人を動かす
人を動かすということは簡単ではない。
特に子供たちはなかなか言う通りにはならない。先週子供達と夫が出かけて帰ってきた後、実は不思議な事が起こった。
夏の恒例行事になりつつある、バックパックキャンピング。できる限り自然の中で、3泊キャンプ(野宿)で過ごすという。水やトイレ、シャワーはない。水は川から汲んで濾過して飲んだり調理したりする。体重の半分ほどの荷物をそれぞれ担いで、一日2万歩ほど野山道を歩く。滝の水がシャワーの代わりらしい。
もう数年に渡り、子供達と友達家族は一緒に毎年大自然の山へ入る。腰痛持ち、方もいつも痛い、体力不足だと思われている私はいつも留守番だ。今年こそは一緒に行こうと、半年前から週末筋トレを始めたが、今年も置いていかれた、、、というか、どちらが楽しいかという自問自答の結果、体力もまだ自信たっぷりとは言えず、仕事の方を優先してしまった。
来年こそは、参加表明出来るようにと、密かに思う。
山から帰ってくると、毎年子供たちの成長ぶりが喜ばしい。顔つきも何時もガラリと変わる。弱音を吐かなくなったとか、体力が付いたとか、心身ともに逞しくなったと思うのは、もちろんなのだが、今年の変化というと、なんだか行く前より素直に話を聞いてくれる気がする。
いつもお願い事は子供たちからの一方通行で、私からのお願い(言いつけに近い)事はことごとく無視されてきた。靴を並べようとか、自分のものは自分で片付けようだとか、洗濯物は洗濯カゴに入れようみたいな、幼稚園児でもできそうな事も、言うと嫌な顔をされて一掃される。それが、この山登りの後は、嫌な顔をしないで「はい」というではないか!
父親との関係もちょっと変わる。やはりいつも私を通しての会話になっていたり、いつもあれはどこ?これして、あれしてと母親に頼っていたところ、各自でこなしていかなければならないというところで、人に頼らない、、、というところが出てきたのか。
家族が留守の間、私の方は誰からも話しかけられない、誰からも何事も中断されないという幸せな時間を過ごした。きっと3日で終わると分かっているから、ひとりを楽しめたんだと思う。でもあれが食べたい、これが食べたいと言ってくれる人がいないと、何も作る気にならないし、食べたいものも浮かばない。どこへ行きたいと言ってくれる人がいないと、車も運転しない。
お陰でちょっとダイエットになった。
自分が割と素直な性格?!というか戌年生まれだからか?忠誠を誓った人に従うのがあたりまえで、それこそ自分自身の意見を持てなくなるほどに従順になることもある。右向け右、と言われれば、右を向く。
でも自分が納得できないことに関しては、どうしても従えない。多分子供たちは、そこが私に似ていて、彼女たちの独特のロジックに当てはまらない私の要求は悉く却下されるわけだ。戌年生まれでもないので、忠誠を誓う程の人に普段出会わないのだろう。
でも山の中では、勝手な行動をすれば命の危険が伴う。今回はそれを体感したからか、子供たちは遅くにも誰かに従う事を学んだのかもしれない。
こんなことが幸いして、この数日私は少し人を動かしている気分を味わえるようになった。
これを応用したら、、、ちょっと危険を感じさせた方が、生徒も私の言うことを聞いてくれるようになるのかもしれない。
何でもかんでも手を出してしまうサービス精神、甘やかしすぎは良くないんだ。飴と鞭を使い分けないと。
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