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自分をペルソナにして企画する|『企画』
「実践読書」13冊目は、髙瀬敦也さんの『企画』です。
髙瀬さんは「逃走中」「ヌメロン」「有吉の夏休み」などの人気番組を企画したコンテンツプロデューサー。
本書は「企画」とは何か、どのように考えればいいのかについて、誰でも再現可能なテクニックや思考法がたくさん紹介されています。
企画とは「決めること」であり、「何かを実現するまでの過程で決まった結果」にすぎない。だから「先天的なセンス」も「神がかったひらめき」も必要ない。「決める」だけで、企画になる。
これが髙瀬さんの考えです。
ものごとを決めていくことで、無限にある可能性がひとつずつ断たれていき、おのずと進むべき道筋があらわになります。それが「企画」となるのです。
企画がない状態とは、逆に「可能性が無限にある状態」です。選択肢があり過ぎると、何をすればいいのかわからなくなってしまいますよね。「なんでもいいから企画を考えて」という状態では、何から手をつけていいかわからず、途方に暮れてしまいます。
企画を考えるうえで、制約はむしろポジティブなものなのです。
これが髙瀬さんが「企画とは決めること」だと考える理由です。
いい企画なんて存在しない
誰もが「高確率で当たりそうな企画」や「絶対にバズりそうな企画」を考えたいと思うはずです。
しかし企画の「当たる確率」と「バズるエネルギー」はトレードオフの関係にあると髙瀬さんは言います。
なぜなら「バズる」という現象は「尖った企画」からしか生まれない一方、尖った企画がハマる人は少ないため、結果として誰の感情にも刺さらない可能性も高いからです。
企画を尖らせれば尖らせるほど、感情の深い部分をズブっと刺すことができるので、そこから生まれる熱量が大きくなります。それが「バズ」につながります。
しかし、尖っている部分は特殊なカタチなので、そのカタチにカチっとハマる人は少く、誰の感情にも刺さらないリスクを併せ持っています。
当たる確率を高めるためには、企画の尖った部分を丸くして、より多くの人に「嫌われなく」する必要があります。それを「企画が丸くなる」と言います。
しかし丸い企画は、多くの人に受け入れられる確率は高まる一方、感情の深い部分に刺さることはなくなるので、バズる可能性は低くなります。
これが「当たる確率」と「バズるエネルギー」はトレードオフの関係という意味です。
企画とは世に出してみるまで当たるかどうかわからず、一つの企画が誰かに刺さって、それが拡散されたとき、結果としてその企画が「いい企画」と評価されるようになります。
だから最初から「いい企画」はないと髙瀬さんは言います。
「尖った企画」をたくさん出して、どれかひとつがズブッと突き刺さる人と出会う確率を上げていくことが大切なのです。
企画とマネタイズはセット
もう一つ、仕事として企画をする場合、企画はマネタイズとセットで考えるクセをつけることが大切だと髙瀬さんは言います。
その理由は2つです。
「スケールできる」
マネタイズができれば、人を雇ったり、ボードメンバーとして巻き込まれてくれた人に報酬やインセンティブを出したりすることができます。また企業と組める可能性も出てきます。「継続できる」
マネタイズできないと、企画を継続できません。「誰か」にその企画に気づいてもらうためには、一定の時間が必要なので、続かない企画は、そもそも当たらずに終わります。マネタイズの期待ができる企画であれば、当たるまで待ったり我慢したりできます。
企画を立てた時点で、マネタイズの方法やその実現性について考えておく必要があるということです。
さて、本書では「生まれる企画」「人と企画」「伝わる企画」「進む企画」など、さまざまな視点から企画を生むためのコツやテクニックが紹介されています。
私が実践したいと思ったのは「自分をペルソナにする」という項目です。
自分をペルソナにする
ペルソナとは、「サービス・商品の典型的なユーザー像」のことを言います。名前・年齢・ライフスタイルなど、人物像を深く詳細に設定することにより、ユーザーニーズを明確にすることができます。
最近はマーケティングをするうえで、「20代男性」「30代ビジネスパーソン」といった広範で大雑把なターゲット像では、響く企画が生まれづらくなっています。
そこで、明確なターゲット像を設定することで、ユーザーニーズに響きやすい企画を考えようとするわけです。
一般的にペルソナは、ターゲット層の属性に合わせて架空の人物を設定しますが、所詮は架空の設定ですから、上手くいかないことも多い。「だったらいっそのこと自分自身をペルソナとしてしまおう」というのが、「自分をペルソナにする」という手法です。
自分が顧客だとすれば、細部も深部もあたり前に解るため、「悩みの解決」や「理想の実現」について熱量をもって語ることができます。
そのため、あえて独りよがりに企画を考えてみることを著者は勧めています。ポイントは思い切ることです。
注意すべきなのは「自分をペルソナにする」のは、「独善的な企画を考える」ということではないということです。あくまで「ニッチな趣向の人に伝わる生活者目線の考え方」として理解するよう、著者は書き添えています。
「世間では流行っているけど自分はめちゃくちゃ嫌い」「自分はこれさえあれば生きていける」など、自分の深い部分で大きく感情の振れるようなこと、そして「それだったら絶対お金使っちゃうな」というようなことを掘り起こすのです。
「実践読書」という連載は、読書が好きな私のペルソナをもとに考えました。
「読書は好きだけど、その内容をすぐに忘れてしまい、実践に移せていない」という人は多いと思います。それだと本の効能を最大限に活用できないので、「実践」を目的に毎日本を読み、その内容を紹介していく、という連載です。
私と同じように「本は好きだけど実践に移せていない人」はたくさんいるはず。なので「1冊の本から、どんなことを実践し、どんな結果や成果が得られるのか」を伝える連載は、興味を持ってくれる人がいるのではと考えました。
正直、全然「尖った企画」ではないなと思いますが、とりあえずスタートしてみることを優先しました。更新していく中で、「どんな尖らせ方ができるか」を考え、ブラッシュアップしていこうと思います。
では、その企画でマネタイズはできるのでしょうか?
本書では「自分ペルソナ」で考えた企画のマネタイズの可能性について、以下のような計算をしています。
仮に自分と同じことを1万人に1人、0.01%の人が考えているとしたら、日本には1万2000人いる計算になる。
1万2000人が1000円ずつお金を払ってくれれば1200万円なので、十分商売として成り立つ。
自分の深い部分で強く共感できることなら、毎月1000円使ってくれるかもしれない。そうなれば年間1億4400万円になる。
こちらの計算を参考に、「実践読書」のマネタイズ目標について試算してみます。
実践方法
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