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カラフルな世界の中で
皆さんは「共感覚」というものをご存知ですか?
共感覚(シナスタジア)とは、一つの感覚が別の感覚を引き起こす現象です。共感覚にもいろんな種類があり、例えば音を聞くと色が見えたり、痛みを感じると図形が見えたりすることがあります。
実は、私も共感覚を持つ一人です。私の場合は、数字や文字、人、音、匂いに色が見えます。色が見えてるのが私にとって当たり前だったので、他の人には見えないと知ったときは、とても驚いたのを覚えています。
ここからは、具体的な例を挙げながら、私がどのように共感覚を感じているかをご紹介します。
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このように、数字や文字にはそれぞれ決まった色があります。さらに、それらが組み合わさると、また違った色を感じることもあります。これが私の毎日の生活の中で自然に見えている景色です。
それだけではなく、音や匂いにも色を感じます。例えば、誰かが喋った言葉が聞こえにくくても、「黄色ぽかったな」でその言葉を特定して補完することができます。また、百貨店のメイク売り場に行くとめちゃくちゃピンクの匂いがします。
しかし、私にとって特に印象的なのは「人」に見える色です。その人自身が持つ独自の色と、その時の感情が放つ色が重なり合って見えます。
小学生の頃は、みんな素直だったので、色がはっきりと分かりました。楽しんでいる時にはオレンジや黄色、嫌がっている時には暗い色、といった具合に、相手の気持ちがすぐに見て取れました。ただ、その分、相手がどんな色を出しているかを気にしながら行動する必要があって、周りに気を使うのが少し大変でした。
中学生になると、共感覚にも慣れてきて、周囲にも理解してくれる友達ができました。ある友達は「今、私何色に見えてる?」と楽しそうに聞いてくれたり、その人自身の色を元にメンバーカラーを決めたりして、共感覚をポジティブに活かすことができました。
高校生になってからは、今まで以上にたくさんの方と関わる機会が増えて、いろんな色を見ることができてとても楽しいです!
昔は共感覚を持っていることで情報が多すぎて、少し不便に感じることもありました。しかし今では、その特性が勉強面でとても役に立っているなと感じています。
例えば、私にとって一番はっきり色が見えるのは数字です。よく使う数式や計算では、それぞれの数字や記号が色として浮かぶので、色の組み合わせでなんとなく答えが予測できることもあります。
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また、英単語のスペルを思い出す際にも共感覚が助けになります。アルファベット一文字ずつに特有の色があるので、例えば「もっと水色やった」とか「こんな黄色ちゃう」というように、色のイメージを頼りに正しいスペルを思い出せます。
無理な時は無理です。
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このように、共感覚は勉強や記憶の手助けにもなっています。
共感覚は私にとって「大切なもの」です。
この感覚を持つことで不便に感じることもありますが、それ以上に世界がカラフルで楽しく感じられる瞬間が多いです。
この記事を読んでくださった方が、共感覚について少しでも興味を持ってくれたら嬉しいです。もし皆さんの周りに共感覚を持つ人がいたら、その人がどんな世界を見ているのか、ぜひ話を聞いてみてください。もしかしたら、自分では想像もできない新しい視点に気づくかもしれません。
共感覚は、ただの「不思議な感覚」ではなく、私たちそれぞれが持つ違いのひとつに過ぎません。これをきっかけに、誰もが持つ個性や感じ方の違いを受け入れて、楽しむ心を大切にしてもらえたらと思います。