一郎がその味に惚れ込み、この地に誘ったからです。

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大の蕎麦好きでもあった大原總一郎。

ある日、共に民藝運動を興した陶芸家・バーナード・リーチらと一緒に、信州の蕎麦屋『池田屋』に入ったところ、その味をいたく気に入ったようです。
大原はそれ以降、「この蕎麦を倉敷で食べたい、倉敷に来てもらえないか」と頼み続けました。

そしてその熱意に押された『池田屋』さんが一家で倉敷に移り住んだのが、1966年。
店名は、信州の地名「安曇野」から、大原が『あずみ』とつけました。

当時はまだまだ美観地区が「観光地」にはなっていなかった頃。
それ以来50年以上にわたって、美観地区の同じ場所で、ずっと蕎麦を打っていらっしゃいます。

松本の民芸家具に囲まれた店内で、実直なお蕎麦を

『あずみ』さんが使っているのは、「挽きぐるみ」と言われる、色が濃く香りの高いそば粉。
いわゆる「更科そば」と「薮そば」の間に位置する、味と食感のバランスがいいそば粉です。

短く切れやすい挽きぐるみのそば粉。
それを、基本に忠実に打たれています。

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この写真は、『天もりそば』。
天ざるよりも気軽に天ぷらとお蕎麦を楽しめる、女性にも人気のメニューです。

蕎麦つゆは、関東から取り寄せたカエシを数日ねかせ、厳選した材料をくわえて数時間かけて作り上げています。

また、店内に使われているのは、すべて長野県松本の民芸家具。

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こうした民芸を使ったしつらいも、民藝運動の拠点でもあった倉敷との縁や歴史を感じずにはいられません。

美観地区の一味違った歴史を感じてみてください

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『あずみ』さんの移住の経緯、そして店内のしつらい。
それらを感じるのは、今の倉敷の美観地区の中でもまた少し変わった体験になるのではないでしょうか。

皆さんも、大原美術館の横にある『あずみ』さんを見かけたら、50年以上前にあった人と人との物語にちょっと思いを馳せてみてください。
それだけでも、ただのお蕎麦屋さんを見るのとは違った心情をもって見る体験になると思います。

味に惚れ込んだ蕎麦屋さんに、自分が住む町に移り住んでお店をやってもらう。
大原總一郎というのは僕の祖父なんですが、今でも身内ながらなかなかびっくりするエピソードではあります。笑

この『あずみ』さん、コロナ明けにぜひ訪れてみてください。

先払いでご支援いただく形でこのお店のチケットが購入できる『美観地区みらい券』、今回のクラウドファンディングでご用意しています。

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