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EXIT後、何者になるか…
会社売却後、多くのイグジット経験者が自分のアイデンティティを失う。それが2段階イグジットであっても、そのまま一部株を保有し代表取締役社長として残っても、上場企業との株式交換であっても「売れる会社」を作れるような経営能力が高い方は尚更、売却後、自分は一体何者なのか?わからなくなる。僕もそんな経験がある。M&Aでイグジットした瞬間、大きな経済的な対価と引き換えに心に激痛が走る。それは20数年、我が子のように育てて来た会社から自分の血を全て抜く感覚。その血を一旦銀行に預ける。自分の血をどこかに流さないと血が腐ってしまうような感覚があった。だからこの血を、時に債券、時に株、時に不動産、時にBTC、時にPEファンド、時にヒューマンキャビタルと、いろいろなところに流してきた。これは経営者から投資家への衣替えを図り、自分が何者であるのか明確なポジションを築き、資本市場に身を置き、適切かつ大胆に血を流す必要があると感じたからだ。一番いいのはシリアルアントロプレナー(連続起業家)として、新しい事業にチャレンジし事業家としてまた新たなキャリアを築けるればそれは最高だし素晴らしい生き方だと思う。でも正直簡単じゃない。僕にももしかしたらまた新しい事業アイデアが降ってくるかもしれないが、僕は投資家とグループイン後もそのまま社長を続けるとという道を選んだ。ただ今まで事業しかやった事がない経営者がいきなり投資家になろうとしても騙されるしお金を溶かす。経営者と投資家では使う脳みそが全く違う。1年、2年勉強しただけでは正直難しい。自分自身もしっかりと勉強しなければならないが、それ以上に必要なのは同じ経験、同じ環境、同じ価値観の心から信頼できる仲間だと思う。オーナー社長の時はそれが経営者仲間や支えてくれた役員だったかもしれないが、イグジット後はイグジット経験のある仲間だと思う。本当にありがたい事に僕はその仲間に恵まれた。奇跡に近い。債券に強い方、株に強い方、不動産に強い方、節税に強い方、エンジェル投資に強い方、教育に強い方など...この仲間を大切にし、より強固な関係を築いていきたいと思う。