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U-18 Review 2024

 また今年も、ヴィッセル神戸U-18の活動についてサポ目線で振り返ります。プレミアWESTというAチームのリーグ戦だけでなく、これまでの兵庫県リーグからチームにとって初参戦となったプリンス関西2部についてとか書き残しておきたいことはいくつもあったり。
 ただまあ、コツコツ書き進めるのが苦手な性分で、一気にえいやっとまとめてるので、今年も駆け足でつまみ気味のテキストになりますがお付き合いください。

■主要大会の成績

・プレミアWEST

 2位 勝点48
 15勝3分4敗 得点47 失点27 得失点差+20

2022
最強世代の鳥栖U-18相手に同勝点、得失点差での争いに敗れる
昇格:寺阪尚悟、富永虹七、安達秀都
2023
前年以上の数字を残すも、勝点差1の争いで広島ユースに競り負ける
昇格:本間ジャスティン
2024
過去2年の成績を上回る勝点48を積み上げるも、さらに圧倒的だった大津高に及ばず
昇格:山田海斗

 3度目の正直を期して臨んだシーズン。全試合を終えたいま、どのように評価すべきだろうか。
 リーグ22試合の成績をみてみると、勝点48は神戸にとって過去最高のスコア、その勝点率2.18は優勝争いするチームに相応しい数値だ。悔しいけれど、勝点48とってダメだったら諦めがつく、個人的にはそんな気分である。
 また、昨年比で得点は積み上がったが、失点も増えた。バックスに山田海斗と亀田大河を擁しても、中盤の強度にウイークポイントが残ったように感じる。とはいえ、ここから多少得失点差が改善したとしても、その先を走る大津には届かなかっただろうと感じざるを得ない、それほどまでに大津の力強さに圧倒された1年だった。

 大津とは前期がホーム開幕戦で2-2のドロー、大一番となった後期のアウェイで0-5、いわゆる夢スコアの完敗。もっと言えば、前期のドローも完成度の高いパワフルなプレッシングにきりきり舞い状態で、90分の内容から振り返ると神戸にとって幸運な引き分け。こりゃ大津の上位進出は間違いないわと感じさせるものだった。
 リーグの緒戦で大津と相対したことで、奇しくも「指標」として彼らの完成度と勝点を追うことを宿命づけられたように思う。2戦目の静岡学園戦こそソリッドな攻撃手としてユーティリティを発揮した吉岡嵐の活躍によって3-0で完勝したが、次の東福岡戦はスローペースのまま相手の一発に0-1で沈む。鹿児島城西のアウェイゲームはエース濱崎健斗が序盤に挙げたゴールをキープして1-0で勝ったが、次のアウェイ名古屋戦は相手のテンションに圧倒されて先制こそしたものの1-4の惨敗。続く前年度の覇者広島に2-0で勝てたと思ったら、アウェイ神村学園戦では先制弾を守り切れず逆転されたところを健斗のゴールで辛くも2-2の引き分け。帝京長岡戦ではホームでリズムを手放した挙句に1-1と、なかなか勝ち切れない展開が続く。

 そのうちに大津は勝ちっぱなしで2位以下を圧倒的に突き離す。なお、大津が落とした勝点は、広島に負け、神戸と引き分けたのみ。前期だけで29も積み上げてしまった。圧倒的なハイペースである。神戸が例年後期に強いといっても、勝点差が開き過ぎたらまくるチャンスもかなり減ってしまうのは自明であって、この調子だと2位すら厳しいかも...と不安にかられる。

 プレミアの後期は9月1週の第12節からで、本来なら大津とアウェイで再戦するはずだった。が、台風襲来で10月後半まで延期。これが幸いしたか、第8節の米子北戦の4-1勝利を起点として、神戸U-18は怒濤の連勝街道を迎えることに。
 米子北H、岡山A、広島A、静岡学園H、東福岡A、神村学園H、米子北A、鳥栖H、岡山Hと、いずれも難しい試合を競り勝っての9連勝を達成。最後の岡山戦しかり、どのチームも後期はチーム戦術の完成度を高めてくる。楽に勝てた印象はない。だからこそ素晴らしい価値があると高く評価したい。この進撃の間、圧倒的に輝いた誰かがいたというわけではない。このクオリティでトップ昇格させないのは勿体ねえみたいな群を抜くプレイをシーズン通して維持していた3年生は、昇格する海斗だけだろう。もちろん中3でU-15から昇格してきて、U-18のAチームで当たり前のようにフィットしてみせた里見汰福など、クラブにとって成果はあったかもしれない。ただ、それよりも、試合へのメンタルセットや対戦相手の戦術対策など、毎週のサイクルのなかでやるべきことがきちんとやれていたなあと思う。フィジカル強化や座学なども含めて、ここ数年チームとして模索してきたことが定着してきた感じ。そういうチームカルチャーの確立も、若者たちにとっては大事かなとも思う。
 こうして、広島にダブルするなど、チャレンジャーとして相応しい結果を残した彼らは、シーズンの天王山となる首位大津戦を迎えることになった。それでも勝点7差。勝たなければ実質ほぼ終戦、というシチュエーションがギリギリだった。

  2024 last5 intermission
 https://note.com/bigwest0413/n/n89d02f2e6ea4

 大一番でも意気軒高な大津に0-5で完敗したアウェイゲーム。残念ながらおれは所用で現地にいられなかったので、何か言いたいけど、やっぱり観てきた試合との解像度が違いすぎて、何も言えないなあという。とはいえ、完敗したショックはあっただろうに、凹みすぎず残りの4試合にパワーを注ぎ込み続けたチームはよく健闘したのではないか。リーグ戦で広島だけでなく鳥栖にもダブル達成。逆に名古屋にはダブルを許したものの、WESTのJ下部のなかでも安定した実力を有することは証明できたと思う。
 ちょうど2年前、冬の高円宮杯U-15をそれこそ「圧倒的に」制覇した2年生にとって、2025シーズンは集大成の年となるはず。まあ、健斗がU-18にいてくれるのかで難易度は随分変わってくるだろうけど。年代別代表に選ばれて自覚と自信が高まったであろう瀬口大翔や、藤本陸玖、渡辺隼斗などセンターラインを担う選手たちの爆発がなければ優勝は難しいように思う。
 とはいえ、基本3年でどんな好選手であっても入れ替わり去っていく2種年代のこの競技レベルのリーグで、3年連続して2位を獲るのは、本当に半端ないことなんだよと強調しときたい。

 ちなみに来季はガンバユースが昇格してくる。近場のアウェイが増えるのは助かるが、勝点は一切譲らない断固たる決意をヴィッセル神戸の選手たちには期待したい。

・プリンス関西2部

 8位 勝点22
 6勝4分8敗 得点35 失点36 得失点差-1

 残念ながら降格圏の8位でシーズンを終えたが、ヴィッセル神戸U-18にとって初めてのプリンス関西ということで、Bチームがタフな環境で18試合をやりきったことは、これからの選手たちにとってめちゃくちゃ大きな経験になったのは間違いないと思っている。いくつかの強豪校を除けば力づくで勝てる県リーグと、大阪や京都の有力校が軒を連ねるプリンス関西では、やはりリーグの厳しさが違う。
 スコアをみると、18試合で35得点は立派な数字だが、一方で36失点、つまり1試合あたり2失点もしている。数字だけで評価すれば8位は当然の帰結であり、勝てる試合も勝てない。しかし、初のプリンスでの成績推移は極端で、前期は1勝3分の勝点6しか積めなかったが、後期は5勝1分の勝点16を奪って、神戸のBチームは最終節まで必死こいて残留争いを繰り広げた。

 Bチームのスタメンとして抜擢された1年生にとって、猛然と襲いかかってくる有力高の3年生に対抗するのは、素質も素材も持ちえたエリートとはいえ簡単なことではない。夏を過ぎて2種(高校生)の強度に順応できてきた後期に、チーム全体のフレームが仕上がって攻守のサイクルが安定するであろうと見込んでいたのは、我慢や工夫をしながら采配しているコーチ陣から伝わってきた。
 ひとりひとりをみると、アタッカーとしてリーグ得点王を獲得した森分圭吾など飛躍した選手もいれば、出場時間や与えられたチャンスに応えきれなかったり、弱みを補いきれなかった選手も見受けられた。と言いながら、いつ何がきっかけでググっと伸びてくるかわからないのがこの年代の醍醐味でもある。下級生にとっては、来シーズン、Aチームで、プレミアで活躍するための助走になればそれでいい。

 このしんどくも実りのあったシーズンは、1・2年生の多いチームをリードした3年生たちの功績を外しては語れない。下級生の出場時間が伸びていくなか、チームにタフさを与え、励ます声やここぞのプレイで牽引した選手たちが強く印象に残った。もちろん、Aチームではみられないような軽率なミスもあったし、特に前期は勝点に結びつかない試合があって、後悔することも多かっただろう。でも、意地と矜持を感じさせて最後まで応援したくなる。そういうBチームにしてくれたと思う。

 最終戦は優勝した東山に2-3で敗れた。
 引き分けていれば7位で残留圏に滑り込めたが、オープンな展開で終盤を迎え、最後の最後で力尽きたかのようにATに劇的な勝ち越しゴールを献上。
優勝するチームの勢いに呑まれたようなエンディングだった。悲痛な終幕。でも彼らの経験は消えない。次の道につながる。

 ちなみに降格圏ではあったものの、プレミアに昇格を決めたプリンス関西1部のガンバユースさんのおかげで、来シーズンもプリンス関西2部に残留できることになりました。マジ感謝やで!!

・U-18クラブユース選手権

 関西大会 第2代表
 全国大会 グループリーグ敗退 2勝1敗

 川崎U-18、鳥栖U-18、秋田U-18とのグループリーグ。会場はお馴染み群馬県…ではあったが、酷暑を避けて夕方~夜の開催に変更された。が、少なくとも群馬においては大失敗であった。夕立ちと言えば美しいが、しゃれにならない北関東の激しい雷雨でピッチコンディションは泥沼に。試合自体もキックオフを何度も遅らせてそれでも困難となり、35分一本勝負の形式とする試合が生じるなど、混乱を極めた。そんな環境下で、大事な初戦の川崎に競り負け、2戦目の鳥栖に勝ち、最終戦の秋田にも勝利したが、得失点差で川崎にベスト8進出を譲ることとなった。
 とにかくもう群馬の夜開催はやめてくれとしか言いようがない。


 最後は湿っぽくなりましたが、アカデミーを応援するのは愉しいのでぜひ観に来てやってください。U-18に関していえば、語弊を招くかもしれませんが、とても見応えのある強い時期にあると思います。声出しじゃなくても、見守るだけでも選手たちの力になりますので。

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